【消費税】基準期間の課税売上高の判定

消費税申告書を作成する際に重要となるのが「基準期間の課税売上高」ですが、
先日はその判定を慎重にしなければならない機会が2度ございました。

【ケース1】
設立3期目となる不動産関連SPCの消費税申告書を作成するケース
この場合、前々事業年度の課税売上高が判定の基準となりますが、会計ソフトで
作成した申告書のチェックを行う際、前々年度の課税売上高とは異なる金額に
なるケースがあります。

設立1期目は、基準期間(事業年度)が12ヶ月未満のケースが多く、課税売上高を
12ヶ月に換算
して判定しなければいけません。
前々事業年度の課税期間の課税売上高をその課税期間の月数で割り、
これに12を掛けて算出した金額で判定します。

【ケース2】
SPCが免税事業者であったが、課税売上高が増加するなどして
消費税課税事業者になる時に提出する
『消費税課税事業者届』に記載する「課税売上高」です。

「基準期間(前々事業年度)」で判定する際は、「課税売上高」のみで判定します。
「特定期間(前事業年度)」で判定する際は、前事業年度の最初の6ヶ月で
① 課税売上高が1,000万円を超えた場合 または
② 給与支払額が1,000万円を超えた場合
課税事業者となり消費税の申告義務が発生します。

なお、免税事業者であるSPCの課税売上高の判定は、税込額
行うことにも、注意が必要です。
 
通常、SPCでは給与支払いが発生しないので、「特定期間」の課税売上高で
消費税課税事業者に該当することは、ありません。

インボイス制度が始まった今、消費税制度が、複雑になりました。
SPCが課税事業者になるか否かの判定基礎となる
「基準期間の課税売上高」の正確な判定は大切です。

この判定を誤り、免税事業者と理解していたSPCが
課税事業者であった場合、そのインパクトは大きく
慎重かつ正確な判定が大切と感じました。

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資産売却後の消費税還付

オフィスビルや太陽光発電所等の収入が課税売上になる
資産を売却すれば、課税売上高は発生しません。

売却後に、その資産を取得するための費用や資産取得等の
課税仕入が発生した時に、支払った消費税は還付されるでしょうか?
この点は、会計事務所によって解釈に差があるところです。

資産を売却した後は、課税売上高が発生しないので、課税仕入れが
発生しても仕入控除出来ず、還付対象にならないと考える会計事務所
もあります。

ただ課税仕入取引が資産の売却前に発生し、資産の売却後に金額等が確定し
課税仕入が発生した場合など、資産売却後に課税仕入が発生することに
合理的な理由がある場合は、仕入控除が可能と考えます。

このような取引での消費税還付は、弊事務所でも経験したことがあります。
実際には次のような取引でした。

SPCが太陽光発電所を開発し、工事が完了し第三者に売却しました。
建設期間中、電力会社に系統連系のため工事代金を支払っていました。
支払った際には、建設仮勘定処理していました。
太陽光発電所の完成から1年以上経過してから、工事代金が確定し、
仕入控除が可能となりました。

このケースで、SPC会計の大手会計事務所では売却した事業年度を
越えてから確定した工事代金の消費税は控除出来ないとの考えでした。

スポンサー企業から弊事務所がこのような事情の説明を受け、詳細な事情の
説明文を添えて消費税還付申告をしたところ、還付申告が認められました。

何が合理的であるか否かは、解釈の分かれるところでありますが、消費税は
エンドユーザーが負担するという消費税の趣旨や、電力会社による工事負担
金額の確定に時間を要し、売却時点では課税仕入額が確定出来なかったなど
の取引の特殊事情を理解出来れば、適切な判断が出来ると思います。

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法人税納付書もペーパーレス化へ

一般の会計事務所ではあまりないかと思いますが、
当事務所では、SPCの事務管理業務をしておりますので、
法人税等の納付作業もしております。

以前は、税務署から送られてきた納付書を金融機関の窓口へ持参し、
管理をお引き受けしているSPCの銀行口座から納税をしておりましたが、
数年前からほぼすべてのSPCでインターネットバンキングによる納税をしております。

それでも、これまで税務署から納付書は送られてきておりましたが、
令和6年5月以降、e-taxで申告書を提出していて、
ダイレクト納付、振替納税、インターネットバンキング等による納付など
納付書を利用しない手段で納税をしている会社には納付書が送られてこなくなります

国税庁のHPには、令和6年5月以降送付分から送付取りやめる
と記載されていましたので、
今年の11月末納期限の中間納税時にはまだ納付書が送付されるかと思っていましたが、
11月に入っても、SPC宛の納付書が一向に送られてきませんので、
税務署に問い合わせをしたところ、
すでに発送を取りやめたとの回答でした。
(この回答は電話に出られた方の勘違いだったようで、
後日納付書が送られてきました。)

数年前から決算に合わせて送られる申告用紙も送られてこなくなりましたし、
昨年からは、この時期に送られてきていた「年末調整のしかた」や
「源泉徴収税額表」も送られてこなくなりました。
税務関連分野でも着実にペーパーレス化が進んでいますね。

期末の納税は、どの会社でもあり、納付漏れは発生しませんが、
中間納税は、前期の納税額によって、納税義務があるケースとないケースがあり、
これまでは、紙ベースの納付書の受取が確認手段のひとつでした。
今後は、納付書が送られてこなくなっても納税漏れがないように
決算後には、翌期の中間納付を、折り込んだスケジュール
組んで、経理業務を進めたいと思います。

SPCのインボイス制度対応

今年(2023年)10月から始まるインボイス制度に
対して、SPC会計でも その準備を進めております。

インボイス対応の手順としては、おおよそ以下の
内容で進めております。

取引先のインボイス登録の直接(書面等)もしくは
間接(国税庁ホームページ等)の方法で、状況を
調査します。

同時に、SPCが入手している請求書等が、現段階で
登録番号の記載以外は、問題ないかの検討をしています。
ネットショッピングで購入した備品等では、購入先の
正確な名称や住所が記載されていないケースも
散見され、入手する請求書に相当するものの
見直しの必要性も感じています。

概ね、言えることは、インボイス登録している
事業者の発行している請求書は、適切なケースが
多く、インボイス登録していない事業者の
請求書は、曖昧なものが多いと言えます。

実際に請求書等を入手するSPCのAM業者の
担当者には、現段階で入手している請求書の
不備や不足等があれば、早めにお伝えして
インボイス制度開始に備えたいと思います。

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免税事業者のインボイス登録判断

今、消費税の免税事業者は、制度開始後は免税事業者を
維持して、インボイス登録を受けることは出来ません。
インボイス制度の趣旨は、免税事業者の益税部分を
極力なくすことにあります。

インボイス登録を受けていない事業者は、制度開始後は、
取引先の消費税負担増のため、取引価格や取引継続の可否にも
影響を及ぼすことが予想されます。

免税事業者にとっては、インボイス登録するか否かは、
将来の事業運営にも影響するマターでもあります。

ただ、取引先には、免税事業者であっても引き続き、
同条件で取引を継続する場合もあります。
免税事業者は取引先の意思を確認などして、慎重な判断が必要です。

例えば、免税事業者を選択できる小規模事業者でも、
他にはない技術力や製品を供給している場合、
取引先は仕入控除出来なくても、引続き取引を継続することも
考えられます。

【免税事業者とインボイス制度】
・免税事業者が、インボイス登録するか否かは、
取引先との関係や自社の提供するサービスの内容や質などを考えて、
判断しなければなりません。

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インボイス制度と消費税請求

先日、2023年10月以降導入されるインボイス制度について
関係者と打合せをしました。
その関係者は、経理担当ではなく、大手不動産会社のご担当者
でしたが、インボイス制度について、誤解されている点が
あったので、ご紹介します。

同じような誤解をされている方もいるかもしれないので、ご参考程度に
お聞きください。

①インボイス制度で、登録していない事業者は、一般に
消費税免税事業者ですが、免税事業者でも、消費税は請求できます。

②インボイス登録していない事業者は、適格請求書を
発行出来ませんが、その請求書でも有効な請求書です。

③免税事業者に支払う消費税は、2023年10月以降
仕入控除額が減額され、支払った事業者は損失と
なります。
損失相当分を、免税事業者との取引金額を引き下げるように
要請すると、場合によっては、独占禁止法上 問題となることが
あります。

https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/invoice_qanda.html

④賃料等を口座引落で精算し、毎月請求書等を発行していない時は
請求書の発行事業者が、相手先に『インボイス登録通知書』を
交付し、登録番号等 必要な情報を通知すれば、適格請求書が
なくても、賃料を支払った事業者は、仕入控除が出来ます。

以上が、全てではありませんが、インボイス制度がSPC経理事務に
与える影響は、大きいと思います。

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切手購入代金の消費税計上時期

担当しておりますSPCで
切手代の消費税についてのご質問がありました。

切手購入時の領収書には
『消費税非課税』と記載されておりますが
郵送した場合の領収書には
『課税』と記載がありますが
消費税計上はどうしたらよいのでしょうか
というご質問でした。

これは本来ですと
切手購入時には
貯蔵品(課税対象外)70円 / 現金 70円

切手使用時には
通信費(課税仕入)70円 / 貯蔵品(課税対象外)70円

となるものを
郵便切手を使用することを目的に継続して購入している場合は

通信費(課税仕入)70円 / 現金 70円
と、切手購入時に課税仕入(仕入税額控除)とすることを
特例で認めています。
(消費税法基本通達11-3-7)
第3節 課税仕入れ等の時期|国税庁 (nta.go.jp)

切手購入時には郵送というサービスを受けていないので
消費税が対象外となっています。

またインボイス制度開始後
郵便切手は適格請求書の交付義務免除の対象です。

事業上適格請求書の交付が難しいものについては
適格請求書の交付義務が免除されるからです。

一定の事項を記載した帳簿を保存すれば
切手代を負担した者は仕入税額控除が可能となります。

切手代は少額な取引ですが
ひも解いていくと奥深い論点があります。

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SPCの資金管理と銀行口座

プロジェクトファイナンスの為、利用されるSPCの預金口座は
その目的に応じて、
①プロジェクト口座
②リザーブ口座
③リリース口座
④営業者口座
などの口座を開設します。

プロジェクト口座は、案件によっては
メイン口座、信託配当受取口座、事業用口座など
様々な名称が使われますが、プロジェクトでの資金
異動で、最も頻繁に使われる口座です。

一方、一定の資金を留保する、例えば
元利金の返済資金、固定資産税の納税資金
修繕等の資金などを留保するため
留保資金を貯めておく、リザーブ口座を開設することもあります。

リリース口座は、プロジェクトでの資金収支の残余分を
エクティ出資者への配当や、AM会社へのAMフィーの支払いなどに
充当するため、プロジェクト口座からの移動資金を
受取る口座です。

資金の流れは、プロジェクト口座で受け取った資金が
リリース口座に流れるという順序です。

リザーブ口座には、プロジェクト開始時に一定額を
留保しておき、不足が出れば、プロジェクト口座から
補填されることが一般的です。

最後に、営業者口座ですが、これは、
①法人税等の納税のため
②匿名組合契約により、営業者報酬の授受のため
使われます。

これらの預金口座の使い方のルールは、ローン契約や
プロジェクト契約等に記載されていることが、一般的です。

SPCでのプロジェクトファイナンスでは、資金の流れに
透明性を持たせるため、このように複数の銀行口座を
一定のルールに従って、利用することがあります。

このように複数口座を利用する案件は、キッチリした案件が
多く、一つの銀行口座しか持たず、全ての収支を、1つの
銀行口座を行う案件もあります。

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信託の課税区分

担当するGK-TKスキームで不動産信託受益権取得後、
最初の決算期を迎え、取得した稼働済みのホテルの
不動産信託受益権に係る消費税還付の申告を行いました。

申告後に税務署より連絡があり、今回の課税仕入れについては、
『法人課税信託』ではないかとの指摘があり、受益者であるGKは、
消費税還付を受けられないのではとのコメントがありました。 
その理由としては、『平成19年度 信託税制の改正のあらまし』
5(8)の法人課税信託を挙げていました。

今回、会社が保有した不動産信託受益権は、不動産管理処分信託
契約に基づくもので、不動産信託契約に該当します。
不動産の所有者が委託者となって受託者に不動産を信託し、
受託者は受益者のために不動産の管理処分を行い、
そこから生じる利益を受益者に交付することを合意する契約
ですので、『受益者等課税信託』にあたります。

不動産信託では、『受益者』、『委託者』、『受託者』の3者が
存在し、それぞれがどの会社であるか混同する事があります。
恐らく、ご担当者は『受益者』と『受託者』を混同し、いわゆる
GK-TKスキームを『法人課税信託』、つまり、『受託者』である
信託銀行が主体となるものと誤解されていたように思われます。

東京では、GK-TKスキームの件数も多く、スムーズな対応に
なるかもしれませんが、大阪では件数も少なく、このような事も
発生しています。

ただ、数回の書類のやり取りで、正しくご理解いただき、
無事に還付手続きも完了しました。

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インボイス制度とは

2023年10月より、インボイス制度が開始します。

この制度は、消費税の計算の際、
取引先から『登録番号』等の記載ある『適格請求書』を入手し、
保存しなければならないと改正されました。

この『適格請求書』を発行する事業者は、
事前に税務署に『登録』が必要で、
登録されると国税庁のホームページに掲載され、
登録された事業者であるか否かも、
容易に判定できるようになります。

『適格請求書』の発行事業者は、
消費税の課税事業者となり、
消費税申告をする事業者であります。

これによって、従来、年間売上高が
1000万円に満たない小規模事業者は、
取引先に消費税を請求しても、
消費税申告・納税をしないで、
消費税分が利益となるいわゆる『益税』となっていたものを
解消することがこの制度のポイントです。

『適格請求書』を発行しない事業者の場合、
相手先はその事業者に支払った消費税を
仕入税額控除(以下、『仕入控除』)出来ず、税負担が増えます。
そのため、制度開始後は取引価格や取引継続にも
影響を及ぼすことが予想されます。

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