タックスヘイブンとSPC

不動産証券化では、
 ”堝飴困鮨託して、合同会社に譲渡し
 匿名組合出資契約を締結する

◆〇饂採動化計画を作成して
財務局に届け出た特定目的会社を
組成する

などの手法を使います。
このような手法を使う目的の
大きなものとして、SPC(合同会社、特定目的会社)
が獲得した利益を、投資家へ
そのまま渡すためであるということがあります。

上記のスキームを取らない場合 SPCには法人税が課せられ
10ある利益のうち4を納税し、6が
投資家に配当されます。

であれば、仮に10%の利回りをSPCが得ても
SPCの投資家には、6%しか得られないことと
なり、利回りが大幅に下落します。
そうならないように ´△離好ームを利用するのです。
これを、SPCの導管性とも言います。

ところで、世界に目を向けるとタックスヘイブンという
税金がほとんどかからないところがあります。
ケイマン諸島や、マン島、香港やシンガポールが
それにあたります。
そこで、作られるSPCは、上記のような
手法を使わなくても、SPCは導管性を
持ちます。

これらの地域や国々には、世界中から
お金が集まり様々な投資商品が作られていることでしょう。
こんなことはありえないでしょうが、
日本にタックスヘイブンの地域が作られれば
そこを本店とするSPCがたくさん組成されることでしょう。

匿名組合配当に源泉税

来年から匿名組合配当を
する場合、配当金の20%を
源泉控除して配当金が
支払われることとなる。

従来は国内投資家が匿名組合配当を
受ける場合、源泉税の控除は
なかったが、来年からは
国内、国外を問わず全ての
投資家に対して匿名組合配当を
する場合、源泉税を控除した
金額が配当されることとなる。

投資家からすれば、従来で
あれば満額もらえていた配当金が
20%控除されて入金されることと
なる。

ただ、源泉税というのは
税金の前払のようなものであるので
投資家が税務申告をすれば
もし、投資家が赤字の場合
源泉税は還付され、黒字の場合で
法人税納付がある場合、
前払税金に相当する
源泉税は、納税額の計算で控除
されることとなる。
つまり、全体から見れば
配当金の受取額は
変わらないのである。

投資家から見れば、従来
直ちにもらえる配当金が
税務申告を経てからもらえる
ことから資金繰などでは注意が
必要であろう。

不動産会計のトレンド(2)

不動産会計は、オンバランス化
ということは、先日お話したとおり。
それだけでなく、時価評価へと向かっている。

不動産販売業の在庫である
販売用不動産は、著しく時価が下落した場合
強制評価減が適用される。
固定資産に計上されている不動産も
減損会計の対象となる。
リース会計の変更により、リース資産も
オンバランス化されれば、減損会計の対象となる。

これからの企業経営では、不動産がオンバランス化
される場合のリスクに対して、なんらかの
対処が求められるであろう。

一般の事業会社の場合、不動産については
所与のものと考え、企業経営のリスク要因
として考えることは少なかったと思うが、
これからは、そもそも不動産をなぜ保有するのか
なぜ、使用するのかというところから
見直す機会も増えてくると思う。

不動産会計のトレンド

最近の不動産に関する会計の
トレンドは、一言でいえば
オフバランスからオンバランスへ
取得原価会計から時価会計へ
といえそうだ。

例えば、SPCで言えば、連結子会社にして
連結財務諸表に反映させる
不動産賃貸借契約についても
長期間に及ぶもの又は、賃料総額が
不動産価値の大部分を占めるものは
オペレーティングリース(賃料支払のみ経理処理する)
から
ファイナンスリース(リース資産、負債を両建計上し
リース料支払時に、負債の減少と金利の支払いという
経理処理をする。)
が強制させることとなった。

企業としては、このような会計基準の傾向に対して
不動産保有や使用において、従来よりも
より慎重に判断することが求められるだろう。

まずは、不動産を所有又は使用する場合
オフバランスにするには、オフバランス基準に
該当する契約や仕組みにする必要があり
もし、オフバランスできない場合は
リスク要因として、どのように対処するか
手順というかマニュアルとかを準備しておく
必要がある。

税務会計上のオフバランスと財務会計上のオフバランス

ここでの税務会計とは、上場会社のように
会計監査を受けない会社で、税務申告を主目的として
経理をする会社の会計をいう。

一方で財務会計とは、上場会社の会計であり
会計監査を受けなければならない会社の
会計をいう。

財務会計をベースとする会社の経理では
不動産流動化でのオフバランスでは、
今までお話していた『実務指針』の適用を
受けて(詳細は、6月28日のブログのフローチャート
を参照して下さい。)
オフバランスの検討を行います。

ところが、会計監査を受けない会社もたくさんあり
その会社が、不動産流動化で資金調達を
する場合は、どのように考えるべきであろうか。

含み益ある不動産を保有していた非上場会社が
SPCに不動産を譲渡し、仮にエクイティを
譲渡資産の10%を保有したため、オフバランスせず
含み益を計上しないというのは
税務会計上通用しないであろう。
(固定資産の譲渡による収益の額は、別に定めるものを
除き、その引渡しがあった日の属する事業年度の
益金の額に算入する。・・・(法人税基本通達2-1-14)

そういった意味では、税務会計上のオフバランスと
財務会計上のオフバランスとは、基準が異なる。

税務会計では、譲渡担保取引となる場合は
不動産をSPCに譲渡しても、オフバランスせず
仮に含み益があっても、益金算入しないことも
可能であろう。
(法人税基本通達2-1-18)

法務上のオフバランスと会計上のオフバランス

オリジネーター(資産のもともとの所有者)から
SPCへ資産を譲渡した際に、その取引が法務上
正しい取引であるか否か(真正売買であるか否か)
という判断が、弁護士さんよりなされる。

真正売買であるか、否かの判断基準のひとつ
として会計上のオフバランスが出来るか否かという
項目がある。

それでは、会計上のオフバランスが仮に否定された
時に、法務上のオフバランスが否定される
(真正売買が否定される)であろうか。

これは、弁護士さんのマターであり会計士の
私の分野ではないかもしれないが、私なりの
考えをまとめておきます。

そもそも、会計上のオフバランスが否定されると
オリジネーターは、売買という会計処理をしない
こととなる。すなわち、売買取引という事実を
経理に反映しないということである。

言い換えれば、会計処理の上では、売買は
なかったという意思表示をしているとも言える。
オリジネーターが、売買の意思表示をしていない
取引を法務上、真正売買という考えには
不整合な点があるという考え方もあるだろう。

ところで、会計上のオフバランスは、不動産の
場合、5%ルールというものがある。
(詳細は、6月28日のブログを参照してください。)
この5%というのは、一般にオリジネーターが
エクイティ出資していて負担するリスクが
譲渡(売買)した資産の価値の5%超であれば
オフバランスを否定するものである。
つまり、会計では経済合理性の観点から、
オフバランス処理を判定している。

一方、法務では、法律という明文化された基準に
のっとって真正売買であるか否かを判断して
いるのであろう。そこには、恐らくリスク負担割合が
5%うんぬんという記述はない。

このように会計と法務では、着目している点がことなる。
そのため、法務上のオフバランスと会計上の
オフバランスとの間で、結論に齟齬が出てくる
こともあろうかと思う。

ただ、ひとつ言えることは、法務上のオフバランスが
否定される場合に、会計上のオフバランスが肯定される
ことはないでろう。
法務よりも会計の方が、オフバランスのハードルは
高いであろう。

5%ルール

不動産の流動化において、オリジネーター(もともとの所有者)が
SPCに不動産を譲渡した場合、オリジネーターが
負担するリスク負担割合がおおむね5%以下
であればオフバランスしても良いという
ルールである。

まず、おおむね5%と言っているが、通常は
5%以下ということが多い。
リスク負担割合というのは、昨日のブログの
フローチャート図にもあるが、譲渡した不動産の
譲渡した時の時価(一般に譲渡価格を採用する)
に対する、オリジネーターが負担するリスク金額
(一般にはSPCに対するエクイティ出資金額)の
割合のことをいう。

ただ、最近ではこの5%ルールよりも高い基準を
設定している監査法人が多い。これは特に
大手の監査法人が多い。
具体的には、6月27日に掲載した投資事業組合の
子会社判定のフローチャートにある
「利益又は損失の過半を享受する者は、
 投資事業組合を子会社と判定する」という
規定を援用して、エクイティ出資の過半を
オリジネーターが出資すれば、オフバランス処理を
認めないということである。

つまり、5%ルールとあわせて適用して、
5%の過半である2.5%を超えるリスク負担を
した場合、オフバランス処理を認めないという
ものである。
ちなみに米国の会計基準では、この基準を
採用されている。

また、他のケースでは、過半ではなく
15%つまり5%ルールとあわせて、5%×15%=0.75%
しか負担してはならないという大手監査法人の
見解も聞いたことがある。

これが、まさに監査法人ごとの温度差であり
基準が明確にされていない現時点での
混乱の要因の一つではないだろうか。

監査法人ごとの温度差

イメージ 1

SPCに対する会計処理に関するスタンスは
監査法人や担当者ごとに異なることが多い。
これは、SPCに関する会計基準が改正の動きがあるが
(恐らく、今年又は今年度末までに作成されると思う。)
現段階では、明らかでないことが一つの要因であろう。

会計士というものは、基本的には会計処理を保守的に
考える傾向がある。というのは、会計監査というものは
失敗がないことが当たり前で、もし失敗があれば
大問題となることが、多いためである。

そのため、SPCというだけで、頭からオフバランスはダメという
会計士が多い。
しかし、その場合、ストラクチャーの概要や契約書ドラフト等を
見て、判断しているというより、SPCというだけで
ややこしいものと考えてで、「実質的に判断して」という
抽象的な理由で、オフバランスを認めていないことも
多いのではないでしょうか?
契約書を見て、明確に指摘にて、明確にオフバランスを否定している
と聞いたことはない。

監査法人の担当者からすれば、オフバランスはダメですよと
言っておいた方が楽なケースが多い。その時には
「実質的に判断して」という言葉が、非常に便利なのである。

ちなみに大阪地区でのオブバランス処理に関する温度差順に
大手監査法人を並べると
 .函璽泪
◆,△困
 新日本

という順序ではないだろうか。

トーマツの監査は厳格であるという定評があるが、
これは、創業者の影響が大きいのではないかと思う。
ご存知の方は少ないと思うが、トーマツとは
「等松さん」という創業者の名前が由来している。

創業者は元々軍人であったらしく、その辺から
監査での厳格さが影響しているのはないかと思う。

新日本というのは、太田昭和とセンチュリーが
合併してできた監査法人である。太田昭和の太田は
日本で初めて監査法人をつくった太田哲三さん
の名前が由来している。

事務所のカルチャーとしては、財閥系大手企業の
関与先が多く、おぼっちゃん的な空気が
蔓延しているのではないかと思う。

いずれにせよ、会計処理に関して監査法人ごとに
温度差があることは、本来あってはならないことであり
将来的には、一つの方向に収束していく事が
望まれることである。

会計上のオフバランス処理条件

イメージ 1

SPCを利用しての資金調達のメリットとして
資産を切り離す(オフバランス処理)できることは
以前、申し上げたとおりである。
そのための条件としていくつかあるが、SPCが
オリジネーターの連結子会社に、該当しないという
条件がある。

「中間法人の役割」で、中間法人によってSPCは、オリジネーターの
孫会社にはならないと書きました。つまり議決権ベースで考える限り
SPCは、オリジネーターから切り離されていることとなる。

ところが、実質的な支配がオリジネーターからSPCに及ぶ場合
子会社として認定されることとなる。
この、「実質的な」という意味が抽象的であり、各監査法人ごと
また、同一監査法人内でも、担当者によって見解がことなる
ことが多い。

一般的な見解としては、昨日書いたAM業務を、オリジネーターが担当する場合
支配が及ぶと考えられている。
これは、昨年9月に 企業会計基準委員会(ASBJ)より公表された
「投資事業組合に関する支配力基準及び影響力基準の適用に関する
実務上の取扱い」において投資事業組合に関する子会社の判定
フローチャートI(上記のフローチャートを参照して下さい)で、
△竜述が、AM業務を担当する会社は、
その投資事業組合を子会社と判定するとされたためである。

この基準は、ライブドア事件により投資事業組合に関する
会計基準を整備した一環で作成されたものである。
あくまで、この基準は、投資事業組合に関する会計基準であり
SPCに関する会計基準ではない。
そういった意味では、AM業務をする会社は、直ちにSPCを
連結子会社とする会計基準はないということが正しいといえる。
しかし、現実としては、投資事業組合の会計基準を
準用して、オリジネーターがAM業務を行えば、連結子会社と
判定するケースが多い。

そのため、AM業務担当会社はどこで、PM業務会社はどこであるかは
会計上のオフバランス処理判定のポイントとなるのである。

AMとPM

AMとPM コンビニエンスストアの名前ではない。
午前や、午後という意味でもない。
不動産の流動化において、必ずと言って良いほど
出現するプレイヤーである。
AMとは、アセットマネージャーで
PMとは、プロパティマネージャーである。

以前、この両者の違いがわかっていなくて
混乱したものである。

分かりやすく言えば、PMとは、不動産の日常管理業務を
する者であり、マンションで言えば、管理人さんの
業務が近いものと思う。
一方、AMとは、不動産の改修計画を立案したり、
テナントを誘致するための企画をしたりする者である。

PM業者は、どちたかと言えば、定められたことを
粛々とするのに対し、AM業者は、積極的に不動産に
関与して、不動産のバリューアップに携わる者と
言えよう。

報酬のもらう順序も、AMとPMでは異なる。
PM業者は、賃料収入から直接報酬をもらえることが多く
AM業者は、PM業者や信託銀行の報酬等を支払った後に
報酬がもらえることが多い。

というのは、PM業者のしている日常業務は、不動産の
維持には不可欠なことであり、賃料から真っ先に
もらえるようにしておくべきものであるからでしょう。
一方で、AM業者の業務は、どちらかと言えば、成功報酬的な
要素があるため、他の費用から劣後してもらえるものなっている。

実際は、同じ会社が、A物件では、PM業者となり
B物件では、AM業者になるなど、キッチリ住み分けが
出来ているわけではない。

なぜ、このようにAMとPMについて長々と書いてきたかと
言えば、オリジネーター(不動産のもともとの所有者)の
会計上のオフバランス処理において、オリジネーターが
AMであるか、PMであるかが大きな影響を及ぼすからである。

そのため、その会社は、AM業者なのかPM業者なのかの
判定は、重要になるケースがある。
会計上のオフバランスについては、次回以降に
もうすこし突っ込んで書きます。