レジ物件SPCの『課税売上高』『敷金から控除 原状回復工事代』の扱い

レジ(住居用賃貸不動産)を投資対象とする
SPCでは、主な賃料収入である住居賃料は
非課税売上です。

レジ物件を取得した時点での建物消費税は、原則
取得時点では還付対象にはなりません。
そのため、レジ物件SPCでは、案件組成時から
終了時点まで、免税事業者として進めることが
一般的です。

免税業者になるには、年間の課税売上高が1000万円
(税込ベース)を切ることが必要です。

レジ物件でも 一定の課税売上高はあります。
例えば、駐車場代、駐輪場代、バイク置き場代
退去時の 鍵交換手数料、原状回復工事代
契約更新時の 契約更新手数料 などです。

原状回復工事は、契約書上 退去者が行うと記載してあることが
一般的ですが、実際のところ、建物管理会社が工事を
行い、最終、敷金等から控除して精算するケースが
多くあります。この場合、管理会社が原状回復工事という
サービスを退去者に提供したということで、課税売上高
なります。

原状回復工事代収入と、原状回復工事代金支払いを
相殺して、課税売上高ゼロという計算は出来ません

建物賃貸借に係る保証金から差し引く原状回復工事費用|国税庁 (nta.go.jp)

退去者の人数は正確に予想出来ないので、退去者が多い年
原状回復工事代収入や 鍵交換手数料等が通年より多くなり
年間課税売上高が、1000万円を超えることもあるので
レジ物件SPCでは、課税売上高の推移を確認することが
SPC経理上 大変重要になってきます。

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【消費税】基準期間の課税売上高の判定

消費税申告書を作成する際に重要となるのが「基準期間の課税売上高」ですが、
先日はその判定を慎重にしなければならない機会が2度ございました。

【ケース1】
設立3期目となる不動産関連SPCの消費税申告書を作成するケース
この場合、前々事業年度の課税売上高が判定の基準となりますが、会計ソフトで
作成した申告書のチェックを行う際、前々年度の課税売上高とは異なる金額に
なるケースがあります。

設立1期目は、基準期間(事業年度)が12ヶ月未満のケースが多く、課税売上高を
12ヶ月に換算
して判定しなければいけません。
前々事業年度の課税期間の課税売上高をその課税期間の月数で割り、
これに12を掛けて算出した金額で判定します。

【ケース2】
SPCが免税事業者であったが、課税売上高が増加するなどして
消費税課税事業者になる時に提出する
『消費税課税事業者届』に記載する「課税売上高」です。

「基準期間(前々事業年度)」で判定する際は、「課税売上高」のみで判定します。
「特定期間(前事業年度)」で判定する際は、前事業年度の最初の6ヶ月で
① 課税売上高が1,000万円を超えた場合 または
② 給与支払額が1,000万円を超えた場合
課税事業者となり消費税の申告義務が発生します。

なお、免税事業者であるSPCの課税売上高の判定は、税込額
行うことにも、注意が必要です。
 
通常、SPCでは給与支払いが発生しないので、「特定期間」の課税売上高で
消費税課税事業者に該当することは、ありません。

インボイス制度が始まった今、消費税制度が、複雑になりました。
SPCが課税事業者になるか否かの判定基礎となる
「基準期間の課税売上高」の正確な判定は大切です。

この判定を誤り、免税事業者と理解していたSPCが
課税事業者であった場合、そのインパクトは大きく
慎重かつ正確な判定が大切と感じました。

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