淀屋橋総合会計のブログ

最有効使用という考え方とCRE戦略

不動産鑑定の作業では、対象地について
最有効使用とは、何かという検討をします。
最有効使用とは、対象地において、
最適で合理的な不動産の利用のことです。

例えば、銀座の目抜き通りに、戸建住宅が
あれば、大抵の人は、こんなところには
戸建住宅を建てるのではなく、商業施設を
建てるべきだと思うでしょうし、
逆に、交通の不便なところに、都会に
しかあるそうもない、高層のビルがあれば
こんなところには、似つかわしくないと
思うでしょう。

不動産鑑定では、その土地・土地に応じた
最適な利用と現状を比較検討しながら、
不動産鑑定を行います。
場合によっては、現況建物を取り壊して
最有効な建物を建築することを想定して
鑑定評価を行います。
不動産の最有効使用は、時の
経過とともに、変わっていきます。
対象地の昔の町並みを写真などで、見る
ことが出来れば、そのことは、手に取る
ようにわかることでしょう。

企業が保有する不動産についても、
最有効となることが、CRE戦略を
検討するにあたっての切り口になると
思います。

ただ、単に最有効使用にすることだけが
CRE戦略で、検討すればよいのではなく
企業としての最有効使用とは、何か
ということも考えなければならないと
思います。
企業の不動産は、それぞれ独立して
企業経営において、機能しているわけではなく
他の不動産と有機的に関係を、及ぼしながら
機能しています。
その中で、最有効な利用方法を検討する
ことちなると思います。
単純に取り壊すとしても、資金を要しますし
場合によっては、代替地を探さなければ
なりません。
企業というものは、日々活動をしているので
単純に保有不動産を取り壊したりは
できないものです。

これが、単純な不動産の有効活用と、CRE戦略
との違いではないでしょうか。

最近の不動産流動化ビジネス

最近、証券化関係者とお話する時
他社の動向は、どうですかという
質問を受けることが多くあります。
ここ半年で明らかに、潮目が変わったので、
他社の動向が気になっている方が多い
ようです。

最近の動向を言いますと、今の
経済情勢を反映した不動産流動化
案件が組成されています。

わかりやすくいいますと、
資金繰りに窮した不動産会社が
売りたたく物件を、購入して
それを時間をかけて、売却して
利益を上げようとする案件が
出てきています。

不動産鑑定の実務で、取引事例を
調べる際、売り急ぎにより
相場価格の30%オフで取引されている
事例などが、時々出てきます。
まさに、そのような売り急ぎ物件を
狙って安く購入し、売却益を
得ることを得ようとする案件です。

これからも、破綻するまたは資金繰りに
窮する不動産会社も出てくるようでしょうから
このような案件も増えるかもしれません。

最近の企業破綻

先週末に、ゼクスとキョーエイ産業が
民事再生法を申請する取締役会決議を
したことがリリースされました。

両者の破綻は、偶然ではなく、不動産会社の
経営環境の悪化を 物語っていると感じています。

いずれの会社も私どもの事務所で関与している
案件で、プレイヤーの一員として、過去に
一度は、関係のあった会社であることも
そのように感じさせる原因なのかもしれません。

ゼクスについては、私が住んでいるところから
数キロ離れたところで、運営が起動に乗らなかった
高齢者向けマンションがあり、身近なことと
感じさせています。

これから少なくとも数年程度は、厳しい環境が
続くと予想されますし、そのような環境で
乗り切れる会社と、息切れする会社とに
分かれてくるものと思います。

不動産会社の場合、その業態から過小資本で
過大負債になりがちなため、環境の変化には
大きな影響を受けやすいです。
また、不動産会社は、通常、投資部分のハイリスク
ハイリターン部分を保有していることが多く
市況が好調な時は、莫大な利益を得ますが
反転した場合、大きな損失を被ります。
(ジェットコースターのアップダウンの
 ようなイメージです。)

不動産会社は、リスク管理をどのように、
しているかが、会社の命運を分けることに
なろうかと思います。

不動産鑑定価格の内訳額 続編

不動産鑑定での土地、建物の
内訳価格をどのようにするかという議論が
会計や税務にどれくらい影響するものか
検証してみます。

仮に土地・建物で10億円の不動産が
あったとします。
土地・建物の按分方法で、内訳価格が
変動するとしても、せいぜい、4:6が
6:4に逆転する程度だと思います。
(1:9が、9:1にまで逆転することは
ないと思います。)

であれば、建物価格が4億円になるか
6億円になるかということです。
消費税は、前者2000万円、後者3000万円で
1000万円の差が出ます。

減価償却費は、附属設備の耐用年数と
加重平均して、20年とすれば
4億円の場合、年間償却費2000万円と
6億円の場合、年間償却費3000万円と
1年で1000万円、20年間で2億円の
差が出ます。

更に法人税の影響では、税率を40%
とすれば、年間で400万円、20年間で8000万円の
差が発生します。

10億円の鑑定額で、その内訳価格を
どのように取るかで、上述のような
差が大きいのか、小さいのかは
人によって、違うと思いますが、
鑑定士が、鑑定評価の内訳価格を出される
際には、この程度の影響があることを
頭の片隅に置いておくことは
それなりに意味があることと思います。

CRE戦略を検討すべき企業とは

CRE戦略を検討すべき企業は、
どのような企業が多いでしょうか?

一般に、新興企業は、不動産を保有しておらず
賃借しているケースが多いと思います。
企業が成熟して、資金力がつけば、不動産を
保有する余力も出てくることと思います。

そのため、不動産を多く持つ企業は、ある程度業暦の
企業が、多いと考えられ、そのような企業が、
CRE戦略を検討する必要性が高いと思います。

企業と不動産とは、長い目で付き合って
いく必要があります。
一方で、不動産の時価会計導入により
リスク資産という認識も必要に、なってきています。
リスクに対しては、何らかの管理手法が必要かと
思います。また、不動産の金融商品化という
トレンドの基では、不動産の市場動向を、睨みながら
企業は行動する、又は対処することが必要ではない
でしょうか。

右肩上がりの土地神話は、もう起こらないでしょうから
不動産を利用して価値を生み出す努力が、
不動産を保有する企業としては、
より大切になっていると思います。

貧乏人の銭失いにならないためのCRE戦略

建物を取得した場合、その取得による
費用と比べて、数倍のライフサイクルコストを
要するといわれています。
ライフサイクルコストとは、建物完成から滅失
までに要する修繕費等のメンテナンスコストの
ことです。

この長期修繕計画を作成して、経営計画に
織り込むことが重要と考えています。
この必要なライフサイクルコストを、
惜しむと、後の修繕費が高くつき
結局のところ、損をすることとなります。

建物とは、長い付き合いをしなければ
ならないので、会計年度のような1年または数年
タームで物事を考えていると、かえって
支出が多くなってしまいます。

貧乏人の銭失いにならないような
長期修繕計画を立てることも、CRE戦略上は
大変重要なことと思います。

不動産時価会計での指標

不動産に対して、時価会計(減損会計、賃貸等不動産の時価評価)を
導入することにより、不動産の評価が、企業会計に与える影響が
大きいことは、ご承知の通りです。

そのため、不動産に関して、管理する指標なるものが
必要ではないかと思っております。
通常の営業活動については、損益分岐点売上高などで、損益管理を
していますが、不動産の場合、減損分岐点収益や(減損会計の
適用をうけるまでの)安全余裕率などの指標を、利用することで
保有する不動産の減損会計の可能性を管理することができるのでは
ないでしょうか。

また、賃貸等不動産の場合、賃料収入や不動産の市場価格が
損失計上となるか否かの基準となるため、損失計上分岐点賃料収入や
その推移、不動産の市場価格の現況と推移について
管理することが必要ではないでしょうか。

いずれにせよ、不動産の時価会計導入に対して
企業としての管理指標が必要なのは、CSR(企業の社会的責任)
の観点からも必要となってきていると思います。

不動産の時価会計の大枠

既に、導入済みの減損会計
賃貸等不動産の時価評価会計、資産除去債務の会計
リース会計により、不動産に関する
時価会計制度が一通り、揃うことになります。

いろいろな会計制度があり、少し整理してみます。

 )楸箸僕?僂靴討い詈殕不動産(本社、店舗、工場、営業所)
  は、減損会計の対象となります。
  減損会計では、損失計上はあっても、利益計上は
  ありえません。事業用不動産ですので、事業活動を
  通じて、利益を得るために、保有しているからでしょう。

◆”堝飴困鯏蟷顱淵ぅ鵐ムゲイン、又はキャピタルゲイン)
  目的で保有してあれば、これは
  賃貸等不動産の時価会計の対象となります。
  この会計では、利益計上もあれば、損失計上も
  あります。この点は、減損会計と大きな差でしょう。

リース会計により、従来ではオフバランス処理していた
リース試算も、オンバランスされるようになり
上記の,泙燭蓮↓△梁仂櫃箸覆觧饂困増えました。

資産除去債務会計では、従来では潜在的にしか
会計上認識されていなかった、土壌汚染除去費用
アスベスト除去費用、定期借地契約での契約満了時の
建物除去費用等を、認識しなければならなくなりました。

企業から見れば、保有する不動産の種類(事業用、投資用)に
応じて、会計上のリスクへの対応が求められることと
なります。
また、内部統制において、これらの資産に対する
リスク管理体制も求められることでしょう。

正常価格と特定価格

不動産鑑定では、鑑定評価額の
種類として、正常価格、特定価格、限定価格、特殊価格の
4種類がある。

そのなかでも比較的目にするのが、正常価格と
特定価格のため両者の関係について
説明しておきます。

正常価格というのは、特段の条件設定もない
前提での市場価格で、標準的な価格です。

一方、特定価格は、法令等の要請で
正常価格での前提条件を満たさない場合の
価格です。
一般に、不動産を証券化する際の
鑑定評価では、DCF法による価格を
鑑定評価額とすることから
(正常価格であれば、DCF法だけでなく、積算価格や
比準価格も考慮するので)
特定価格とすることが、あります。

しかし、証券化におけるDCF法による鑑定評価額を
どの鑑定業者も、特定価格としているわけではなく
正常価格として評価書を作成しているケースも
見られます。
これは、特定価格と表記すれば、正常価格との
関係を説明しなければならないことや
証券化の対象不動産の場合、DCF法による価格が
まさに市場価格(=正常価格)であるため
だそうです。

この特定価格・正常価格の議論は、鑑定士の
中でもいろいろな考えがあるようですが
証券化における不動産鑑定評価額で
特定価格と正常価格との間で、大きな差は
ないものと思います。

賃貸等不動産の会計基準

賃貸等不動産の会計基準が
公開されました。

http://www.asb.or.jp/html/documents/exposure_draft/fudosan-kaiji/

減損会計導入時は、賃貸等不動産(投資不動産)について
対象外としていましたが、国際会計基準との
整合性のため、今回賃貸等不動産も基本的に
時価評価することとなりました。

導入時期は、H22年3月31日以降を最終事業年度末
とする年度末決算からとなります。
つまり、3月決算の場合、H22年3月31日
の決算から、12月決算の場合
H22年12月31日 決算からとなります。

賃貸等不動産と『等』がついた理由は、
賃貸に供している不動産だけが、その対象ではなく
開発予定の更地など、将来のキャピタルゲイン
目的で保有している不動産も、対象と
しているからです。

不動産投資会社の場合、自社又は
連結子会社に、賃貸不動産や開発用の更地を
沢山保有していると思います。
これらを基本的に時価評価することに
なろうかと思います。
一般に、不動産投資ファンドに組み込まれている
不動産は、レンダー等の要請により
1年に1度、不動産鑑定を取っているケースが
多いことから、それをそのまま使える
ことになるかと思います。

しかし、不動産鑑定の数値が、決算に
そのまま反映され、毎決算毎に数値を
見直すことから経理作業も、煩雑に
なることが予想されます。

時価評価数値は、当然のことながら
税務上は、損金や益金に算入されない
ことから、税務調整(自社で保有する場合)
が、必要なことも厄介なことと思います。