淀屋橋総合会計のブログ

系統蓄電事業と収入割課税(事業税)

最近、発電事業の他に系統蓄電事業への
投資案件が増えてきております。
蓄電事業は電力を発生しませんが
系統連系で購入した電力を、タイミングを
ずらせて売却することで、電力単価差で
収益を得るというビジネスモデルです。

電力単価差を得るには、購入と
売却を、良いタイミングで
行う必要があります。

このタイミングを計るための
ソフトなども開発されているようです。

今日は、蓄電事業者の収入割課税について
お伝えします。
蓄電事業は電力を発生しませんが、
電力を売るという活動をします。
そのため、売電収入に対して、収入割課税は
発生します。

一方で、電力を購入する際、売主が
収入割課税事業者であれば、電力購入時に
収入割課税がされております。

収入割課税が二重課税にならないように
蓄電事業者が購入する電力に収入割課税
されていると、収入割課税の申告の際
同額を控除出来ます。

数値例で示すと、蓄電事業者が
収入割課税事業者から1000で仕入れた電力を
1100で売却した場合で収入割課税の税率を1%とすれば
(1100-1000)×1%=1 が、蓄電事業者の
収入割課税の税額になります。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

適格機関投資家等特例業務SPCの本店移転届(2)

先日、適格機関投資家等特例業務SPCの本店
移転の際、届出書類の作成について
お話ししました。

これに伴って、別途、定款変更の届出が
必要となります。
SPCの本店の所在地は、定款に
東京都、大阪市など、一定の範囲で定めております。

東京から大阪(その逆も)への本店移転は定款変更を
伴います。
それに合わせて、金融商品取引法 63条の2第3項第3号
の届出が必要となります。

形式的ですが、本店の移転届とは別の届出ですので
別途、作成し、変更後の定款を添付して
提出します。

国税の場合、本店移転は、1つの届出で完了しますが
財務局への本店届出(定款変更を伴う)は2つの
届出が必要です。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

適格機関投資家等特例業務SPCの本店移転届(1)

適格機関投資家等特例業務(QII)の案件で
SPC(通常は、合同会社 GK)の本店移転の際
財務局宛 届出書類の作成には、注意点があります。

例えば、東京本店のSPCを大阪本店に移転した場合
このSPCがQIIの届出をしている場合、速やかに
財務局に変更の届出を提出しなければなりません。

この届出書類の作成時に注意することが
あります。
【提出先】・・・移転前の管轄財務局
【届出書記載住所】・・・移転後の住所

提出先は、移転前の財務局に、
移転後の住所を記載して提出します。

変更の届出は、移転が完了してから
するので、届出書類に記載する住所は
移転後の住所になります。

一方で、財務局側は、届出を受取って
初めて、移転したことを知るので
提出先の財務局は、移転前の管轄財務局に
なります。

届出書類を作成する時、少し混乱しますが
上記の点に気を付けて作成すれば
問題ありません。
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

系統蓄電池SPC

最近、お問い合わせの多いSPC案件で
系統蓄電池の設置事業があります。

これは、太陽光発電所のような
発電設備を設置するのではなく
系統蓄電池を設置し、蓄電池に電気をため
必要な時に、電気を放出する
プールのような役割を果たすものです。

発電所のように、発電量に応じて
売電収入が入る仕組みではなく
プールにためた電気の放出する
タイミングを見て、電気の仕入額と
売却額との差額で利益を得るという
スキームです。

経済産業省によれば、国際的には
蓄電容量が、2023年に比べて2030年には
6倍になると公表しています。
062_05_00.pdf

EPC業者(ウエストホールデングス)は
2027年8月期(2026年8月~2027年8月)には
蓄電用設備の工事売上を、年間120億円と
計画しております。
west-gr.co.jp/ir/plan/3734/

今では、系統蓄電地事業は、以前の
太陽光発電設備のような脚光を
浴びてませんが、データセンターのような
大量の電力消費が必要なものが増えると
系統蓄電事業が、脚光を浴びることに
なるかと思います。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

TMKでの出資払戻

GK-TKスキームで、TK出資者への出資払戻は
ローン契約やTK契約での定めに従い行うことは
既にお伝えした通りです。

TMK案件での、優先出資者への出資元本払戻は
GK-TKスキームより、手間やコストがかかります。

TMKの優先出資額は、TMKの登記簿謄本に
記載されており、払戻をする際には、変更登記が
必要です。

変更登記以外に、会社法等で求められる
減資の手続きが必要です。
例えば、
①債権者への通知
②減資の官報公告
③ 上記の手続き完了後、減資の登記
④減資の登記後、出資の払戻
など、手続きが必要です。

TMKの場合、優先出資は登記マターであり
このような手間を要します。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

匿名組合出資の『みなし償還』

SPC案件で、メイン口座に必要な積立金以上の
残高があれば、リリース口座に振替られ
AM費用等の必要な報酬等を控除した額を
TK出資者に配当されます。

SPCのリリース口座に、TK配当をしても
なお、残高がある場合、TK出資者へ元本返還が
実施されます。

期中でのTK出資者への元本返還を
TK契約では、『みなし償還』といったり
『仮払償還』といった表現で、償還される
ことがあります。

これは、SPCへの投資家は、資金を
出来る限り有効に使いたいので
SPCで寝かせている資金は、投資家に返還し
ようとするものです。

みなし償還が出来るケースは
SPCの事業が順調に進んでいることが
前提にあり、SPCの事業用口座に
余裕があるケースです。

『みなし償還』をすることで、投資家の
投資利回りがアップし、リターンが
より大きくなります。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

一般社団法人の基金拠出額

SPC案件で、倒産隔離のため、一般社団法人を
設立ことは一般的なことです。では、
一般社団法人の基金(会社の資本金に相当するもの)は
いくらにすれば、良いでしょうか?

これには一定の計算式があります。
まず、一般社団法人は、その子会社となる
SPCへの資本金相当を出資します。

その他、プロジェクト進行中に
一般社団法人は、法人税均等割(東京や大阪の場合、1年7万円)
を負担しなければなりません。

仮に、プロジェクト期間が5年とすし、SPCの資本金を
10万円とします。

一般社団法人の基金は
① SPCの資本金(ここでは10万円)
② プロジェクト期間の一般社団法人の法人税均等割
(ここでは、5年間とし、7万円×5年=35万円)
③ プロジェクト期間延長時の予備費 5万円
以上を合計すると 50万円となります。

以上のような方法で、一般社団法人の基金拠出額が
決定しています。

なお、一般社団法人のSPCへの出資持分 10万円は
レンダーが質権設定するケースが多くあります。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

系統用蓄電池SPC

以前、太陽光発電SPCが多く組成され
日本各地に太陽発電所が建設されました。
今や、電力の買取価格も低額に
抑えられ、建設ブームは去りました。

太陽光発電所のデメリットとして
日中は発電されるが、夏場など、電力需要が
高いタイミングでは、発電されず、
発電のタイミングと電力使用のタイミングに
ズレが生じるところがあります。

系統用蓄電池は、この電力需給のズレを
埋めるものであります。
蓄電だけでは電力を生まないので資金流入が
ありませんが、蓄電池が蓄電し、タイムリーな
放電をすることで、一定にプレミアム資金が
蓄電業者に提供することになりました。

今後は、再生可能電源の需給調整機能を担う
『蓄電池設備』に投資するSPCが、出現することも
想定されます。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階

   税理士法人 淀屋橋総合会計

 http://www.yodoyabashisogo.com

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

プロジェクトファイナンスでの財務制限事項

SPCを利用したプロジェクトファイナンスでは
対象資産の財務的健全性チェックを定期的に
行います。

そのチェック項目の代表的なものが
DSCR チェックとLTVチェックです。

DSCRはフローの観点からチェックするもので
営業キャシュフローが元利金返済額に対して
どの程度、余裕があるかの指標で
指標が大きいほど余裕があります。

(※DSCR=営業CF÷元利金返済額)

一方、LTVは、ローン残高÷
不動産等の評価額(通常は、不動産鑑定額)で
LTVは、小さいほど、健全となります。

DSCRは四半期毎(3ヶ月に1回)チェックすることが
一般的で、LTVは、不動産鑑定を取るなど
コストを要するため、1年に1回チェックすることが
一般的です。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

SPCオフバランス リファイナンスの時

不動産等のオリジネーター(原所有者)からSPCに
譲渡した際、オフバランス判定の基準の1つに
5%ルールというものがあります。

この要件に当てはまるには、いくつかの要件が
ありますが、最も大きなポイントは、譲渡した後
オリジネーターのリスク負担割合が、譲渡した不動産等の
時価価格(通常、譲渡価格)の5%以下という点です。

5%の判定は、不動産の価値が将来ゼロになった時の
オリジネーターの負担が、5%以下というもので、
例えば、不動産の時価が100億円で、オリジネーターの
リスク負担額(通常は、匿名組合出資等のエクイティ出資額)が
5億円以下がオフバランスの条件となります。

では、当初案件実行時に、オフバランス処理出来た案件で
リファイナンスした場合、継続してオフバランス処理出来る条件は
どのようになっているでしょうか?

不動産の時価は、時の経過に伴い、変動するものです。
当初の時価でオフバランス処理出来ても、数年後の
リファイナンス時点では、別途 検討が必要です。

リファイナンスの場合、不動産等の所有権は変動しないので
譲渡価格は発生しません。そのため、リファイナンスに
合わせて不動産鑑定を取り、この評価額をもって
不動産の時価とします。

この不動産時価に対するオリジネーターのリスク負担
(通常は、匿名組合出資額等)割合が5%以下であるか
否かがポイントになります。

リファイナンスの場合は、不動産のオフバランス条件が
当初とは、少し異なる点に注意が必要です。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階

   税理士法人 淀屋橋総合会計

 http://www.yodoyabashisogo.com

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑