3月 2010アーカイブ

不動産鑑定士 修了試験

先週の3月24日に、不動産鑑定士に
なる最後の関門、修了考査の結果
発表がありました。
 
 
合格率が、約94%と、修了考査の受験資格を
得た人は、概ね合格できると言える
水準になりました。
 
今の不動産鑑定士試験は、2次試験で
合格者を絞り込まれ、修了考査は
実務レベルの確認という位置づけに
なると思います。
 
 
毎年100人余りの2次試験合格者を
出し、ほぼ同人数の修了考査受験生を
産んで、鑑定士となっていく。
という流れになるのでしょう。
 
毎年100名余りしか、鑑定士が
増えないというのは、少し寂しい
気がするし、3大国家資格の
一つと言っても、会計士、弁護士とは
登録者数で、大きく水をあけられて
います。
 
なぜ、合格者が伸びないのでしょうか?
恐らく、合格者を増やしたくないという
業界としての思いが強いからだと
思います。
鑑定士業務は、公的な業務が多く
そのパイは限られているので
合格者が増えると、1人当たりの
取り分が減ってしまうことを
心配しているからなのでしょう。
 
 

来年度の見通し

(3月決算の法人を前提として)
今年度までに、不良資産の処分が
完了して、来年度からは、気分
一心でスタートしようとしている
(不動産流動化関連)企業が
多いのではないでしょうか?
 
来年度は、営業、経常、最終
損益ともに黒字化したいと
考えておられると思います。
 
2期連続の赤字では、金融機関の
態度も変わるでしょうし、
株主も黙っていないでしょう。
 
そのために、新たなネタ探しを
始めておられるところが
多くあります。
 
ところで、日本の実体経済は
どうでしょうか?
消費が冷え込み、小売業では
縮小、閉鎖、統合が相次いで
います。
不動産の価値は、経済活動の
大きさに比例するのであれば
このような現象は、あまり好ましく
ありません。
 
日本の経済は、中国の活況で
支えられているところが、ありますので
そのあたりを、どのように扱って
いくかが、日本の経済の方向性に
大きく影響すると思います。
 

清算所得課税の廃止

平成22年10月1日以降に
解散した法人に対して
清算所得課税制度が
変更になります。

今までは、解散後、清算時に
残余財産を算出し
資金金、資本積立金、利益積立金を
合計した金額を
上回る残余財産があれば
それに対して課税されてました。
税率も、通常の事業年度で
使う税率とは、異なる
税率でした。

10月1日以降、解散した
法人は、解散から清算までの
期間について、通常の法人税
申告と同様に税務申告をします。

SPCの場合、法人を解散、清算
するケースは多いので
この改正による実務上の
インパクトは大きいことでしょう。

半年先のことですが、留意が
必要です。

不動産鑑定士の辛いところ(1)

不動産鑑定業を開始して1年程度
経過しようとしています。
その間に、鑑定業のこの目で
見ることができましたが、
そこで感じたことに、触れてみたいと
思います。

鑑定士業の特徴として、大口
顧客が、国や地方公共団体、税務署
裁判所等の公的部門の割合が
非常に高いところがあります。
また、鑑定士の指針である
鑑定評価基準は、国土交通省
つまり国が作成しています。

鑑定士制度は、国が作った
指針で、国から大きな仕事を
もらうという構造にあります。
ですから、どうしても鑑定士は
国の意向に、従わざるを
得ない体質にあります。

専門家として大切なことは
独立第三者性という、自身の
知識や判断により、物事を
考えなければなりませんが
鑑定士の場合、どうしても
国の意向に従わなければ
ならない構造になっています。

民間からの受注時に提出する
鑑定評価報告書も、国が定めた鑑定評価
基準にのっとったものに
ならざるを得ず、読みにくい
構成から脱却できないままでいます。

若手会計士の就職状況

私が、会計士試験に合格した平成5年
では(当時は、2次試験といいました。)
合格者は、700名程度でした。
それが、最近では、3000名を超え
昨年でも、2000名を越える合格者が
出ました。
単純に見ても、合格者数が3~4倍に
なったこととなります。
それだけ、会計士業界の裾野が
広がったことは間違いありません。

ここで、問題となっていることは
合格しても、就職できない いわゆる
就職浪人が、多く発生している
ことです。つまり、業界の最初の入口である
試験合格は、容易になったが、次の
入口でもある就職が、非常に難しくなって
います。

私の合格した時代も、バブル経済が
崩壊した直後で、就職が難しい
時期でもありました。ただ、合格者の
母集団が少ないことや、今ほど
会計士業界が世間に注目されて
いなかったため、今ほどの大きな問題
にはならなかったと記憶しています。

話を現在に戻します。
幸いにも大手監査法人に就職できる
会計士のたまごたちは、大変優秀だ
そうです。
恐らく、今の20歳代の人たちは、
厳しい就職状況を、知っていて
就職するためのマニュアル本や
サイト等を見て、情報を得たり
大学等で、面接の対応方法や
就職後の振る舞いなどの
指導を受けていると思います。
つまり、キッチリ予習している
人たちが、大手監査法人に
就職しているのだと思います。

また、私たちが若手会計士の
時代では、監査法人内で同期どうしの
出世競争の意識は、余りなかったと
記憶しています。

監査法人に残りたい者は、残って
そこそこの地位まで上がり
残らず、独立したい者は、退職して
独立していくという風潮があったと
思います。

今では、週謝してから数年で
職位に差が出るようです。

一般企業に勤めたことのある
私からすれば、監査法人も
大手一般企業のように、なって
きたなという実感があります。

公認会計士試験に合格するという
ことは、ひとつのステップに
過ぎず、合格してからの
努力の差の方が、もっと大切なの
でしょう。

ただ、ひとつ言えることは、
若手の会計士が、今の時代の
しんどいところを、背負わされている
ような気がしてなりません。
仕組みを作ったのは、年配の
人であるが、その不具合を
若年層が負担していることが
気になります。