特定目的会社の最終配当 早期にする方法

特定目的会社(TMK)スキームの場合
配当は、中間配当と決算による配当で
年間最高2回となることが一般的です。

特定資産(不動産等)の売却が完了し
ローンの返済が終わり、優先出資者へ
最終配当をする時は、上記の2つの方法
ではなく、TMKを解散し、決算をすることで
配当金を支払うケースが、一般的です。

ただ、解散による配当金支払は、解散決議を
し、解散登記をしてから、2ヶ月間の
官報公告期間を待たなければなりません。

早期に最終配当を受け取るには、少し
工夫が必要です。
その方法は
① 特定資産売却でローン返済が終わった時点で
定款変更をして、決算を行います。
決算により利益配当を受け取ります。
その後、優先出資の全額減資をして、出資元本を
返還します。

上記をスピード感をもってすれば
特定資産売却から、1ヶ月余りで、完了することも
可能です。

例えば、1月末に特定資産を売却し
3月末までに配当金や元本償還を受けたいのであれば
上記のような手順を踏めば、間に合うことも可能です。

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SPC保有不動産と近隣問題

SPCの保有する不動産が、商業系不動産の
場合、何らかの音を発することで、近隣
住人からクレームを受けることがあります。

クレームがある近隣住人は、対象となる
不動産の登記簿謄本を入手します。
不動産の名義人であるSPCをたどっていけば
私どもの会計事務所に辿り着きます。

そして、何らかのクレーム文書が
会計事務所に届くことがあります。

会計事務所としては、クレーム文書が届いても
具体的な対応は出来ないので、その時は
AM会社が近隣住人との協議をすることに
なります。

私どもの担当案件の中には、調停になり
双方 弁護士を立てて協議しているものもあります。

SPCは形式的な不動産オーナーですが
調停や場合によっては、訴訟等になれば
被告という当事者として、矢面に出ることになります。

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地権者を集約する民事信託スキーム

不動産投資でのSPCは合同会社や特定目的会社が
一般的ですが、多数の土地保有者をまとめるため
設立されるSPCがあります。

阪神地区での不動産開発事業で、個人の地権者が
多数いるプロジェクトで、その土地を賃貸して
1つの事業者が、事業展開を計画しています。

多数の個人地権者と土地賃貸契約を締結する場合
例えば、相続が発生すると地主が変わり
変更の覚書を交わすなど、事務作業も増えます。

また、相続人が反社会勢力者の場合、賃貸契約が
終了し、事業者の事業が停止するリスクがあります。

このような契約の不安定さを改善するため
全地権者を信託委託者とし、信託受託用の法人を
設立し、民事信託を締結するスキームがあります。

一般に信託は信託業法の適用を受け、信託の
免許を持つ事業者しか信託受託出来ませんが
民事信託の場合、信託業法の適用はなく
信託の免許なしで受託することが出来ます。

この場合、地権者は信託受益権者になり、事業者と
賃貸契約を直接締結することはありません。

事業者は、受託法人と賃貸契約を締結します。
事業者が、受託法人に支払った賃料は、信託決算を通じて
信託配当として、受益者に支払われます。

このように民事信託を利用すれば、
①法的・契約的に、地権者を集約する。
②経済的には、地権者は受益者として賃料収入を得る。
ことになります。

法的・税務的に注意すべき点がありますが
民事信託は、複数地権者を集約する機能としては
利用するメリットはあると思います。

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メイン口座からリリース口座への振替可能額 

SPC案件では、メイン口座、リリース口座、営業者口座など
複数の銀行口座を開設することは一般的です。

ただ、ローン契約等でメイン口座内で、元利金返済額の積立や
オペレーションコストの積立などを管理することを
定めていることがあります。

会計処理上は、同一口座内の積立は表現されないので
別途、管理する資料を作成しなければなりません。

その名称は、案件によって様々ですが、『勘定残高管理表』などの
名称の資料を作成します。

この資料の作成目的は、メイン口座からリリース口座への
資金振替をする際、いくらまで振替出来るか把握することに
あります。

メイン口座の残高があれば、残高相当額をリリース口座に
振替は可能ですが、メイン口座残高のうち
積立すべき残高がいくらであり、リリース口座への振替額を
日々把握するには『勘定残高管理表』を作成しなければ
なりません。

このようにSPC会計業務では、会計処理だけでなく
預金口座の管理もローン契約書等に定められており
別途、管理資料を作成しなければならないことが
あります。

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宮崎県にある太陽光発電所

担当のSPCに、宮崎県の太陽光発電所がございます。

8月上旬には、宮崎県で大きな地震があり
その後、「南海トラフ地震臨時情報」が出るなど
大きな被害が心配されました。

地震後、すぐに現地管理会社が発電所の点検を
行ったところ、発電設備自体には全く被害がなく
一安心しましたが、発電所の敷地内にある備品の
保管倉庫の窓が割れる被害がありました。

地震の大きな揺れにより、中に置いている備品が
大きく動き、窓を突き破ってしまったようで
倉庫の窓の補修が必要となりました。

さらに、8月末には台風10号が宮崎県に接近し
宮崎県に限らず、日本中いたるところで、風雨
による大きな被害が発生しました。

台風直後も、すぐに現地管理会社が発電所の点検を
行いましたが、幸い台風によるこちらの発電設備へ
の被害もありませんでした。

今回は、幸いにも地震、台風ともに大きな被害は
ありませんでしたが、別の発電所では、落雷の
被害がありましたし、今後も日本各地で、様々な
災害が起こることは避けられません。

しかし、近年、太陽光発電所では、なかなか保険を
引き受けてもらえないのも現状です。

保険契約が出来たとしても、補償の範囲は限られて
おり、特に地震は、特約もつけられず、被害が出た
場合も、保険適用が出来ない事も多いです。

発電所の運営に限らず、私達の日常生活においても
大きな災害が起こらないことを願うばかりです。

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DSCR計算時のオペレーティング費用の扱い

プロジェクトファイナンスの際、資金繰の健全性チェックのため
四半期毎にDSCR計算をすることが一般的です。

DSCRは、一定期間の『営業CF』が、対象期間の元利金支払い
どの程度余裕あるかを示す指標です。

毎月の手取り給与が30万円で、食費等の必要な生活費を10万円とすれば
残り20万円で住宅ローンを支払います。毎月のローン支払いが
10万円の場合、DSCRは20万円÷10万円(ローン支払)=2が
DSCRになります。

DSCRは、数値が高いほど良く、例えば、DSCR基準値を、1.2以上
など一定値以上に設定しています。

この計算方法で、問題となるのが、『営業CF』計算時の
オペレーションコストの算出です。この算出は
契約書記載の計算方法の解釈で、差が出ることがあります。

オペレーションコストに消費税を含むか否かは
契約書のDSCR計算定義に記載していることが一般的で
税抜で計算すると記載するケースが多いと思います。

投資対象がオフィスビル等でSPCが課税事業者で支払った
消費税が満額還付されるようなケースでは、オペレーションコストは
消費税申告時に精算され、税抜で問題ありませんが、
投資対象がレジ物件で消費税が還付されないケースでは
オペレーションコストは、税込で計算することが正しいと
思いますが、計算方法の定義で、そこまで意識していない
案件も散見されます。

この他、オペレーションコストの範囲に振込手数料は含むか
また、年次計画記載のオペレーションコストより算出するなど
案件によって、その定義が異なります。

この点は、アセットマネジメント会社と十分打合せをしながら
計算書を作成しております。

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営業者口座のないSPC

匿名組合契約では、匿名組合が営業者に年間20万円程度の営業者報酬を支払う
ことが一般的です。この営業者報酬は、SPCを維持するため事業を行っている
匿名組合が、営業者(SPC)に対して報酬を支払うというものです。
ただ、この営業者報酬は、SPCの内部取引のため、SPC全体の決算では内部取引
として消去され表示されることはありません。匿名組合決算の損益計算書で
『営業者報酬』として表示されます。
 
SPC案件では、営業者用の預金口座として、『営業者口座』が準備されることが
一般的です。営業者報酬は、匿名組合決算に合わせて匿名組合口座から営業者
口座に送金されます。営業者は、受取った営業者報酬で法人税等の納税資金に
充当します。
 
案件によっては、営業者口座がなく、匿名組合事業を行う事業口座のみという
案件もあります。そのような場合、営業者報酬をどのように扱うかが問題と
なります。
 
匿名組合契約書には、営業者報酬の記載はあるので、匿名組合経理では営業者
報酬を計上します。しかし、営業者口座はないので、営業者報酬の精算処理はなく
経理が進みます。その結果、営業者から匿名組合に対する営業者報酬を受取る
債権が計上され、匿名組合では反対の債務が計上されます。営業者口座がないので
これらの債権債務は計上されたままで、匿名組合経理上残ることになります。

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【消費税】基準期間の課税売上高の判定

消費税申告書を作成する際に重要となるのが「基準期間の課税売上高」ですが、
先日はその判定を慎重にしなければならない機会が2度ございました。

【ケース1】
設立3期目となる不動産関連SPCの消費税申告書を作成するケース
この場合、前々事業年度の課税売上高が判定の基準となりますが、会計ソフトで
作成した申告書のチェックを行う際、前々年度の課税売上高とは異なる金額に
なるケースがあります。

設立1期目は、基準期間(事業年度)が12ヶ月未満のケースが多く、課税売上高を
12ヶ月に換算
して判定しなければいけません。
前々事業年度の課税期間の課税売上高をその課税期間の月数で割り、
これに12を掛けて算出した金額で判定します。

【ケース2】
SPCが免税事業者であったが、課税売上高が増加するなどして
消費税課税事業者になる時に提出する
『消費税課税事業者届』に記載する「課税売上高」です。

「基準期間(前々事業年度)」で判定する際は、「課税売上高」のみで判定します。
「特定期間(前事業年度)」で判定する際は、前事業年度の最初の6ヶ月で
① 課税売上高が1,000万円を超えた場合 または
② 給与支払額が1,000万円を超えた場合
課税事業者となり消費税の申告義務が発生します。

なお、免税事業者であるSPCの課税売上高の判定は、税込額
行うことにも、注意が必要です。
 
通常、SPCでは給与支払いが発生しないので、「特定期間」の課税売上高で
消費税課税事業者に該当することは、ありません。

インボイス制度が始まった今、消費税制度が、複雑になりました。
SPCが課税事業者になるか否かの判定基礎となる
「基準期間の課税売上高」の正確な判定は大切です。

この判定を誤り、免税事業者と理解していたSPCが
課税事業者であった場合、そのインパクトは大きく
慎重かつ正確な判定が大切と感じました。

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契約書等への押印手続

SPC会計業務をしていると、契約書や作成書面への
押印作業は、定期的に発生します。弊事務所でも
SPCの印鑑をお預りしているためです。

今まで、多くの書類に押印をしてきました。
押印の種類について、整理しご説明したいと
思います。

押印の種類
① 署名欄への押印
② 割印・・・複数枚の契約書の綴じた部分への押印
③ 捨印・・・主に登記申請書類の場合、軽微な修正を
司法書士が出来るようにする押印

になります。①②は必須となりますが、③まで押印するケースは
少ないように思います。

レジ案件のSPCでは、年度末付近は、テナントの入れ替えも
多く、押印する頻度も多くなります。

シングルテナントのSPCの場合は、テナント入れ替えによる
押印は少ないので、リファイアンスの際には、押印の頻度が
上がりますが、押印する頻度は多くありません。

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会計上 税務上

SPC会計で問題となるポイントに、会計上問題ないか、
税務上問題ないかという2つがあります。

会計上の問題は主に費用処理すべきものを資産計上する等、
費用を繰延計上し、利益を出す方向にある経理処理が
認められるかどうかというポイントです。

一方、税務上の問題は費用処理が認められるかというポイントです。
税務上は消費税で課税取引か非課税取引かというポイントも
ありますが、ここでは法人税上の費用処理が認められるか否かに
ポイントをあててお話します。
 
税務上の問題は、費用処理をして課税所得を少なくするか否かが
ポイントで、費用処理出来るものを繰延処理しても問題になることは
ありません。

具体的には、減価償却の耐用年数を税務上は20年のところ、
30年で処理する、もしくは減価償却資産の取得価額を広く解釈して、
費用処理出来るものを取得原価に含める場合などです。
税務上認められない処理をすると税務調査等で法人税納付漏れなどの
リスクが発生します。

一方、会計上の問題は、税務上の問題とは180度逆の論点が多く、
費用処理出来るものを資産計上する場合などが該当します。

SPCが上場会社の連結子会社の場合、SPCの決算数値が連結財務諸表に
反映されます。また、通常は連結上の親会社と同じ経理処理方針が求められる
ことから、親会社の方針がSPCの経理にも影響します。

このようなケースでは、SPCが会計監査を受けるケースも多く、会計上の
問題をクリアーしなければ、決算を締めることが出来ないこともあります。

SPC会計では、このような会計上の問題と税務上の問題の2つをクリアー
出来る経理処理が求められます。

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