1月 2010アーカイブ

国際会計基準がSPC会計に与える影響(2)リース取引

現行の日本の会計基準では
リース取引がファイナンスリース
取引となるかどうかの判定では、
現在価値基準や経済的耐用年数基準
などの数値基準があります。

言い換えれば、数値基準を
クリアーすれば、オペレーティング
リースと判断され、借り手は
リース資産やリース債務を
計上する必要はありません。

しかし、国際会計基準では
日本基準のような数値基準は
なく実態判断により行います。

また、土地・建物の賃貸借の
場合、日本基準では土地は
耐用年数が無限のためオペレーティング
リースとなり、建物については
先述の数値基準で判定を行いますが
国際会計基準では、土地・建物を
分けて判定は行わず、一体として
判定を行います。

そのため、企業や監査人の
判断により、その扱いが
異なる可能性があります。
結果として、オペレーティング
リースと判断される基準は
厳しく可能性が高いと思います。

その結果、収益物件を
長期で、賃貸借している場合の
賃借人は、リース資産として
計上しなければならないケースが
増えると予想されます。

国際会計基準導入に
向けて、リース契約(賃貸借契約)の
条件を見直すことも必要に
迫られるかもしれません。

国際会計基準導入がSPCに与える影響(1)

将来、日本の会計基準が
国際会計基準に、置き換わる
可能性が、非常に高くなって
来ています。
その場合、会計基準が、根底から
変わることになりますが
SPC側の会計処理に
限定して、ここでは
取り上げたいと思います。

まず、SPC連結に関する
テーマです。
現行の日本の会計基準では
SPCを連結から除外しても
良いという規則があります。
財務諸表等規則 第8条7項
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S38/S38F03401000059.html

しかし、国際会計基準では
このような規定はなく、原則として
SPCはエクイティ出資者等の
連結子会社となります。

実務的には、SPCは
どこかの連結子会社になっている
ケースは多くあると思います。

連結子会社になると、次に
やっかいな問題が発生します。
それは、親会社と子会社の
連結決算日を、原則として
揃えなければならないという
規則です。
一部では、経理作業の
分散化のためSPCの決算日と
親会社の決算日を、ずらしている
ことがありますが、これが
原則としては、認められなくなります。
連結子会社の決算日を、親会社と
ずらす場合、その理由を開示
しなければなりませんが
そこに、経理作業を分散させるため
では、理由として通らないと
国際会計基準では、定めています。

これについては、もし
従来、SPCの決算日をずらしていた
会社が決算日を変更するように
なれば、大変な作業を要しますし
決算作業が、決算日後に集中する
ことは避けられないため
大きなインパクトが
あると思います。

これについて、親会社の経理担当者は
監査法人の方たちと、早い段階から
話題に挙げておくべきこと
でしょう。

それってあり?

私たち公認会計士等の士業の
者には、法律上守秘義務が
課されている。
そのため、私を含め事務所の
職員にも、そのことは徹底している。

しかし、東京にある大手の
SPC周りの会計をする会計事務所が
少しびっくりするようなことを
していることを聞きました。

私どものような、SPC周りの
会計をしている会計事務所は
具体的な不動産について、売却
予定次期、ストライク価格等
不動産仲介業者からすれば、
喉から手が出るような情報を
たくさん持っている。

事実として、今までに
登記簿謄本等を見て、私の事務所に
不動産業者が、突然訪問してきたことが
何度もあり、これからも同様の
ことがおこると思います。

そのような不動産情報は、登記簿謄本に
表示されていること以外は、絶対
話すつもりはありません。

ところが、東京のある大手会計事務所
では、そこの名刺を持った会計士等の
資格をお持ちでない方が、
守秘義務に触れないように情報を
ぼやかしながら売却の不動産情報を
出しているようです。

要するに、このような厳しい不動産
市況では、なかなか買い手が見つからない
ので広く買い手を探す作業に、会計
事務所が一役買っているのです。

もし、買い手を見つければ、何がし
かの手数料が、会計事務所に
落ちることなのでしょう。

不動産の世界を知ればわかることなのですが
不動産の取引で、仲介手数料収入は
大きなリスクもなく、高額な手数料を
得られるため、オイシイものです。
これを業とする業者は、この世の中
ゴマンといます。
会計事務所に支払う経理業務の費用は
本当に微々たるものだと感じます。

ですから、買主を見つけるビジネスは
それなりの収益があがるのかもしれません。
しかし、会計事務所の根幹である
守秘義務という信用に、傷つくかもしれない
ことをしてまで、関わることではないと
思います。

私の事務所では、これからも守秘義務は
厳守していきます。

賃貸等不動産の時価開示

賃貸等不動産の時価開示の
対象となる企業は、その
作業が本格的になっている
ことでしょう。

そこで、一番関心が高いことは
開示対象となる不動産の
時価をどのように、把握するか
ということでしょう。

単純に言えば、不動産鑑定を
取るか、自社で見積もるかに
なるのですが、監査法人から
すれば、不動産鑑定を取るように
促すケースが多いと思います。

このように、不動産鑑定と
企業会計との結びつきが
深まってきています。

不動産鑑定を依頼する場合
そのコストが膨らむため、企業は
簡易鑑定で出来ないかとも
考えます。
そこでの会計基準の基本的な
考え方は、簡易鑑定ではなく
正式な鑑定を求めています。
但し、一定の条件の下では
簡易鑑定も可能となっています。

正式な不動産鑑定と、簡易鑑定
との取り扱いについては
国土交通省が、対不動産鑑定士に
ガイドラインを公表しているので
参考に、なります。

http://tochi.mlit.go.jp/kantei/20091224zaimushohyo.pdf

一度、ご覧下さい。

今年の挨拶回りの感想

今年の最初の1週間である
先週には、お取引先の
挨拶回りを済ませました。

挨拶回りをすると新年が
始まったと身をもって
感じます。
そこでは、いろいろな
方と、今年の見通しなど
新年ならではのお話を
します。

今年は、総じてネガティブな
コメントが多かったと思います。
今の情勢を見れば、当然と
言えば当然ですが、
私の事務所が、今年早々にも
移転するという話をすれば
このような時期に、よく
決断されましたね、という内容の
ことを、いろいろな方に
言われました。

確かに、今では事務所縮小
撤退などの話をよく聞きますし
賃料の引き下げ交渉の
話もよく聞きます。

でも経営的には、このような
時期の方が、経済的に移転する
ことも可能ですし、今の
間に移転して、少し広いスペースを
確保し、次のステップに備える
ことが、大切だと思います。

今年は、事務所の職員には
話しましたが、明るく元気に
仕事に取り組みたいと
思ってます。

ノンリコースローン融資

証券化での銀行ローンは
ノンリコースローンと言って
証券化対象資産しか
遡及しない『責任財産限定特約』の
ついたローンが実行されます。

そのノンリコースローンを出す
金融機関は、ノンリコースローンの
実行に消極的です。
ノンリコースローンの場合
遡及つまりローンの返済原資となるのは
対象資産のみであり、貸し手(金融機関)
から見てコーポレートローン(遡及資産が
限定されない通常の企業融資)と比べれば
遡及出来る資産が、限定されます。

であれば広く遡及出来るコーポレート
ローンの方が、安心という考えが
広がっています。

証券化対象資産が、輝いて見ることが
出来る時勢では、コーポレートより
ノンリコースローンの方が、優位に
感じられますが、今のように
デフレ傾向で資産価格が、低迷する
状況では、資産が色あせて見えるので
コーポレートローンの方が
好まれるのでしょう。

ノンリコースノーンの実行され
にくいことが、最近の流動化案件の
組成状況を物語っています。

ノンリコースローン融資

証券化での銀行ローンは
ノンリコースローンと言って
証券化対象資産しか
遡及しない『責任財産限定特約』の
ついたローンが実行されます。

そのノンリコースローンを出す
金融機関は、ノンリコースローンの
実行に消極的です。
ノンリコースローンの場合
遡及つまりローンの返済原資となるのは
対象資産のみであり、貸し手(金融機関)
から見てコーポレートローン(遡及資産が
限定されない通常の企業融資)と比べれば
遡及出来る資産が、限定されます。

であれば広く遡及出来るコーポレート
ローンの方が、安心という考えが
広がっています。

証券化対象資産が、輝いて見ることが
出来る時勢では、コーポレートより
ノンリコースローンの方が、優位に
感じられますが、今のように
デフレ傾向で資産価格が、低迷する
状況では、資産が色あせて見えるので
コーポレートローンの方が
好まれるのでしょう。

ノンリコースノーンの実行され
にくいことが、最近の流動化案件の
組成状況を物語っています。

イスラム金融

新年おめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

野村證券が、イスラム金融ビジネスに
参入したとの報道がありました。
私どもの事務所でも、過去に
イスラム金融に関して、問い合わせを
受けたことがありました。

イスラム金融は、潤沢なオイルマネー
を背景として、資金が豊富にあるので
金融関係者としては、投資資金の
調達側として、魅力あるもの
です。

一方で、イスラムの世界では
お金を貸し付けて、金利を取ることは
搾取に当たるとして禁じられています。

つまり、潤沢な資金があることは
大変な魅力なのですが、その
資金調達方法には、イスラム法典の
制限があり、クリアーしなければ
ならないハードルがあるのです。

そこで、使われるのが、SPC(特別目的
会社)です。
金利がだめなので、リース(賃貸借)
形式として資金を調達します。
リース形式にすれば、金利と元本を
合算したリース料収入を得ることで
借り手は、金利支払ということを
表面化せずにすみ、貸し手側も
リース料受取とすることで、金利
収入をぼやかすことができます。

これから、イスラム金融が
日本に投資するようになれば、同様の
仕組みを利用することになるでしょう。