外形標準課税対象法人の見直し

令和6年税制改正大綱で、外形標準課税対象法人が見直されることが発表されました。
これまでは、資本金1億円超の法人に外形標準課税が課されていました。

資本金を資本剰余金へ振り替ることで減資を行い外形標準課税の対象から外れる会社や
持株会社化、分社化をして、子会社の資本金を1億円以下に設定するなどして
グループ法人の一部のみが外形標準課税の対象になるようにしているケースが
散見されることから今回見直しが行われたようです。

①今後は、資本金が1億円以下でも以下のすべての条件に当てはまる場合は、
外形標準課税の対象となります。(令和6年税制改正大綱 P51)

前事業年度終了の日資本金の額が1億円えている
・当該事業年度の資本金資本剰余金合計額が10億円えている

②また、資本金資本剰余金合計額50億円を超える法人の100%子会社は、
事業年度の終了の日の資本金資本剰余金合計額が2億円える場合は、
外形標準課税の対象となります。(令和6年税制改正大綱 P52)

①は、令和7年4月施行予定で(令和6年税制改正大綱 P52)
②は、令和8年4月施行予定です。(令和6年税制改正大綱 P53)

今回の改正以前から特定目的会社(TMK)は、外形標準課税対象外であり、
改正の影響は受けません。(東京都 外形標準課税制度 対象法人QA

GK-TKスキームの場合も通常は、GKの資本金は少額に設定されますので、
資本剰余金との合計額でも2億円を超えることはなく
影響を受けるSPCはありません。

この改正は、通常のSPCに与えるケースは、ほとんどないものと
思います。

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電気供給事業SPCの為替差益

私どもでは、太陽光やバイオマス等を
利用した電気供給事業を手掛けるSPCが
多くございます。

電気供給事業では、発電所が完成し
売電が始まると、売電の収入金額に応じて
事業税の「収入割」が発生します。

担当させていただいているSPCで、発電所の
製造段階で、海外より部品を輸入した関係で
ドルでの外貨預金残高があるSPCがございます。

決算書は、すべて円で表記しなければならないので
決算毎にその時の為替レートでドルから円に換算
しておりますが、今期の決算時に少額の為替差益
が発生しました。

為替差益は営業外収益となりますが
「収入割」の課税標準となる収入になるのか
念のため、管轄の都道府県税事務所に確認しました。

あまり前例がないそうで、回答に時間を要しましたが
「控除できると明記はされていないが、為替差益の
ように、実際にはキャッシュが動いているものでは
ない評価額によるものは、収入から控除してよい」
との回答でした。

但し、都道府県民税の申告の際に提出する
第六号様式別表六「収入金額に関する計算書」の
収入金額の総額と控除される金額の両方に記載が
必要との事でした。

外貨預金のあるSPCはあまりないかと思いますが
参考にしていただければと思います。

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事業税収入割 申告の添付資料

太陽光発電や、バイオマス発電等の

発電事業者の場合、SPCの本店の

所在する都道府県に対して、事業税

収入割(売電収入の一定割合を納税)が

発生します。

収入割課税が発生するSPCに対して

大阪府の府事務所は、通常の所得割課税

しかない法人とは異なり、

  • 貸借対照表、損益計算書等の決算書
  • 法人税申告書の別表4
  • 雑収入の内訳書

を添付書類として、提出を求められます。

収入割課税の場合、所得割とは異なり

売上高や雑収入の中身を府税はチェックしたいようです。

また、事業実態として、発電所が

バランスシートに計上されてることも

確認するため、貸借対照表の提出を

求めていると思います。

事業税の収入割が発生する場合、通常の

法人とは異なる添付書類の提出を

求められることに、注意してください。

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法人事業税(収入割)の税率改正

売電事業を行う事業者の事業税(収入割)が、
2020年(令和2年)4月以降に
開始する事業年度から、改正されております。

2020年4月以降に開始する事業年度から、
収入割(売電収入の1.05%)(特別法人事業税込)と
所得割(所得の1.85%)に改正されました。

売電事業者でも、所得割が発生している点と
合わせて、収入割の税率が低下しています。

資本金が1億円以上の場合は、更に複雑になり
所得割はありませんが、付加価値割や資本金割が
発生します。

売電事業をする事業者は、事業計画を
作成されていると思いますが
税率変更を織り込む必要があります。

僅か変更かもしれませんが
税率変更は、売電事業者の
収益性には、影響する
ことに間違いありません。

売電事業の場合、将来10年や20年などの
損益予想をされている事業者も多いと思います。

今後、事業税の税率も変動する
可能性も否定できません。

税率改正は、事業計画に
織り込むべきでしょうし
将来どの程度、税率が変更するかは
分かりません。

損益計画や資金収支計画は
将来の税率変動リスクを
見込んで、少し余裕を持って
作成することが、事前の策に
なると思います。

決算申告に添付する資料

決算・申告を行う際には、
いろいろな決算資料の提出が
必要です。

担当しておりますSPCは
決算で減価償却の計上がありました。
その場合、固定資産台帳の提出が必要となります。

ただし、法人税申告書別表16等で、
明細レベルの固定資産毎の償却額を
記載している場合は提出不要です。

また少額減価償却資産の損金算入の特例を受ける場合には
取得金額に関する明細書を添付しなければなりません。

消費税申告にも還付がある場合、
還付金額が100万円を超える時は、
還付の原因となった契約書
(工事請負契約書等)の写しを、
添付資料として税務署に提出が必要です。

提出した書類や申告書は
法律で保存期間がそれぞれ定められておりますので
申告後も保管が必要です。

電気供給事業とそれ以外の事業を同時に営んでいる会社の事業税

JUGEMテーマ:会計・経理・財務

 

以前、電気供給会社の事業税収入割課税についての記事の中で、

 

電気事業と電気事業以外の事業を同時に営んでいる場合、

それぞれの事業部門ごとの区分計算を行い、

電気供給事業は、収入割

その他の事業は、所得割(資本金が1億円以上の会社は、+付加価値割と資本割)

を計算し、合算額を納税する必要があることをお話ししました。

 

原則は、そうなのですが、例外が認められていて、

主たる事業の売上に比べて、それ以外の事業の売上が軽微であり、

主たる事業の付帯事業として行われていると認められる場合は、

どちらか一方の課税方式で税額計算をすることができます。

 

例えば、弊所の顧問先様で、ホテル事業を展開しており、それがメインの事業なのですが、

同時に太陽光発電設備も設置していて、売電収入もあるという会社様がありますが、

ホテル事業の売上に対して、売電収入はわずかなので、すべてを所得割課税で計算しています。

 

また、別の顧問先様で、バイオマス発電事業を営んでいる会社様は、

自社の発電の為に製造している木材チップを他社に販売することもあるので、

売電収入以外の収入も発生しています。

ただ木材チップの売上高は少額ですので、すべての所得を収入割課課税方式で計算しています。

 

主な事業にくらべて従たる事業が、「軽微なもの」に該当するには、

従たる事業の売上が主たる事業の売上の10%程度以下である必要があります。

 

本業に加え、新たに太陽光発電を設置する場合、

規模等によっては赤字でも収入割課税の事業税を支払うことになることもあるので、

ご注意ください。

 

弊所は、発電事業者様の税務を多く取り扱っておりますので、

副業で太陽光発電事業を考えておられる方などは、お気軽にご相談ください。

 

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電気供給会社の事業税収入割課税

JUGEMテーマ:会計・経理・財務

 

事業税は、都道府県民税の一種です。

 

資本金が1億円以下の法人は、所得に応じて課税されます。(所得割)

資本金が1億円超の法人は、所得割のほか外形標準課税が適用され、

所得割のほか、資本金等に応じて係る「資本割」

報酬給与額、純支払利子、純支払賃料に応じて係る「付加価値割」が課税されます。

 

ただ、電気・ガス供給業を営む法人は、資本金の額にかかわらず

「収入割」課税の対象です。

弊所の顧問先様に多い太陽光発電、地熱発電、バイオマス発電など

再生可能エネルギーでの発電事業もこれに分類されます。

 

「所得割」というのは、売上から経費を引いた所得にかかりますが、

「収入割」というのは、収入(売上)に対して課税されます。

ですので、たとえ赤字でも収入があれば事業税を支払うことになります。

(収入のうち、受取利息や保険金、固定資産や有価証券の売却益、補助金など

 電気事業以外の収入は除外されます。)

 

同時に、電気事業以外の事業を営んでいる場合、

電気事業の売上は収入割、その他の事業には所得割(及び外形標準課税)と

別々に計算しなければなりません。

 

また、電気事業だけを営む法人であっても、発電設備建設中などで、

収入が発生していない場合は、所得割等課税の対象となります。

発電設備建設中で売上が無ければ、所得(利益)もないでしょうから

資本金が1億円以下の場合は、事業税は発生しませんが、

資本金が1億円を超える法人の場合は、外形標準課税となりますので、注意が必要です。

 

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