9月 2009アーカイブ

賃貸等不動産の時価開示対策

賃貸等不動産の時価開示が
3月決算の法人の場合、
平成22年3月末から始まります。

あと半年後に迫っています。
最近、大手不動産鑑定会社の
方とお話しする機会があり
上場企業の賃貸等不動産の
時価開示に関する準備の状況は
どうでしょうかと質問を
受けました。

大手鑑定会社では、来年早々
あたりに賃貸等不動産の
時価開示のための鑑定評価が
殺到するのではないかと
危惧されていました。
仕事がくる話なのに、なぜ
危惧されているたというと
短期間に仕事が集中すると
大手の鑑定会社でも、対応
しきれないことに、危惧されていました。

会計基準では、賃貸等不動産について
不動産鑑定評価を取ることを
義務付けておらず、代替的な
方法(公示価格等を利用する。)を
容認しています。
しかし、代替的な方法による
評価額では賃貸等不動産の
実態を反映できない時は
鑑定評価を取るべきなのでしょう。

何をもって実態を反映していない
賃貸等不動産なのかどうかを
判断することは難しいですが
特殊使用の不動産、簿価の大きい
不動産は、鑑定評価の対象に
なりやすいと思います。

CRE戦略に必要な2つの目線

CRE戦略には、不動産マーケットの
目線とビジネスの目線の二つが
必要です。

最近新聞で、CRE戦略を取り上げた
広告等をよく見かけます。
CRE戦略を成功させるには、何が
大切かと言えば、2つの目線が、必要かと
思います。

1つ目が、不動産マーケットの目線です。
具体的には、事務所を賃借している場合
賃料相場や推移、契約締結の経緯を確認して
賃料水準が、市場より高いのかどうか
また、所有不動産の利用状態や近隣の
状況から見て、有効利用できているのか
どうかという目線が必要です。

2つ目が、ビジネスの目線です。
例えば、事務所を賃料相場に
見合った金額で借りている。
また、所有する不動産は、近隣の
利用状況等から見ても
有効利用している。
これで、あれば何も改善余地が
ないように思えます。

しかし、事務所の人員から見れば
事務所が広すぎたり、他の営業所との
兼ね合いから統合した方が合理的
であったり、経営的な観点から
有効利用出来ている不動産を
売却して、もっと立地の良いところへ
転居することが合理的などが
考えられます。

1つ目の不動産マーケットの目線は
市場データを丹念に集めてくれば
ある程度、問題点を見出すことが
出来ます。
2つ目のビジネスの目線は、対象
会社のビジネスを理解することが
必要で、不動産データを収集
するだけでは、見えてこないところ
です。

内部統制の次は、国際会計基準

今年の3月頃までは、上場企業の
内部統制を構築するコンサル業務が
監査法人の大きな収益源に
なっていました。

そんなこともあり、特に大手
監査法人では、ここ数年で
大量の新人会計士を採用し
組織が短期間で、巨大化しました。

オフィスビルのテナントとして
監査法人は大口かつ優良なテナント
として好まれております。

ところが、最近では内部統制支援業務も
ひと段落となったため
大手監査法人では、事務所内に
新人会計士があふれる事態に
なっており、監査法人の幹部の
方たちの悩みの種となっております。

なんとかして仕事を増やしたいのですが
最近の経済環境から既存クライアントからの
報酬値上げは、難しいですし
株式公開による顧客開拓も
進んでおりません。

そこで、今期待されているのが
国際会計基準の導入です。
国際会計基準の導入にあたっては
上場企業は、従来の会計処理とは
大きく異なる対応が求められます。
そのサポートや支援を監査法人が
担うことを考えているようです。

今は、監査法人では国際会計基準の
研修に注力しており、国際会計基準の
コンサル業務が出来るような体制を
整えています。

案件での役割分担

流動化案件を組成する前には
それぞれの契約書を作成し
様々なイベントが発生した
時に、どのように対処するか
予め定めています。

しかし、当初契約書を
作成した時点では、想定していない
事態がおこることも、しばしば
あります。

そんな時に、困るのが
AM会社が形式的にしか
案件に関与していないケースです。
この場合、AM会社は、何も
してくれないことが多く
また、AM会社の担当者も面識が
なく、AM会社に頼っても
事態が解決に向けて
一向に進まないことがあります。

AM会社に変わって、そのアレンジャーが
換わりになったりするなど、
案件に応じて、その関わりが
深いプレイヤーが、取り仕切る
こともあります。

当初、予定していなかったことが
発生したときは、尺時定規には
話が進まないことが多いです。

会計基準変更がSPC会計に与える影響

これから、不動産に関して
会計基準の変更が、目白押しに
続きます。
資産除去債務会計
賃貸等不動産の時価開示・・・

これらはSPC単体の会計に影響を
及ぼすものと思います。
SPCの会計では、連結の範囲に
入るかどうかが、一番フォーカスが
あてられますが、これは企業グループ
全体の経理に影響することで
SPC単体の経理に、直接影響する
ものではありません。

ここでは、SPC単体の経理に
影響することを中心に触れていき
たいと思います。

まずは、資産除去債務会計。
定期借家の場合、契約満了時に
資産除去債務は、発生しませんが
定期借地の場合、契約満了時に
建物除去費用が発生するので
現時点で、見積もられる除去債務の
現在価値を負債計上することと
なります。

商業施設を保有するファンド等で
定期借地で土地を利用している場合は
この会計が適用されることに
留意が必要です。

ただし、そもそもの話として
SPCにも上場会社と
同様に、資産除去債務会計等が
適用されるかと言えば、SPCが上場会社の
連結子会社等で連結決算に含まれるので
あれば、基本的には上場会社と
同様の経理処理が求められるでしょう。

しかし、上場会社の連結子会社に
ならないSPCや非上場会社のSPC
であれば、上場会社と同様の
経理処理までも、求めなくて良いと
考えています。

借換案件のローン条件

新規に組成される案件は、
少なくなって来ていますが
借換(リファイナンス)の案件が、
多くなってきています。

その時の、リファイナンスの
条件が、数年前にファイナンスを
受けた時とは、経済情勢が
変わっているため、融資条件にも
変化が見られます。

パターンとしては2つあり
1つ目は、金融支援的な
リファイナンスで、この場合
当初受けたファイナンスよりも
融資条件が、やや緩いものと
なっているか、若干厳しくなって
いるもので、大幅な変化が
ないパターンです。
この場合、条件を厳しくすると
スキームが、途中で破たんし
引いては、レンダーにも影響が
及ぶため、とりあえず、この
厳しい経済環境を、乗り越えて
ほしいという思いが、寄せられている
案件と言っても良いと思います。

もう一つのパターンは、
当初の融資条件と比べると
数段厳しくなっているものです。
LTVや金利のスプレッドだけでなく
ウオーターホールも、厳格に
なり、レンダーの保全のための
案件と言っても良いといわれる
ほどの案件もあります。

9月には、借換えを迎える案件も
多くあろうかと思いますが、
上記のいずれかのパターンに
はまるものが多いのではないでしょうか。