ビックカメラのオフバラ処理否定
ビックカメラが、平成14年8月に
実行した不動産流動化での
オフバランス処理を訂正し
オンバランス処理にしました。
証券取引監視委員会の
指摘を受け、過年度の決算を訂正した
そうです。これに伴い、平成19年10月に
対象不動産(本社等)を買い戻した際に
受け取った清算配当益約49億円も
取り消しました。
不動産流動化でのオフバランス処理
において、オリジネーター(今回の
場合、ビックカメラ)が、オフバランス
処理の際にリスク負担割合が、5%を
超えない場合は、オフバランス処理
出来ます。
このリスク負担割合とは、
『取引後のリスク負担額』を『不動産を譲渡
した際の適正な時価(通常譲渡価格を採用)』
で割ったものです。
このリスク負担額は、オリジネーターが直接
負担するものだけでなく、オリジネーターの
連結子会社、関連会社が負担するものも
含まれます。
これは、子会社、関連会社は、親会社の
オリジネーターの意向でいかようにも
動かすことができるので、これを除外してリスク負担額を
計算すると、容易にこの要件をクリアーできることを
防止しているためです。
今回の取引では、衙島企画という会社が
リスク負担をしており、当初同社は
ビックカメラの子会社・関連会社ではないとの
判断でしたが、最終的には、同社はビックカメラの
子会社・関連会社と判断され、オフバランス処理が
否定されたということです。
ビックカメラのオフバランス処理に関する
会計基準の背景は、上述のとおりですが、
今回の取引を通じて感じたことは
SPCの特性を、利用(悪用?)して
いることです。
SPCに、不動産を譲渡してオフバランス処理
できるということは、オリジネーターから見て
SPCとは、赤の他人であるということです。
しかし、不動産を譲渡したあとも、オリジネーター
の意向で動かすことが可能なSPCも多くあります。
つまり、実質的にはSPCは赤の他人では
ないということです。
赤の他人ではないので、ビックカメラが適切と
考えたタイミングでSPCを清算して
清算配当を受け取ることができたのです。
今回の取引で、SPCに対する印象が
悪くなることは、間違いないでしょうが、
世の中にあるSPCの大半は、まっとうな
もので、今回のように悪用されるSPCは
ほんのわずかであることだけは、お伝えしておきます。