12月 2008アーカイブ

ビックカメラのオフバラ処理否定

ビックカメラが、平成14年8月に
実行した不動産流動化での
オフバランス処理を訂正し
オンバランス処理にしました。

証券取引監視委員会の
指摘を受け、過年度の決算を訂正した
そうです。これに伴い、平成19年10月に
対象不動産(本社等)を買い戻した際に
受け取った清算配当益約49億円も
取り消しました。

不動産流動化でのオフバランス処理
において、オリジネーター(今回の
場合、ビックカメラ)が、オフバランス
処理の際にリスク負担割合が、5%を
超えない場合は、オフバランス処理
出来ます。

このリスク負担割合とは、
『取引後のリスク負担額』を『不動産を譲渡
した際の適正な時価(通常譲渡価格を採用)』
で割ったものです。
このリスク負担額は、オリジネーターが直接
負担するものだけでなく、オリジネーターの
連結子会社、関連会社が負担するものも
含まれます。
これは、子会社、関連会社は、親会社の
オリジネーターの意向でいかようにも
動かすことができるので、これを除外してリスク負担額を
計算すると、容易にこの要件をクリアーできることを
防止しているためです。

今回の取引では、衙島企画という会社が
リスク負担をしており、当初同社は
ビックカメラの子会社・関連会社ではないとの
判断でしたが、最終的には、同社はビックカメラの
子会社・関連会社と判断され、オフバランス処理が
否定されたということです。

ビックカメラのオフバランス処理に関する
会計基準の背景は、上述のとおりですが、
今回の取引を通じて感じたことは
SPCの特性を、利用(悪用?)して
いることです。

SPCに、不動産を譲渡してオフバランス処理
できるということは、オリジネーターから見て
SPCとは、赤の他人であるということです。
しかし、不動産を譲渡したあとも、オリジネーター
の意向で動かすことが可能なSPCも多くあります。
つまり、実質的にはSPCは赤の他人では
ないということです。
赤の他人ではないので、ビックカメラが適切と
考えたタイミングでSPCを清算して
清算配当を受け取ることができたのです。

今回の取引で、SPCに対する印象が
悪くなることは、間違いないでしょうが、
世の中にあるSPCの大半は、まっとうな
もので、今回のように悪用されるSPCは
ほんのわずかであることだけは、お伝えしておきます。

マンション建設計画の頓挫

最近のマンション価格の値崩れ
金融機関の融資姿勢の硬化などにより
マンションの開発計画が頓挫している
ケースが増えています。

いつも通勤途中の電車から見れる
某駅前の大規模なマンション開発計画
が、頓挫したようです。
今年の前半には、某駅には、その
マンションの広告がされており、
今頃は、建設も終盤にかかって
販売も力が入るころだったのでしょうが
恐らく、マンション建築資金が調達できず
更地のまま、放置されることと
なったようです。

その更地には、コインパーキングが
営業を始めており、マンション開発
計画が頓挫したことが、一目で
わかるようになりました。

この光景は、バブル経済がはじけた
平成一桁代によく見られた光景ですが
今になって、再び見ることができる
ということは、経済が循環している
というか、浮き沈みを繰り返しながら
時が経過していくことを感じています。

以前のブログでも紹介しましたが
今は、コインパーキング業者は
忙しくされています。

賃貸等不動産の時価評価

賃貸等不動産の時価評価会計が
導入することが予定されています。
導入時期は、H22年3月31日に修了する
事業年度末の財務諸表からと
なっています。

H22年3月期であれば、その期首は
H21年4月1日ですから
まもなく導入開始ということと
なります。

導入されれば、四半期毎に賃貸等不動産の
時価評価を検討しなければならなくなり
その評価をどのようにするかが
実務的には、問題になることが予想されます。

全ての賃貸等不動産を、四半期毎に
鑑定評価をすることは、合理的ではないでしょう。
では、どのような場合、鑑定を
取るかは、監査法人と会社との間で
相談しておくことになるでしょう。

また、鑑定とは別に、賃貸等不動産を
保有している会社は、自社として
どのように評価するのか
また、どのようになれば
処分等を検討するかなどのルール設定も
必要でしょう。
賃貸等不動産の時価会計導入により、
社内の内部管理体制に
ついても、見直しが必要でしょう。

中間法人法廃止に伴う登記

ご承知のとおり、12月1日から
中間法人法が、廃止されました。
既存の有限責任中間法人は、
一般社団法人への強制的に
変わることとなります。

これに関して、実務的な点を
申し上げますと
既存の有限責任中間法人の
登記簿謄本では、特に登記手続きを
しなければ、法人名称は
『有限責任中間法人××』のままで
基金に関する登記事項は、法務局の
職権により削除されています。

また、既存の有限責任中間法人の
下に合同会社があるスキームにおいて
中間法人法廃止に伴い、有限責任中間法人の
名称変更をした場合の手順は、
次のようになります。

 〕限責任中間法人の定款変更(法人名称変更)
◆〕限責任中間法人の名称変更登記
 合同会社の定款変更(代表社員名称変更)
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上記の手順で、登記作業を進めます。
登録免許税は、△任蓮△かりませんが
い任蓮合同会社の資本金が、1億円以下なら
1万円、1億円超であれば、3万円かかります。

不動産市況の既存ストラクチャーへの影響

不動産市況が、低迷すると
不動産証券化の新規案件の
組成が少なくなるだけでなく
既存の案件にも少なからず
影響を与えます。

例えば、不動産市場の低迷により
LTV(ローントゥーバリュー)
が上昇し、ストラクチャーの財務
制限に抵触し、配当等できない
または、強制終了する、

販売用不動産として、不動産を計上
している場合は、強制評価減の
対象となる、
固定資産として、計上している場合は
減損の対象となる。

赤字決算になれば、現金分配も
できなくなり、投資家が得るべき
利益を得られないなどの
影響があります。

販売用不動産として、不動産を
資産計上している場合、
評価減を、税務上、損金算入するため
には、事業年度の開始する前までに
低価法の届出を、所管税務署へ
届出することが必要です。

今の不動産流動化ビジネスの状況

今の不動産流動化ビジネスのプレイヤーは
不動産をなるべく持たず、キャッシュ
ポジションを高める傾向にあります。
金融機関の融資姿勢が、厳しくなっており
キャッシュポジションを高めて
おかないと、心配であることと
不動産市況の見通しが立たず、
不動産を購入する資金を調達することが
困難になっていることも要因のひとつ
なのでしょう。

様々な要因が、買い控え傾向を強くし
プレイヤーを『貝』状態にしているのだと
思います。

この状態がいつまで、続くのかは
関係者が、今最も気になることだと
思いますし、いつまでも、このような
状態が続くことは、良くないものと
思っているのでしょう。

今時では、不動産を購入する融資
資金が出るのは、東京でいえば
六本木や銀座、丸の内の一等地
大阪でいえば、梅田や御堂筋沿いの
一等地に対するものに限定されているようです。

このような一等地で、流通する不動産は
量的にも限られていますので、
流通量は、極端に少なくなっていると
思います。

バックアッププレイヤーの必要性

不動産証券化、流動化は
単一のプレイヤーによって
案件が組成されるものではなく
複数のプレイヤーのよって
組成されるものです。

各プレイヤーは、それぞれの
役割を果たしながら、案件が
実行され、終了していくもの
です。

最近のように、不動産関連企業が
破たんすれば、プレイヤーの
一部が、破綻企業となるケースも
出てきていると思います。

破たん企業が、エクイティ投資家
だけであれば、ストラクチャーに
大きな影響はないと思いますが
PM会社や、AM会社となる場合
ストラクチャーの運営に与える
影響が大きく、他のプレイヤーに
交代する必要性があります。

ストラクチャー組成時にバック
アッププレイヤーを決めている
ケースもあるでしょうが
全体の中でそこまで準備している
ケースは、稀な方だと思います。

しかし、今のような経済情勢では
そのような備えも考えなければ
ならないことも出てきていると
思います。