2月 2008アーカイブ

サブプライム問題

昨年夏にアメリカで発生したサブプライム
問題は、日本の証券化ビジネスにも
大きな影響を与えていることは
ご存じのとおりです。

昨年と比べた場合、証券化のレンダーに
外資系金融機関が、多く参加していましたが
今年になれば、軒並み外資系金融機関が
撤退、縮小しています。
この要因として、外資系金融機関は
不動産証券化に伴って実行したノンリコースローンを
更に証券化(債権の証券化)によって
資金化して、投資効率を上げるという
ビジネスモデルであったが、ノンリーコースローンを
証券化する市場がなくなって、
従来の投資効率を上げるビジネスモデルが
崩壊したことが、言われています。

私どもの事務所で扱っているSPCの
債権が、過去に更に証券化されたことが
ありましたが、しばらくは、このようなことは
ないのでしょう。

邦銀は、サブプライム問題で、大きな痛手を
受けていないので、外資系金融機関のような
ことにはなっていません。
といっても、外資系金融機関の撤退分を
すべて邦銀で埋めることはできないでしょうから
証券化ビジネス全体としては、今年度末は
昨年度末のようには、いかないことは
間違いありません。

投資運用業か投資助言業か

昨年の金融商品取引法が施行されて
GK-TK(合同会社-匿名組合)スキームでは
免許を持つAM(アセットマネジメント)会社が
プレイヤーに加わることが必須となったことは
ご存知のことかと思います。

そこで、問題となるのは、AM会社は
投資運用業の免許が必要か、投資助言業の免許で
よいのかということです。
投資運用業の免許というのは、大阪地区で言えば
おそらく、今年の3月末で取得できる会社は
一桁どまりと思います。
投資助言業の免許は、その数倍以上の会社が
取得できると思いますので、
免許取得のハードルは、運用業と
助言業とでは、雲泥の差があります。

運用業の免許業者が必要か、助言業の免許業者で
よいのかは、弁護士さんの中でも見解が異なりますので
今のところ、固まった方針がないということでしょう。

法律の専門家ではない私から見たところ
TK出資者が単独であるなどプライベートなスキーム
については、投資助言業の免許を持つAM業者のみで
組成されているものがあり、TK出資者が
複数あるなど、パブリックなスキームでは
投資運用業の免許をもつAM]業者が入っていることが
多いと思います。

この投資運用業が投資助言業かという
問題は、大きな論点でしょうから
今後も、新しい情報が入れば、コメントして
いきたいと思っております。

証券化での不動産鑑定の矛盾

不動産証券化において
必ず、不動産鑑定を取ります。
これは、証券化において担保となる
不動産について、専門家の評価額を
必要とするからです。
当然といえば、当然です。

その時に、評価額がいくらになるかは
レンダーや投資家、アレンジャーにとって
関心のあるところです。

ところで、不動産鑑定において
鑑定評価額の決定には、公示価格に
規準する(鑑定実務では、『のりじゅん』といいます。)
ことが、鑑定評価の法律で、定められています。
そのため、近隣の公示価格と大きく乖離する
鑑定評価額を出せないという縛りがあります。

この公示価格というものは、そのエリアを担当する
鑑定士が計算しているのであるが
公示価格が、その土地の実勢価格を表示して
いない場合があります。
特に、都会で地価高騰が進んでいるところでは
公示価格と実際の取引価格とでは
大きな乖離が発生していることがあります。

そのため、実勢価格に対して鑑定評価額が
低く算出されるケースがあります。
これが、証券化において、ネックとなることが
あります。
それでは、なぜ、公示価格が実勢価格と
乖離するかというと、公示価格は
1年に1度しか、公表されないため
そのタイムラグと
公示価格を決定する際に、前年からの変動率を
重視し、大きな変動率は敬遠される傾向が
あるため、土地価格が高騰する際には
実態に即した変動率つまり上昇を
公示額に反映できないケースがあるためです。

実務的には、鑑定額と実勢額とでは
乖離があることもよくあります。
鑑定の依頼者からすれば、報酬を
払って、評価額を算出しても
実態に即した金額がでないという
矛盾が発生することがあるということです。

SPC連結 VC条項

企業会計基準委員会は、『連結財務諸表における
子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針(案)』を
公表しました。
http://www.asb.or.jp/html/minutes/20080117/20080117_index.php

ベンチャーキャピタル(VC)を保有する会社の
VCを連結子会社に含めるか否かを検討する際の
判定基準等を明らかにしています。

具体的には、次の条件を満たすVC(当該他の会社)は、
その会社を運営する会社は、VCを連結子会社に
しなくても良いというものです。
これが、そのまま流動化におけるSPC連結子会社の
判定に使えるものではありませんが、
考え方は、参考になるかと思います。

それで、条件とは
 ’箋囘銈砲茲蠹?座召硫饉凖銈竜跳荼等の大部分を
 所有しないこととなる合理的な計画があること
◆‥?座召硫饉凖銈里箸隆屬如通常の取引として
 投融資を行っているいりもの以外の取引が
 ほとんどないこと
 当該他の会社等の事業の種類は、自己の事業の
 種類と明らかに異なるものであること
ぁ‥?座召硫饉凖銈箸離轡淵検叱擎未睿携関係も
 ないこと

一言でいえば、本業と関係ない分野へ
投資をしている場合は、投資先のVCは
連結子会社に含めなくて良いというものです。

この考え方を、不動産流動化におけるSPCの
連結判定に、そのままあてはめると
不動産投資会社が、SPCを通じて不動産を
投資したり、不動産開発業者がSPCを通じて
開発業務をする場合は、SPCを連結子会社と
判定されることになると思います。

大阪府庁舎の証券化

先週、日曜日に大阪府知事選挙があり
橋下弁護士が、当選されたことは
みまさん、ご存知のとおりです。
大阪府は、ご承知のとおり、厳しい財政状態で
府庁の建替えが、ままならない状態が
長く続いております。

私が銀行員だったころのことで
今からちょうど8年前のことです。
その銀行は、大阪府の指定金融機関のため
大阪府の公金を扱う立場にあり
大阪府とは、密接な関係にありました。
(今も変わりませんが。)

当時、不動産流動化関係のアレンジ側の
仕事をしていた関係で、大阪府庁の方から
証券化を利用して、庁舎の建替ができないか
相談を受けました。
通常であれば、府債を発行すれば
よいが、大阪府の財政状態により府債の発行は、
当時から困難な状態にありました。

そこで、SPCを利用して、SPCが資金調達をし
SPCが府庁を建設して、大阪府が賃借するという
方式をとれば、大阪府が府債を発行しないで
新しい庁舎を建替えできるのではという
アイデアでした。

今、もしこの手法をとれば、借金隠しとかの
評価を受けるかもしれないので、難しいと
思いますし、必ずしも有効な方法とは
言えないでしょう。

当時、複数の部署の方の名刺をいただいたが
いずれの名刺も様式がことなっていて
不思議な思いをしました。
通常の民間会社の場合、部署が異なっても
会社が同じであれば、名刺の様式は統一して
一括発注して、コストを削減しようとするでしょうが
当時の大阪府は、各部署バラバラに名刺を発注して
様式も、統一されていなかったようです。
名刺をいただいた後に、府庁建築より
こちらの方が、先にすれば良いのではと
思いました。

新しい知事さんには、財政再建という大変な仕事が
ありますが、がんばって大阪を
元気にしていただきたいと思います。