SPCの資本金が1億円以下になった場合

最近、資本金が多額の企業が、資本金を1億円以下に
減資することがあります。

税法では、資本金1億円以下の会社は、中小企業という扱いで
税負担が軽減されます。税金もコストであり、経費削減の
一環で、減資するケースが増えております。

減資をすれば税務署等に、異動届が必要となります。
また、資本金1億円を超える会社は電子申告が
義務付けられていますが、資本金が1億円以下に
なれば、電子申告の義務がなくなります。

以前、資本金1億円超の会社に電子申告が義務化された時
『e TAXによる申告の特例に係る届出書』を提出しております。

資本金の減少した時は、減資の届出だけでなく、
電子申告に関して
『e TAXによる申告の特例の適用がなくなった旨の届出書』
を提出しなければ、なりません。

こちらの届出の提出は、失念しがちですが、資本金1億円以下に
減資される際には、忘れずに、提出したいものです。

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SPCの資金管理と銀行口座

プロジェクトファイナンスの為、利用されるSPCの預金口座は
その目的に応じて、
①プロジェクト口座
②リザーブ口座
③リリース口座
④営業者口座
などの口座を開設します。

プロジェクト口座は、案件によっては
メイン口座、信託配当受取口座、事業用口座など
様々な名称が使われますが、プロジェクトでの資金
異動で、最も頻繁に使われる口座です。

一方、一定の資金を留保する、例えば
元利金の返済資金、固定資産税の納税資金
修繕等の資金などを留保するため
留保資金を貯めておく、リザーブ口座を開設することもあります。

リリース口座は、プロジェクトでの資金収支の残余分を
エクティ出資者への配当や、AM会社へのAMフィーの支払いなどに
充当するため、プロジェクト口座からの移動資金を
受取る口座です。

資金の流れは、プロジェクト口座で受け取った資金が
リリース口座に流れるという順序です。

リザーブ口座には、プロジェクト開始時に一定額を
留保しておき、不足が出れば、プロジェクト口座から
補填されることが一般的です。

最後に、営業者口座ですが、これは、
①法人税等の納税のため
②匿名組合契約により、営業者報酬の授受のため
使われます。

これらの預金口座の使い方のルールは、ローン契約や
プロジェクト契約等に記載されていることが、一般的です。

SPCでのプロジェクトファイナンスでは、資金の流れに
透明性を持たせるため、このように複数の銀行口座を
一定のルールに従って、利用することがあります。

このように複数口座を利用する案件は、キッチリした案件が
多く、一つの銀行口座しか持たず、全ての収支を、1つの
銀行口座を行う案件もあります。

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特定目的会社の配当の損金処理(匿名組合スキームとの違い)

特定目的会社(以下、TMK)も、匿名組合スキーム(以下、GKーTK)を
使う会社と同様に、利益の大半を分配する『導管性』の機能がありますが、
GK-TKとTMKでは、仕組みや損失の扱いに違いがありますので、
今回はその点をご説明いたします。

①TMKは、申告書作成時に配当金が減算される。
 GK-TKの場合は、獲得した利益の大半を
 会計期間終了時に分配金として、出資者に分配しますので、
 税引前当期純利益が、ちょうど法人税等を支払える程度の
 少額になります。➡パススルー制度

 対してTMKは、決算書上の税引前当期純利益は、
 通常の株式会社と同じように計算した利益が計上されます。
 その後、社員総会(株式会社での株主総会)時に、配当額が決定されます。
 そして、税務申告書作成時に別表10(8)を作成し、
 課税所得から減算できる配当金額を計算します。
 (通常は、減算可能な範囲で配当を行う)
 通常の会社では出来ないことですが、TMKの配当金は
 損金算入されます。
 ➡ペイスルー制度

②TMKは、損失の分配はできない。
 以前、「匿名組合の損益分配」でご説明したように、
 GK-TKは、損失の分配をすることもできますが、
 TMKは、利益の配当しかすることができません。
 また、繰越損失がある場合は、
 今期の利益から繰越損失の額を控除した額しか配当することができません。
 (GK-TKは、損失も分配(➡パススルー)しますので、
 基本的には繰越損失は発生しません)

 なお、TMKは資本金が1億円超でも大会社のような
 繰越損失の利用制限はありません。
 

TMKの方が納税額(均等割)が多くなる傾向がある。

 TMKでも、GK-TKでも、投資家から資金を集めますが、
 匿名組合出資という形での出資を受けるGK-TKと違い、
 TMKは、投資家からの出資金は、資本金となりますので、
 利益の額にかかわらず、資本金の大きさによりかかってくる
 均等割の額が大きくなってしまうため、
 少額の納税で済むGK-TKに比べると
 TMKの納税額は大きくなる傾向にあります。
 
 なお、TMKは、資本金が1億円以上でも、外形標準課税はされません。

 今回は、TMKの配当を
 GK-TKの分配金との違いという観点でご説明いたしました。
 機会があれば、TMKの配当が非課税になる条件などについても
 いずれお話しします。


内容TMKGK-TK
導管性ペイスルーパススルー
繰越損失翌期利益から全額控除可基本的に発生しない
法人税等多額になる傾向最低額で収まるケースが大半

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SPCでのホテル竣工に伴う資産と消費税の計上

担当のSPCでホテルの建設をおこなって
おりましたが、この度、竣工いたしました。

工事期間中は、工事費用や付随する費用を
建設仮勘定として計上しておりましたが、
引渡しが完了したため、建設仮勘定から
建物等の資産へ振り替えることになりました。

工事明細を元に、建物、付属設備、構築物等に
振替えていくのですが、完成引渡しをもって
消費税の仕入税額控除もおこないます。

建設仮勘定計上時は、消費税額を含めて計上
しておりましたが、今回は工事期間中に
消費税率の改正があったため、建設仮勘定の
中には消費税率8%と消費税率10%のものが
混在しております。

また、中には検査費用等、消費税が非課税となる
ものもありましたので、消費税率8%、10%、
非課税を考慮しなければなりません。

弊事務所では、建設仮勘定計上時に、あらかじめ
補助科目で消費税率や税区分を管理しており
それを元に消費税を計上しております。

今回のように、工期の途中で消費税率が変わると
建設仮勘定から資産へ振り替える際の消費税額の
計上がとても煩雑になりますので、あらかじめ、
明確に管理しておくことが、資産計上時に正確で
スムーズな経理事務には不可欠と感じております。

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信託の課税区分

担当するGK-TKスキームで不動産信託受益権取得後、
最初の決算期を迎え、取得した稼働済みのホテルの
不動産信託受益権に係る消費税還付の申告を行いました。

申告後に税務署より連絡があり、今回の課税仕入れについては、
『法人課税信託』ではないかとの指摘があり、受益者であるGKは、
消費税還付を受けられないのではとのコメントがありました。 
その理由としては、『平成19年度 信託税制の改正のあらまし』
5(8)の法人課税信託を挙げていました。

今回、会社が保有した不動産信託受益権は、不動産管理処分信託
契約に基づくもので、不動産信託契約に該当します。
不動産の所有者が委託者となって受託者に不動産を信託し、
受託者は受益者のために不動産の管理処分を行い、
そこから生じる利益を受益者に交付することを合意する契約
ですので、『受益者等課税信託』にあたります。

不動産信託では、『受益者』、『委託者』、『受託者』の3者が
存在し、それぞれがどの会社であるか混同する事があります。
恐らく、ご担当者は『受益者』と『受託者』を混同し、いわゆる
GK-TKスキームを『法人課税信託』、つまり、『受託者』である
信託銀行が主体となるものと誤解されていたように思われます。

東京では、GK-TKスキームの件数も多く、スムーズな対応に
なるかもしれませんが、大阪では件数も少なく、このような事も
発生しています。

ただ、数回の書類のやり取りで、正しくご理解いただき、
無事に還付手続きも完了しました。

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不動産会社の事業戦略とSPC

不動産会社の事業には、大きく分けて2種類のものがあります。

① 仲介手数料、建物管理報酬等のフィービジネス

② 不動産を開発して販売したり、自己保有物件を売買することで売却益を得るビジネス

があります。

①の場合、借入金等は無くても自己資金だけでも出来ます。

②の場合、まとまった資金が必要なので、借入が必要となります。

一般的な会社は、①と⓶のビジネスを1つの会社で混在させて行っているケースが

多くあります。その結果、①で得た手数料収入を、不動産投資に回すなどして

①と⓶のビジネスで資金が混在して利用することになります。

その結果、自転車操業が蔓延化し、安定した経営が出来ていない会社もあります。

SPCは不動産投資をプロジェクト毎に分けることが出来て

投資不動産から得る資金を直接他のプロジェクトや事業に

転用出来ません。

そのため資金の流れが明確になり、上述のような資金が混在することが

なくなります。

不動産会社が継続して、安定成長をするには、不動産投資資金と

手数料等のフィービジネス収入を分けて管理出来るか否かが

ポイントとなります。

そのために、SPCを利用し資金管理の透明性を

確保しようとすることもあります。

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投資事業有限責任組合の解散

担当をしております、投資事業有限責任組合で、
組合を解散する事となりました。

このLPSでは、適格機関投資家特例業務を
行っており、毎事業年度経過後3ヶ月以内に
無限責任組合員とLPSの事業報告書を作成し、
金融庁業務支援統合システムより提出する必要が
ありました。
今回の解散にあたり、届出が必要な書類確認の為、
所轄である近畿財務局へ確認したところ、
下記の通りのご回答をいただきました。

① 届出者自体が解散し、ファンドも解散 → 解散届出
② 届出者は存続し、ファンドのみ解散 → 廃止届出

今回は、②に該当し、廃止届書の提出と併せて、
次の書類を準備する必要がありました。
 ・LPS閉鎖事業全部証明書
 ・ファンド口座の通帳写し
 ・LPS最終決算報告書
 ・出資者から受領した清算に係る承諾書
 ・振込依頼書の写し(現金または、預金での清算の場合) 
※廃止届出書は、関東財務局HPよりダウンロードが可能です。

このように、LPSの解散に伴い、適格機関投資家特例業務を
終了する際には、その根拠資料の提出が求められます。

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特定目的会社の優先出資の減資について

担当させていただております
特定目的会社で減資をいたしました。

以前、こちらのブログで
特定目的会社の増資についての
お話をさせていただきましたが、
減資と増資の一番の違いは、
減資する場合、事前手続が必要な点です。

増資は、事前手続の必要はありませんが
減資は、債権者等に対して、減資しても良いか
確認をしなければなりません。

実務的な手続きとしましては、
債権者等に催告書を出したり、
また、官報に減資する旨の公告を掲載します。

そして、1ヶ月以上の異議申出期間を定め、
期限内に特に異議の申出がなければ、
そこで、はじめて減資することが出来ます。

そのため、増資と異なり、スケジュールを立てて
手続きを進める必要があります。

減資の手続きが完了すると
その後は、増資同様に2週間以内に
登記申請をおこない、減資の登記が完了すると、
国・都道府県・市町村へ登記事項の変更の
異動届を提出します。

増資同様に減資により資本金の額が変わると
法人税の均等割の税額が変わることもあるので、
減資の場合も、登記が完了したら、
速やかに減資の異動届出をおこなう必要があります。

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2020年10月~ 賃貸住居建物消費税 仕入控除制限

ご承知の通り、昨年2020年10月以降に、賃貸している
住居用不動産の建物取引に伴う消費税は、購入者は
仕入控除出来なくなりました。

この改正は、いわゆるレジ系の不動産ファンドにも大きく
影響を与える改正です。

仮にSPCが課税事業者として、賃貸住居不動産の建物
購入時に支払う消費税は控除(還付)出来なくても、同建物を
売却時に預かる消費税は、全額納付することになります。
(簡易課税は選択しないことを想定)

不動産投資では、利回りを計算しますが、この建物消費税の
を購入時には控除出来なくても、売却時には全額納付すると
相当のキャッシュのマイナスになり、利回りにも影響を
します。

このような税負担を軽減する方法として、2つご紹介します。

① 購入時から3年以内(正確には購入時の消費税の課税期間から
3年以内など、少し複雑な計算がありますが・・・)に、売却する
場合、購入時に支払った消費税の一定割合(『保有期間と売却時の
課税売上』を『同期間の非課税売上と課税売上の合計』で割った割合)を
乗じた額を仕入控除する。ポイントは、3年以内に売却することです。

⓶ 消費税の免税制度を有効に利用して、保有期間中の年間課税売上を
1000万円におさめることで、SPCを永続的に、免税事業者にします。
そうすることで、売却時に預かる消費税を納税する必要がなくなります。
ただし、この制度は、インボイス制度が始まると使えない方法です。
 なぜなら、インボイス制度が本格的に始まると、免税業者が、不動産
売却時に、消費税を預かることは出来なくなります。

商業用不動産やオフィス系不動産では、上記のような論点は出てきませんが
住居系賃貸不動産では、消費税の扱いに、注意が必要です。

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特定目的会社解散後の会計期間

通常の株式会社が解散する場合、
これまでの事業年度開始日から解散の日までを1事業年度(解散事業年度)として税務申告をし、
その後は、解散の日の翌日から1年ごとの期間を1事業年度(清算事業年度)とします。

これは、法人税法基本通達1-2-9に下記のように定められているからです。

株式会社又は一般社団法人若しくは一般財団法人が解散等をした場合における清算中の事業年度は、当該株式会社等が定款で定めた事業年度にかかわらず、会社法第494条第1項又は一般法人法第227条第1項《貸借対照表等の作成及び保存》に規定する清算事務年度になるのであるから留意する。

ここで注目してほしいのは、ここに定められているのは、
「株式会社、一般社団法人、一般財団法人」であるという点です。
特定目的会社にはこの規定は適用されません。

したがって、特定目的会社が解散した場合は、解散事業年度で決算申告をした後、
定款記載のこれまで同様の決算日に決算をする必要があります。

たとえば、3月末決算の会社が3月15日に解散し、翌年の5月末に清算決了する場合、

株式会社であれば、
3/15 解散申告 ⇒ 翌年3/15 清算1年目の決算申告 ⇒ 翌年5/31精算決了申告
となりますが、

特定目的会社の場合は、
3/15 解散申告 ⇒ 3/31清算後1回目の決算申告 ⇒ 翌年3/31清算後2回目の決算
⇒ 翌年5/31 清算決了申告
となります。

申告回数が違ってきますので、ご注意ください。

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