適格機関投資家等特例業務(QII特例)届出

不動産を信託受益権化したGK-TKスキームでは、
TKの募集に先立って、財務局に 適格機関投資家等特例業務の
届出をします。

特例業務の新規届出:財務省関東財務局 (mof.go.jp)

一般的には、この届出を会計事務所が担当するケースが
多く、弊事務所でも、この業務を担当しております。

届出先は、SPCの本店所在地を管轄する財務局となり
東京本店のSPCは、関東財務局、大阪本店のSPCは近畿財務局
となります。

この届出終了までのプロセスが、関東財務局と近畿財務局では
異なります。具体的には、関東財務局の場合、事前に書面等のチェックは
なく、SPCが取得した『GBIZ』のIDで電子申請することで
完了します。

ログイン (gbiz-id.go.jp)

一方、近畿財務局では担当者に、申請書類を添付書類である誓約書や
経歴等を添えて、メールで送信し、その後、ヒアリングシートという
質問項目をまとめたリストが送られ、それに回答をした上で
近畿財務局内でのチェック作業を経てからの申請となります。

そのため、近畿財務局への申請では、手続き開始から、申請
が完了するまで、2週間程度要します。

関東財務局では、QIIの申請も多く、個別のヒアリングシートを
作成し、回答を求めるようなことは求めていないようですが
近畿財務局では、案件が少ないためか、上記のような
手続きを経ています。

大阪市内本店のSPCでは、東京本店SPCと比べて、日数に
余裕をもって準備することが求められます。

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インボイス制度と不動産信託(賃料収入)

いよいよ 10月よりインボイス制度が開始します。
形の上では、消費税納付の適正化ということですが
従来 免税事業者であった者は、実質的に増税になる
ケースが多く反対する人も多いのが現状です。

実務的には、仕入控除をするには、インボイス登録を
受けた事業者から交付された『適格請求書』の入手が
必須となり、そのチェックも含めて、経理作業が増えることは
間違いありません。

SPC会計でも、一般的な事業会社と同じ対応が迫られます。
不動産信託を利用した、SPCの賃料収入と インボイス制度について
ご紹介します。

SPCが不動産信託を通じて、商業テナントから賃料収入を得る場合
テナントは賃料と合わせて、消費税を支払います。
仮に賃料が100万円で消費税10万円と合わせて、110万円を

不動産信託の場合、テナントは不動産の登記名義人である
信託銀行と締結することが一般的です。
信託銀行は、消費税を含めた賃料を受取り、信託決算での
信託配当を受益者(通常は、SPC)に支払い、賃料収入は
SPCに帰属します。(消費税法 14条

テナントから見て、賃貸人は信託銀行ですが、払った消費税は
受益者であるSPCに帰属するという形式になります。

信託銀行は形式的に賃貸人ですが、実質的にはSPCが賃貸人
ということで、インボイス制度開始後は、信託銀行はテナントに
実質的に消費税を受取るSPCの登録番号を、どのように
伝えるかという問題があります。

インボイス制度開始後は、信託銀行では、請求書に
受益者(SPC)の名称、住所、登録番号を併記した
『ハイブリッド型』の請求書をテナントに交付すると
しています。

テナントから見れば、入居している不動産の受益者が
請求書を見れば、分かるということになります。

インボイス制度の導入は、不動産信託実務にも大きな
影響を与えます。

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居住用賃貸不動産(レジ)SPC案件での仮払消費税の損金処理(法人税法上の扱い)

レジ案件のSPCの場合、課税売上割合が10%を切ることが多くあります。
その場合、仮払消費税が全額損金に算入できないことに
注意が必要です。

通常、消費税の納税額は、仮受消費税から仮払消費税を控除して求めます。
しかし、レジ物件を購入した場合は
①レジ物件の建物取得に係る仮払消費税は、取得時に仕入控除出来ない。
②ローン手数料結を長期前払費用のように資産計上した時の仮払消費税は、
課税売上割合を乗じた額に限定され全額控除出来ない。

この結果、仮受消費税から控除できない仮払消費税(控除対象外消費税)が発生します。
控除対象外消費税は、全額その年の損金に算入できる場合とできない場合があります。
例えば、資産を購入した時に支払った控除対象外消費税をその年の損金に算入するには
次の条件をクリアする必要があります。

1. 課税売上割合が80%以上であること
2. 対象の資産が棚卸資産であること
3. 1つの資産に係る控除対象外消費税額が20万未満であること

以上の条件のすべてに当てはまらない場合は、
控除対象外消費税を『繰延消費税額等』として資産計上し、
60ヶ月(年間12ヶ月)で償却します。(ただし初年度は2分の1の6ヶ月分)

レジ案件のSPCの場合は、売上げのほとんどが消費税非課税の住宅賃料収入で、
課税売上割合が80%に達することはなく、
消費税額が20万円以上の資産(つまり税抜価格200万円以上の資産)を購入した場合、
繰延消費税を計上しなくてはならなくなりますので、注意が必要です。

繰延消費税を計上した場合は、法人税申告書の別表16(10)を作成し、
当期の損金算入限度額を超えて損金にしていないかを申告します。

なお、税込経理をしている場合は、控除対象外消費税の問題は発生しません。

根拠法令
消法30、法令139の4、法規28、所令182の2、所規38の2、平元.3直法2-1、平元.3直所3-8外

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匿名組合決算の損益分配(端数の扱い)

匿名組合案件で、複数の出資者がいるケースについて
少し難解なことがあります。

複数の出資者間で優先、劣後関係がなく、フラットな場合で
各出資者への損益分配を出資割合でする時、端数を切捨とすれば
各出資者への損益分配額の合計と、SPC全体で計算される
損益分配額とでは、円単位では差が出ます。

数値例を示しますと、SPC全体の分配対象の損益が
1,000,000円として、各出資者への損益分配計算で、端数切捨が
あれば、各出資者への損益分配合計が、999,995円などのように
円単位で、差が出ます。

このようなケースでの匿名組合決算では、どのように表現するのでしょうか?

損益分配前利益 1,000,000円
損益分配額    999,995円
損益分配後利益     5円

となります。分配されない利益5円の扱いは、匿名組合契約で
何らかの記載があると思いますが、複数の匿名組合出資者が
いる場合は、上記のような、テクニカルな問題が
発生します。

匿名組合での利益はパススルーとして
全額出資者に分配されるはずですが
実務上は、分配されない利益が、僅かですが
発生します。

法人税法 基本通達14-1-3

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レジ案件での控除対象外消費税

居住用賃貸マンション(レジ物件)への投資案件で
建物に係る消費税は、取得時には控除出来ないことは
ご存知の通りです。

税抜経理の場合、控除出来ない消費税は、一定の
期間で償却されます。この場合の償却方法は
60ヶ月(5年間)で償却する方法が、一般的です。

一方で、レジ物件の取得に係る控除対象外消費税を
60ヶ月で償却すると、各年度の償却額が、多額に
なることがあります。

その結果、投資利回りが低下し、投資としての魅力が
劣ることになります。

控除対象外消費税は、60ヶ月で償却の他、対象不動産の
取得価額に含めて、建物等の耐用年数に応じて
償却する方法も可能です。

今の消費税制度では、レジ物件の取得時に支払う
消費税は、控除(還付)対象にはならないので
取得費用の一部という理解で、特段問題ないと
思います。

この点は、オフィスビル等への投資と異なり
消費税の経理処理には、大きな差があります。

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SPCの資本金が1億円以下になった場合

最近、資本金が多額の企業が、資本金を1億円以下に
減資することがあります。

税法では、資本金1億円以下の会社は、中小企業という扱いで
税負担が軽減されます。税金もコストであり、経費削減の
一環で、減資するケースが増えております。

減資をすれば税務署等に、異動届が必要となります。
また、資本金1億円を超える会社は電子申告が
義務付けられていますが、資本金が1億円以下に
なれば、電子申告の義務がなくなります。

以前、資本金1億円超の会社に電子申告が義務化された時
『e TAXによる申告の特例に係る届出書』を提出しております。

資本金の減少した時は、減資の届出だけでなく、
電子申告に関して
『e TAXによる申告の特例の適用がなくなった旨の届出書』
を提出しなければ、なりません。

こちらの届出の提出は、失念しがちですが、資本金1億円以下に
減資される際には、忘れずに、提出したいものです。

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インボイス制度と消費税請求

先日、2023年10月以降導入されるインボイス制度について
関係者と打合せをしました。
その関係者は、経理担当ではなく、大手不動産会社のご担当者
でしたが、インボイス制度について、誤解されている点が
あったので、ご紹介します。

同じような誤解をされている方もいるかもしれないので、ご参考程度に
お聞きください。

①インボイス制度で、登録していない事業者は、一般に
消費税免税事業者ですが、免税事業者でも、消費税は請求できます。

②インボイス登録していない事業者は、適格請求書を
発行出来ませんが、その請求書でも有効な請求書です。

③免税事業者に支払う消費税は、2023年10月以降
仕入控除額が減額され、支払った事業者は損失と
なります。
損失相当分を、免税事業者との取引金額を引き下げるように
要請すると、場合によっては、独占禁止法上 問題となることが
あります。

https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/invoice_qanda.html

④賃料等を口座引落で精算し、毎月請求書等を発行していない時は
請求書の発行事業者が、相手先に『インボイス登録通知書』を
交付し、登録番号等 必要な情報を通知すれば、適格請求書が
なくても、賃料を支払った事業者は、仕入控除が出来ます。

以上が、全てではありませんが、インボイス制度がSPC経理事務に
与える影響は、大きいと思います。

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多数投資家案件の対応

弊事務所が担当している案件で、投資家が80名以上
いらっしゃる案件があります。
通常のGK-TKスキームの案件では、TK出資者は
10社未満がほとんどで、50社を超えるケースは
まずありません。

本案件は、個人投資への節税を売りにしている案件で
出資者が80名以上と非常に多くなりました。

この場合、決算時の投資への報告作業が大変煩雑になります。
そのため、投資家様のご了解を頂ける場合は
ネット経由(具体的には、各投資家様のクラウドフォルダー)で
決算報告をする方式を採用することにしました。

概ね全投資家の80%程度が、ネット経由報告を
ご了解いただけたので、報告作業が軽減されました。

クラウド上に決算データを保存することで、1年前、2年前の
決算書も、ご覧いただけるようになっております。

昨今のペーパーレス時代や、それが求められる
時代背景のもとでは、このように、紙を使わない
決算報告も、増えてくると思います。

一方で、セキュリティー管理も大切ですので
弊事務所では、慎重に、データ管理を進めております。

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SPCの資金管理と銀行口座

プロジェクトファイナンスの為、利用されるSPCの預金口座は
その目的に応じて、
①プロジェクト口座
②リザーブ口座
③リリース口座
④営業者口座
などの口座を開設します。

プロジェクト口座は、案件によっては
メイン口座、信託配当受取口座、事業用口座など
様々な名称が使われますが、プロジェクトでの資金
異動で、最も頻繁に使われる口座です。

一方、一定の資金を留保する、例えば
元利金の返済資金、固定資産税の納税資金
修繕等の資金などを留保するため
留保資金を貯めておく、リザーブ口座を開設することもあります。

リリース口座は、プロジェクトでの資金収支の残余分を
エクティ出資者への配当や、AM会社へのAMフィーの支払いなどに
充当するため、プロジェクト口座からの移動資金を
受取る口座です。

資金の流れは、プロジェクト口座で受け取った資金が
リリース口座に流れるという順序です。

リザーブ口座には、プロジェクト開始時に一定額を
留保しておき、不足が出れば、プロジェクト口座から
補填されることが一般的です。

最後に、営業者口座ですが、これは、
①法人税等の納税のため
②匿名組合契約により、営業者報酬の授受のため
使われます。

これらの預金口座の使い方のルールは、ローン契約や
プロジェクト契約等に記載されていることが、一般的です。

SPCでのプロジェクトファイナンスでは、資金の流れに
透明性を持たせるため、このように複数の銀行口座を
一定のルールに従って、利用することがあります。

このように複数口座を利用する案件は、キッチリした案件が
多く、一つの銀行口座しか持たず、全ての収支を、1つの
銀行口座を行う案件もあります。

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不動産会社の事業戦略とSPC

不動産会社の事業には、大きく分けて2種類のものがあります。

① 仲介手数料、建物管理報酬等のフィービジネス

② 不動産を開発して販売したり、自己保有物件を売買することで売却益を得るビジネス

があります。

①の場合、借入金等は無くても自己資金だけでも出来ます。

②の場合、まとまった資金が必要なので、借入が必要となります。

一般的な会社は、①と⓶のビジネスを1つの会社で混在させて行っているケースが

多くあります。その結果、①で得た手数料収入を、不動産投資に回すなどして

①と⓶のビジネスで資金が混在して利用することになります。

その結果、自転車操業が蔓延化し、安定した経営が出来ていない会社もあります。

SPCは不動産投資をプロジェクト毎に分けることが出来て

投資不動産から得る資金を直接他のプロジェクトや事業に

転用出来ません。

そのため資金の流れが明確になり、上述のような資金が混在することが

なくなります。

不動産会社が継続して、安定成長をするには、不動産投資資金と

手数料等のフィービジネス収入を分けて管理出来るか否かが

ポイントとなります。

そのために、SPCを利用し資金管理の透明性を

確保しようとすることもあります。

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