3月 2020アーカイブ

開発途中SPCでの消費税の経理処理

弊事務所で、水力発電開発中のSPC案件を 担当しています。

そのSPCの開発途中に支払う『課税仕入取引』の 経理処理について、お話しします。

開発途中では、課税売上が発生せず、課税売上割合は0%です。 そのため、『一括比例配分方式』で消費税を 計算した場合、課税仕入れにかかる消費税に0%(課税売上割合)を 掛けて計算するので、還付額はゼロになります。

一方で、『個別対応方式』で計算すると 『課税売上に対応する課税仕入取引』に係る 消費税は全額還付されます。

従って、開発途中では課税仕入の経理処理の際には 『課税売上に対応する課税仕入』と それではない『共通対応の課税仕入』に 慎重に区分して、『個別対応方式』を採用しなければなりません。

例えば、水力発電所の設計費用は、売電収入(課税売上)に 直結する『課税仕入』のため、『個別対応方式』を 採用すれば、還付対象になります。

一方で、会計事務所に支払報酬は 売電収入と直結する『課税仕入』とは断定できない取引であり 還付対象にはなりません。

このように、案件の内容に応じて、慎重に消費税区分を 検討し、経理作業を進めております。

電気供給事業にかかる「収入割」の課税標準となる収入

私どもでは、太陽光やバイオマス等を利用した
電気供給事業を手掛けるSPCを
多く担当させていただいております。

電気供給事業では、発電所が完成し、
売電が始まると、収入金額に応じて、
事業税の「収入割」が発生します。

「収入割」は、都道府県民税の申告の際、
第六号様式別表六「収入金額に関する計算書」を作成し
そちらで求めた収入金額に課せられます。

課税標準となる収入金額には、
売電収入だけではなく、電気事業に付随する
すべての収入を含めなければなりません。

例えば、発電施設内に電柱を設置している場合、
管轄の電力会社より、電柱敷地料を受け取りますが、
この電柱敷地料も、電気事業に付随する収入として、
課税標準となる収入金額に含めます。

逆に収入金額に含めなくて良いものは、
電気事業に直接的には関係ない収入で、
代表的なところでは、保険金や受取利息などです。

電気供給事業の「収入割」と言うと
売電収入のみにかかるイメージですが、
付随する収入を含めることを忘れないように
しなければなりません。