10月 2017アーカイブ

建設仮勘定から有形固定資産勘定への振替

JUGEMテーマ:会計・経理・財務

 

ホテル経営をなさっている顧問先様が

今年新たなホテルを新設され、

そのホテルが完成し、引渡しを受けられましたので、

建設仮勘定から有形固定資産勘定への

振替作業の経理処理を致しました。

 

建物、建物附属設備、構築物、器具備品etc.

多額で多岐に渡る振替作業でしたので慎重に進めました。

 

建築見積書はエクセル版で何千行にも及び、

その内訳明細を読むだけでもかなりの時間がかかってしまい、

決算の多忙期に重ならずホッと致しました。

 

減価償却資産の耐用年数表を横に置きながら、

見積書や請求書の内容がどれに当てはまるのか、

すぐに分かるものもあれば、分からないものもあり、

そのときには所長に助けてもらいました。

 

建築主体工事よりもその他工事としての屋外付帯工事や

追加工事といった細かい項目を資産に振替える方が

複雑で難しかったです。

 

周知の通り、平成2841日以降に取得した

建物附属設備と構築物の減価償却方法は

定額法に一本化されました。

顧問先様は、建物附属設備と構築物の減価償却方法は

定率法を用いていらっしゃいましたので、

間違えて定率法を採用しないように注意致しました。

 

また電気設備など、同じ設備という種類の中に

固定資産税に係るものと償却資産税に係るものが

入り混じっておりますので、それも考慮しながら

固定資産台帳を作成致しました。

 

このような次第で作成し終わりましたが、

建物を取得する時には、これに付帯して

建物附属設備、構築物、器具備品etc.

多種のものも取得いたします。

固定資産台帳登録には、最新の税務知識を

取得物の内容精査、それをふまえながら

お客様のニーズにあった選択が求められることを

実感できました。

 

 

 

新会社設立で節税!

JUGEMテーマ:会計・経理・財務

芸能人の方が個人事務所を作って節税しているという話をよく聞くと思いますが、

個人事業主の方が、会社を作って節税したり、

会社が別の新会社を作って節税したりすることはあらゆる業種で可能です。

 

今月、ある顧問先様が、節税の為、現在の会社とは別の新会社を設立することになり、

現在そのお手伝いをしております。

 

では、なぜ新会社を設立すると節税になるのかをまずご説明します。

 

①所得が年間800万円までの場合に適用される軽減税率が2社合計で1600万円まで適用できる。

平成29年度現在、普通法人の法人税率は23.4%ですが、中小企業の場合は、

年に800万円までの所得には15%の軽減税率が適用されています。

所得を2社で分けることで、合計1600万円まで軽減税率を適用することができるようになります。

 

②新会社は設立から2年間消費税が免税になる。

資本金が1000万円未満の会社で、大会社の子会社でないなどの条件をクリアした場合、

最初の2年間は消費税が免税になります。

(ただし、最初の6か月間に売り上げが1000万円を超えると翌期(第2期)から課税事業者となる)

また、課税売上が1000万円未満になる事業部門を切り離して新会社を設立すれば、

新会社はずっと免税業者のままにすることも可能です。

 

③交際費・少額減価償却資産の枠を2倍にできる。

中小企業は、年間800万円までの交際費は全額損金にできます。

また、1点30万円未満の少額の固定資産は、年間合計300万円まで一括で損金にできます。

会社を2つにして、この枠をフルに使えば、1600万円まで交際費を使えますし、

600万円までの少額資産を一括損金計上できます。

 

ただし、新会社設立にはデメリットもいくつかあります。

 

①コストと手間がかかる

会社設立自体にコストがかかることはもちろん、

その後も役員重任登記費用や税務申告費用などのコストがかかります。

社会保険事務所など様々な機関から問い合わせなどもありますので、

その対応の手間もかかります。

また、利益が出ても赤字でも資本金額に応じてかかる法人住民税の均等割りが

最低でも年間7万円程かかります。(自治体によって多少金額が違うことがある)

 

②税制が変わり、上記メリットが享受できなくなることがある。

税制や税率は毎年のように変わっています。

中小企業の軽減税率も15%が適用されるのは、平成31年3月に開始する事業年度までで、

それ以降は19%になる予定です。

消費税に関しては、節税封じのための法改正が何度も行われています。

いずれはインボイス方式導入により益税を許さない制度になっていくと思われます。

交際費などの枠に関しても、過去に何度か改正があり、今後もいつ変更になるかわかりません。

将来、別会社を持つメリットが全くなくなってしまうことも考えられます。

 

③新会社の法人格が否認される可能性も

登記上は2つの会社に分かれているものの所在地も社長も同じ、事業内容も全く同じでは、

単に税逃れの為だけに法人を分けたとみなされ、

税務署に法人格を否認されてしまう可能性もあります。

できれば、違う事業の部門を切り離す形で新会社を作る、

従業員の一人が独立する形で新会社を作るなど

別会社にすることが合理的であると考えられる形にすることが望ましいと思われます。

 

メリット①③にあるように、利益額が大きくない会社さんの場合、

わざわざ会社を2つにわけるメリットはほとんどありません。

メリットとデメリットを試算した上で、別法人の設立を決めることになります。

 

GK-TKスキームとTMKスキームとの違い③

GK-TKスキームとTMKスキームとの
違いを税金というコスト面からお話しします。
対象不動産を、不動産として
これからのお話をします。
GK-TKスキームで不動産を証券化・流動化
する場合、不動産を現物のままでは
実行できません。
その理由は、現物の不動産をGKが
取得して、TK(匿名組合出資)を受ける場合
不動産特定共同事業法という法律の規制を
受け、GKが不動産特定共同事業法に
基づく免許を、GK本店所在地の知事より
取得しなければなりません。
この免許取得には、GKは、
・一定の資本金が必要
・宅建免許の取得
・適正な管理が出来る人的な構成を確保する。
(詳細は、下記を参照してください。)
などが必要で、にわかに組成する
GK-TKスキームでは、この免許を取得
出来るとは思えません。
そのため、不動産を信託銀行に信託して
信託受益権に変えることで、不動産特定共同事業法の
適用から除外されます。なぜなら、不動産特定共同事業法は
『不動産』を担保として、匿名組合出資の募集行為等を
規制する法律で、『不動産信託受益権』は『不動産』という
扱いではないからです。
信託受益権にする場合、信託銀行にお願いする
ことになりますが、その場合、信託銀行に
一定の報酬を支払わなければなりません。
具体的には、最初信託契約を締結する際に
『当初信託報酬』と
信託契約締結後に、3ヶ月、6ヶ月など
信託計算期間ごとに、『(ランニング費用としての)信託報酬』を
支払わなければなりません。
一方で、不動産を信託受益権にすれば
売却した時に買主が負担する不動産取得税
(通常、固定資産税評価の3~4%)が
発生しません。
この点は、信託報酬と不動産取得税との兼ね合い
で、有利不利を検証することになります。
一方で、TMKの場合、資産流動化法に基づき
優先出資を発行するので、匿名組合出資を
規制する『不動産特定共同事業法』の規制はありません。
そのため、現物不動産を、担保として
優先出資の発行が可能です。
また、TMKの場合、不動産を取得する際の
不動産取得税は、概ね60%減額出来る
軽減措置があります。
TMKとGK-TKスキームでは
そのバックグランドにある法律が
異なるため、流通税や附帯する費用の
計算も大きく異なります。

GK-TKスキームとTMKスキームとの違い②

GK-TKスキームとTMKスキームとの
違いの続きをご紹介します。
GK-TKスキームの場合、TK(匿名組合出資)は
SPCの会計処理上では、『長期預り金』という
固定負債に計上します。
一方、TMKスキームでは、TKに相当する
優先出資は、『優先出資』などと
資本の部に計上します。
GKとTMKの謄本を見比べてみても
GKの場合、TKがいくら大きくなっても
GKの謄本に、登記する内容は
変わりません。
当初設立した時の資本金10万円や
100万円のままです。
そのため、法人税均等割りは、
本店所在地の最少額に留まりますし
資本金が1000万円以上であるため
強制的に、消費税課税事業者に
なることはありません。
一方で、TMKの場合、優先出資を
受ける際には、TMKの謄本に
資本金(特定出資)の他に、優先出資の
額を登記することになります。
そのため、法人税均等割りは、年間
何十万円になることもありますし
資本金が、1000万円以上のため
強制的に消費税課税事業者になることも
あります。
(詳細は、下記を参照)
(正確には、基準期間がない場合の法人で
 事業年度の開始時点の資本金が1000万円以上
 あれば、その事業年度は、課税事業者になる。)
と、扱いが異なってきます。
ただ、TMKの場合は、資産流動化のため
設立した法人ということもあり
資本金(特定出資+優先出資)が、1億円以上に
なっても、外形標準課税は適用されないなど
特典はあります。
一般には、TMKの方が、課税条件が
厳しくなるケースが多くなっています。

企業・法人・会社の意味の違い

ブログを何回か書かせていただいておりまして、

何気なく「企業」「法人」「会社」といった名称を

使っておりましたが、それぞれ厳密には

どのような意味があり、どのような使い分けをしているのかが

気になり調べてみましたので、ご紹介致します。

 

意味合いとしては、「企業」が一番範囲が広く、

次に法人、会社と続きます。

 

       企業 > 法人 > 会社

(意味合い) 広 ←――――――→ 狭

 

まず、「企業」とは、個人が営んでいる事業や

集団で資金を募って形成された組織など、

継続的に経済活動をしている主体をさします。

言い換えれば、法人や個人事業主がたちあげた店などの

すべてが企業に含まれるといえます。

 

次に、「法人」とは、利益や公益などを目的に形成された

組織のことをさします。

法的に人格が付与された(法律により

権利能力が認められた)組織体です。

(個人事業主は法人に含まれません。)

 

法人には、「私法人」と「公法人」に分類され、

私法人は更に「営利法人」と「非営利法人」に分類されます。

ここでいう「営利」とは、利益分配のことを意味します。

例えば、営利法人に株式会社がありますが、

株式会社は利益が出れば、株主に配当を出します。

非営利法人は、配当を出さない組織です。

 

  公法人の例 … 公社、公団、公庫、公共組合、

          広義には国・地方公共団体も含む

 

  私法人 → 営利法人の例 … 会社

      → 非営利法人の例 … NPO法人、医療法人、一般社団法人

 

最後に、「会社」とは、会社法に基づいて設立された

営利目的のものをさします。

会社の中でも事業形態によって、

株式会社、合同会社、合名会社、合資会社などがあります。

有限会社というものもありますが、

厳密には会社法上「有限会社」という商号の株式会社であると

されています。

 

以上のように「企業」「法人」「会社」のそれぞれの意味合いを

調べてみましたが、このような違いがあります

普段、何気なく使う言葉ですが、

意識して使い分けても良いでしょう。

 

 

GK-TKスキームとTMKスキームの違い ①

大阪では、SPCを扱う会計事務所が
少ないことから、SPC会計の基本的な質問などを
いただくケースがあります。
よくある質問の一つに、GK-TKスキームと
TMKスキームの違いというものがあります。
では、具体的に解説いたします。
①金融庁、財務局の関与
GK-TKスキームの場合、TK(匿名組合出資)を
発行する際には、第2種金融商品取引業者に
募集行為を委託しなければ、なりません。
投資家に適格機関投資家(プロの投資家)が
いるケースなど例外がありますが、
第2種金融商品取引業者の関与や
これに伴う費用負担が発生します。
また、財務局によるファンドのモニタリングが
あり年に1回主な財務数値を報告
しなければ、なりません。
一方、TMKの場合、案件実行前に
資産流動化計画を作成し、財務局に
届出をしなければなりません。
この資産流動化計画は、TMK独特の
もので、案件の種類にもよりますが
20ページ程度の書類になり、作業量も
一定量となります。
こちらも毎年、財務局に決算書を
提出しなければなりません。
これ以外の相違点は、次回
以降に続いてお伝えします。

決算期の変更で節税!

よく知られているように、個人事業の場合は、

1月1日から12月31日を決算期としなければなりませんが、

会社は決算期を自由に選ぶことができます。

 

1年を超える期間にすることはできませんが、

6ヶ月ごとや3ヶ月ごとに決算をするのも自由です。

ただ、事務手続作業が煩雑になり、申告費用がかさむので、

大半の会社は、事業年度を1年にしています。

 

決算期をどうするかは、会社設立時に決めますが、

その後も自由に変更可能です。

 

先日、ある顧問先様が決算期の変更をすることになり、

お手続きさせていただきました。

 

この顧問先様は不動産業をされています。

駅前でよく見かける不動産屋さんのようにコンスタントに仲介手数料が入るわけではなく、

毎月決まった売上は、賃料や管理料で、数百万円です。

でも、ひとたび大きな物件を手掛けると一度に何千万円かの仲介手数料が入ってきたり、

何億円かの物件売却益が手に入ったりします。

月ごとでなく、年ごとで見ても売上高も利益も大きな波があるのが特徴です。

 

コンスタントに毎月同程度の売上があり、仕入や利益も毎月ほぼ同じという会社には

あまり効果がありませんが、

決算期の変更は、この顧問先様にはぴったりの節税法でした。

 

というのも、この顧問先様は、決算期間際に大きな契約がまとまって

大きな利益が出そうな状況になったのです。

このままでは、利益の3割以上が納税ですぐになくなってしまいます。

そこで、節税のために決算期を2ヶ月早めることにしました。

契約が成立してからでは、入金がなくとも「未収入金」として売上を計上しなくてはいけないので、

相手先が購入を決定する前の、検討している段階で決算期を迎えることにしたのです。

そうすれば、その大きな売上は来期の売上にすることができます。

 

来期にしても、その物件の売却から得られる利益は同じなので、

納税額が大きくなるのに変わりはないと思われるかもしれませんが、

場合によっては、他の条件が同じでも決算期の変更だけで節税になることがあります。

中小企業の場合、所得の800万円までは、軽減税率が適用され、税率が低いからです。

 

例えば 

1年目の利益が1600万円で2年目が0円だった場合(ケース①)と

1年目も2年目も利益が800万円だった場合(ケース②)

を比べるとトータルの利益は同じ1600万円ですが、

ケース①は、利益のうち800万円には23.4%(平成29年度の場合)の法人税率が適用されるのに対し、

ケース②は、すべての利益に15%の法人税率が適用されるので、トータルの税額は安くなります。

(これは、中小法人の場合です。)

 

また、決算間際にできる節税策は限られていますが、

1年あれば様々な節税対策をとり、利益を圧縮することが可能です。

何より、納税が1年延びれば資金繰りがかなり楽になります。

決算が1年延びれば、納税も1年延び、1年間は手元資金に余裕ができます。

 

手続きはごく簡単です。

①臨時株主総会で決算期の変更を決議する。

②定款を変更する。

③管轄の税務署・府県・市に届ける。

 

定款を変更しても公証人に認証してもらう必要もなければ

法務局で登記をする必要もありません。

 

今回の節税案は所長の提案でしたが、

私も経験を積み、知識を増やし、顧問先様に最適な提案ができるように精進いたします。

 

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 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7

  淀屋橋総合会計・不動産鑑定

 http://www.yodoyabashisogo.com

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中小企業経営力強化税制

昨年度までの生産性向上設備投資
促進税制と比べて、経営力強化税制は
経済産業省の確認後、各業種別の
監督官庁へ経営力強化計画を出さなければ
ならないことになり、2段階の手続きを
踏まなければならなくなりました。
経済産業省の確認は、各地の経済産業局が
担当されていて、業務も分散されて
いたようですが、2段階目の経営力強化計画は
東京の本省で、一括して、中には
1人の担当者で対応している業種も
あるようで、申請から、確認が取れるまで
数か月 要していることがあります。
私どもの事務所のお客様の件では
8月に、監督官庁に経営力強化計画を
出しましたが、1ヶ月半以上経過した
今でも、回答は得られていません。
お客様の決算月は、3月なので、時間的には
余裕がありますが、例えば、3月決算の会社さんが
来年年始頃から経営力強化税制の申請に
着手した場合、経済産業省の確認に1ヶ月要して
監督官庁の確認に、数か月を要すると
決算作業と重なるため、やきもきしそうです。
経営力強化税制の申請は、お早めに
着手することを、お勧めします。