5月 2010アーカイブ

容積率と土地価格

都心の商業地では、容積率と
土地価格には、相関関係が
高い。
都心で、オフィスビルを建てれば
全てテナントで埋まるという
前提条件があったからです。
例えば、相続税評価の路線価でも
都心では、容積率が高いところは
路線価も高いし、容積率が低い
ところは、路線価が低くなっている
ケースが多くあります。
 
不動産の開発業者は、土地の
容積率を目一杯使い切るような
建物を建設することに、注力し
そうすることによって、開発利益を
最大化できると考えていると
思います。
 
しかし、昨今のように、オフィスビルの
空室率が上昇するような経済環境では
容積率を目一杯使う経済合理性が
薄れてきています。
路線価評価に戻れば、容積率が
高いからといって、路線価が
高くなるエリアは、限定されてきていると
思います。
 
容積率と地価の関係、不動産開発で
目指すものは、従前からは
変わってきていると思います。

事務管理業務

今日、同業者(公認会計士で
SPCの事務管理をしている者)に
ついて、ビッグニュースが、飛び込んできた。
 
なんと預っていたお金30億円を
横領したということで、驚いた。
 
記事によれば、今年初め、不動産投資ファンドの
ため預っていた預金30億円を、横領し
個人のFX取引に流用していたとの
ことだ。
 
この事件の会計士は、30億円をFXで
仮にレバレッジ5倍の取引をして
利率5%の外貨で、1週間資金を
寝かせたら、(1週間で為替変動が
ないものとして)
30億円×5倍×5%×(7日÷365日)=1,438万円
儲かるとでも考えたのでしょうか?
 
それでも、30億円ものファンド資金の管理を
会計事務所に一任した依頼者の
管理体制も問われそうです。
 
私の事務所では、まず
① AM会社が資金を管理して
  うちの事務所は、経理業務に
  徹するケースが最も多く。
 
② 預金を管理する案件では
  資金引出には、AM会社の
  指図を必ずもらってから
  行い、
③ 可能な限り、ネットバンク
  契約を締結し、AM会社等に
  資金移動をリアルタイムに
  検証できるようにして
④ ネットバンク契約できない
  ものは、少なくとも月次で
  資金移動を報告する
  システムを取っている。
⑤ 事務所内でも資金移動の
  際には、3重のチェック
  体制をしいていて
⑥ 事務管理業務を今までに
  5年以上行ってきましたが
  預金取引での事故は
  全く発生していません。
 
会計事務所、特に事務管理を
行う事務所は、信用が一番
大切だと感じました。

完全親子会社間取引の税制改正

B社が、A社の100%子会社の場合、
親会社のA社に、含み損ある不動産を
保有していて、かつA社の業績が良く
納税額が多く、節税対策のため
含み損ある保有不動産を、B社に
売却するというケースは、中小企業では
よくあります。
 
しかし、このような手法が、今年の10月から
使えなくなります。
グループ税制改正の一環で、上述の
ような完全支配関係にある
親子会社間での譲渡取引(簿価1000万円
以上)での損益は、税務上
繰り延べられることとなります。
 
上述のような決算対策は通用しなく
なります。
では、このような規定を回避するため
B社の株式の一部を、第三者に
保有してもらうという考えもあります。
そうすれば、確かに、完全支配関係は
解消されますが、B社株式の譲渡
取引に関して、合理性を説明できなければ
租税回避行為と見られることに
注意が必要です。

収益価格重視の鑑定制度

平成初期の頃のバブル経済の
時代は、私はちょうど、大学卒業を
控えた大学生でした。
 
当時の就職事情は、今とは180°逆の
売り手市場で、企業は学生の獲得に
やっきになり、会社が学生に
うちに来てくれ、うちに来てくれという
状況でした。
 
昨今の学生たちから見れば
信じられないような環境でした。
 
昔話は、そこそこに当時は、不動産
市場も異常な加熱ブリで、土地転がしや
地上げが、蔓延していました。
 
当時の不動産価格は、高値の取引事例が
高値を呼ぶという環境で
不動産鑑定でも、取引事例を中心に
鑑定評価額が決定していました。
当時の日本の土地の時価総額が
アメリカの土地の時価総額の数倍に
なるという異常な価格になっていました。
 
その後、不動産投資ファンド等の
出現で、不動産価格が取引事例ではなく
収益価格を重視して決定される
こととなりました。
合わせて、不動産鑑定制度も改正され
従前よりは、収益価格を重視する制度に
なっています。
 
昨今の不動産価格の下落は、平成初期からの
失われた10年の不動産市場の低迷とは
随分おもむきが異なると思います。
 
昨今の不動産市場では、収益価格重視の
傾向にあり、キャップレート(利回り)で
価格を判定する傾向にあります。
つまり、平成初期の頃の価格形成の
根拠が乏しい、取引事例よりは、収益との
バランスで決定される収益価格は、
異常な市場価格形成を抑止する機能が
あると思います。
 
利回りで、不動産価格を判定する時代に
入って、まだ歴史は浅いですが、少なくとも
平成初期の頃の、不動産バブルの発生は
おこらないと思います。