CRE戦略に必要な2つの目線

CRE戦略には、不動産マーケットの
目線とビジネスの目線の二つが
必要です。

最近新聞で、CRE戦略を取り上げた
広告等をよく見かけます。
CRE戦略を成功させるには、何が
大切かと言えば、2つの目線が、必要かと
思います。

1つ目が、不動産マーケットの目線です。
具体的には、事務所を賃借している場合
賃料相場や推移、契約締結の経緯を確認して
賃料水準が、市場より高いのかどうか
また、所有不動産の利用状態や近隣の
状況から見て、有効利用できているのか
どうかという目線が必要です。

2つ目が、ビジネスの目線です。
例えば、事務所を賃料相場に
見合った金額で借りている。
また、所有する不動産は、近隣の
利用状況等から見ても
有効利用している。
これで、あれば何も改善余地が
ないように思えます。

しかし、事務所の人員から見れば
事務所が広すぎたり、他の営業所との
兼ね合いから統合した方が合理的
であったり、経営的な観点から
有効利用出来ている不動産を
売却して、もっと立地の良いところへ
転居することが合理的などが
考えられます。

1つ目の不動産マーケットの目線は
市場データを丹念に集めてくれば
ある程度、問題点を見出すことが
出来ます。
2つ目のビジネスの目線は、対象
会社のビジネスを理解することが
必要で、不動産データを収集
するだけでは、見えてこないところ
です。

賃貸等不動産の時価開示のインパクト

先週、東京でCRE戦略のセミナーを
受講してきました。
そこでは、今後予定されている
賃貸等不動産等の時価開示に
合わせて、企業のCRE戦略を
見直しましょうとの話が、ありました。

賃貸等不動産の時価開示は、
今までも取り上げて来ましたが
概略を言いますと、賃貸不動産及び
遊休不動産の時価とその不動産の
損益を注記で開示するということで
会計処理を伴うものではなく
あくまで開示ということで、かつて
有価証券の時価情報という
ものが、有価証券報告書で
注記として開示されていたものに
似ている感があります。

この開示によって、賃貸等不動産の
時価と損益が明らかになり
その不動産の収益性が、明らかに
なります。
つまり、企業が保有する賃貸等
不動産をどの程度、収益性という
観点から効率的に利用しているか
開示されることとなります。

ですから、高い時価の不動産を
低い収益しか上げていなければ
株主からは、もっと収益をあげるか
売却するか追及される可能性が
でてきました。
企業は、保有する不動産の収益性に
眼を向けざるを得なくなるという
ことです。
そこでのセミナーは、不動産会社が
主催しており、最終的には
不動産戦略の見直し、引いては
売買等の仲介業務をされたいということが
最終目的であったと思います。

セミナー開催の趣旨は、別に
賃貸等不動産の時価開示は、
かつても村上ファンドが、阪神電鉄に
保有不動産の有効利用を提案してきた
ように、他の企業も、そのような
提案を受ける可能性が高まることは
間違いありません。

企業再生は、立派なCREマネjメント

CRE戦略という言葉が、最近
耳にすることが多くなりました。
しかし、CRE戦略の実践は
CRE戦略という言葉が、言われだす
前から、行われていました。

例えば、ゴルフ場の再生などでは
CRE戦略が、実践されていました。
平成初期頃に、たくさんのゴルフ場が
完成しました。
当時は、ゴルフ会員権を新規発行すれば
高値で、販売できたので、ゴルフ場の
建設資金を、容易に調達できました。

しかし、その後ゴルフ会員権市場は
崩壊し、預託金方式のゴルフ会員権の
償還が来ても、ゴルフ場は、償還に
応じられず、破綻が相次ぎました。

破たん前のゴルフ場は、預託金の
返還に資金を投入するため
コースやクラブハウスへの必要な
メンテナンスが行われず、コース
設備は老朽化しました。
そのため、来場者は減少し
営業キャッシュフローが悪化するという
悪循環を繰り返していました。

このようなゴルフ場の再生のため
法的整理に入ると、債務はカットされると
必要なメンテナンス費用が捻出されて
営業キャッシュフローが改善するという
好循環に変わります。
ゴルフ場に限らず、破綻企業の中には
債務の元利金支払いに資金が消えて
いたことが解消され、不動産の
潜在能力が回復して、再生に向かう
ケースは、よくあることです。

企業再生を通じて、CRE戦略を
同時に実行することは、随分前から
行われてきました。

CREマネジメントの意義

日本人は、農耕民族ということもあり
不動産、とりわけ土地に対して、強い
愛着を持っていると思います。
これが、平成初期の土地バブルの要因の一つ
であったと思います。

平成初期のバブルの時代からは、変わって
不動産は、金融商品としての側面を
持つようになりました。
とは言っても純粋な金融商品とは
異なる点はありますが、少なくとも
価格が、上昇したり下落したりすることが
分かりました。

また、不動産には、不動産固有のリスクが
あります。
(土地)土壌汚染
(建物)アスベスト、PCB
これだけでなく、不動産には、法的制限も
多くあり、これが評価にも大きく影響します。

企業は、このような不動産を網羅的
継続的に管理していかなければ、なりません。
このような不動産を管理していくための
ツールがCREマネジメントです。

CREマネジメントで大切なことは
不動産に関する情報を、どこかの箇所で
網羅的に把握できること、つまり情報の
一元化と情報の更新を定期的に、行うこと
例えば、路線価や近隣の公示価格は
毎年更新されますし、容積率、建蔽率等も
変更になることもあります。

このような情報を継続的に更新をして
経営に活かすことが、CREマネジメント
活動であります。

2つのレベルがあるCREマネジメント

CRE戦略ということばが
新聞紙上等で、よく目にしますが
CRE戦略というより、まずは
CREマネジメント、つまり不動産を
管理する体制を整備することが、
先決であると思います。

最近では、不動産市況の低迷により
単純な不動産取引が、難しくなって
おります。そのきっかけとして、
不動産会社がCRE戦略コンサルティングに
注力しているようにも思えます。

ただ、CREマネジメントには、
大きくわけて 2つのレベルがあるものと
思います。
1つ目は、不動産を購入、売却、賃借
賃貸、有効活用等の不動産を取引したり
建物を建設するなどの経営意思決定
レベルのCREマネジメント。

2つ目は、現在、保有又は利用している
不動産を、そのまま保有、利用し続けるが
収益を高めるための施策を打ち出したり
不動産保有や利用に伴うコストを削減して
不動産価値、ひいては企業価値を
高めていこうとする、オペレーション
レベルのCREマネジメント
があります。

当然のことながら、1つめの場合
大掛かりなこととなるので、多額な
資金を要しますし、経営者も慎重に検討
することになろうかと思います。
一方で、オペレーションレベルについては
経営者が関与するというより、不動産の
管理担当者が、行うマネジメントで
極端に言えば、明日からでも、CRE
マネジメントを実施し、その効果が
現れることもありえることです。

大手不動産関係の会社は、1つ目のレベルの
コンサルティングに注力しているように
思えます。
なぜなら、こちらの方が、施策をうち出すときに
発生する手数料が多く、ビジネスチャンスが
あるからです。
2つ目のレベルは、手間はかかる割には
実際の施策を打ち出すときの手数料は
発生しにくい傾向にあります。

ただ、企業のCRE担当者は、両方のレベルの
CREマネジメントが必要で、1つめの
経営意思決定レベルのCRE施策が打ち出された
後でも、オペレーションレベルのCREマネジメントは
継続して行う必要があります。

不動産時価会計とCRE戦略

昨日、不動産時価会計とCRE戦略という
テーマのセミナーを受講しました。
不動産の時価会計とは、賃貸等不動産の
時価を注記しなければならないという
会計制度で、平成22年3月末決算から
開示しなければならなくなります。

この賃貸等不動産の時価開示と
減損会計とを比較すれば、
 仝座参餬廚任蓮減損認識のテストを
  してから、減損の兆候があれば
  減損損失を認識するが
  賃貸等不動産の場合、賃貸等
  不動産に該当すれば、重要でない
  ものを除いて、全て時価を
  開示する。

◆仝座参餬廚任蓮損失を経理上反映
  するが、賃貸等不動産の場合
  注記として開示するだけである。

減損会計の場合、減損認識まで
一定の手順(減損の兆候の有無判定
減損を認識するか判定
減損損失の計算)を踏むが
賃貸等不動産の場合、上述のように
賃貸等不動産に該当すれば、全て時価
開示となるため、時価を算定する
対象となる不動産は、減損会計より
多くなると予想されます。

不動産の場合、時価算定が容易では
ないものも多く含まれるため
その準備には、一定の日数が要します。

現段階では、賃貸等不動産の
時価開示の準備が十分進んでいない
企業もあるかと思いますが、
 …詑濺劜堝飴困旅覆蟾?
◆´,里Δ繊開示対象となる重要な不動産の確定
 時価の算定方法の決定
ぁ”堝飴佐嫩蠡仂櫃侶萃
等の準備が必要です。

CRE戦略の目指すもの

CRE戦略の目指すもの
つまり目的は、何かと
言えば、企業価値の最大化です。

企業の保有する不動産関連
費用は、総費用に占める割合は
相当高いものです。
その費用をミクロ的、マクロ的な
観点から見直すことが、CRE戦略の
本質と思います。

もう少し概念的な話をしますと
企業経営者は、株主から利潤最大化を
求められており、その命題のため
企業が保有する不動産を、有効に
活用する義務があります。

その義務を果たすために
CRE戦略が必要とされます。
不動産関連費用は、所与のものと
捉えられがちですが、実際の
ところそうではなく、見直しをすれば
収益が改善される余地は、十分
あります。

また、時の経過により、不動産を
取り巻く環境は変化するため
その環境変化に、キャッチアップ
していくことも、企業の役割と
考えています。

これが、CRE戦略の目指すもの
です。

不動産時価会計とCRE戦略

企業保有不動産の時価会計
導入がせまっています。
賃貸等不動産の時価情報開示が
それです。

賃貸等不動産の時価情報開示に
合わせて、企業がどのように
対処すべきか触れてみたいと
思います。

まず、開示対象の不動産ですが
いわゆる棚卸資産の不動産は
低価法の適用
本社の自社ビル、工場等は
減損会計が適用され
賃貸等不動産は、投資用不動産や
遊休状態になっている不動産が
該当します。

時価情報を開示すれば、
その賃貸等不動産の簿価と
時価、含み損益が開示される
こととなります。

それに対して企業はどのように対応する
ことになるでしょうか?

ヾ泙濛擦△詆堝飴困砲弔い討
不動産の活用が適切にされているか
検討されることになると思います。
場合によっては、売却も検討
しなければなりません。

含み益があれば、それで安泰では
ありません。その不動産が時価に
応じた利用がされているか
検討すべきでしょう。

4泙濛察Υ泙澑廚いくらあるかどうかは
別として、時価情報の開示を契機に
企業が保有する不動産が適切に
利用されているか、また
適切に管理されているか、見直すきっかけに
なると思います。

人件費に次いで、高い固定費である
不動産関連費用については、企業収益に
大きく影響するものですから
どのようにコントロールするかは
企業収益に大きく影響するでしょう。

不動産の特性とCRE戦略

不動産鑑定士の試験、実務修習を
通じて、不動産というものは
いろいろなファクターから成り立って
いるものだと感じました。

不動産については、容積率、建蔽率
建築制限等の行政的要因と、
取引にあたって、重要事項説明や
手付金等の制限等の私法上の制限
評価においては、取引相場や
金利市場、金融市場の動向の影響を
大きく受ける。

土地については、土壌汚染リスク
建物については、有害物質リスク等の
リスク要因を加味しなければなりません。

企業は、このような様々な要因を抱えた
不動産を保有又は利用しつつ事業活動を
行っていかなねればなりません。
大きな企業になれば、保有する不動産の
数も多くなるので、それを最適に
組み合わせていくことも必要となってきます。

一方で、投資等不動産の時価評価開始時期が
迫ってきており、その対応も必要と
なってきています。
企業のCRE戦略では、保有する不動産の
情報をリストアップし、その情報を適時に
更新して、企業経営にフィットするように
取得、売却、利用をしていくことが
必要になります。

CRE戦略の手順

CRE戦略(企業の不動産戦略)に
ついて、新聞や書籍で頻繁に
取り上げられていますが、そのプロセスは
次のようになります。

1.現状分析
現状の不動産の利用状況、管理体制に
ついて調査分析します。

2.問題提起
1を基に、問題点をピックアップ
します。

3.戦略設定
企業の戦略と不動産戦略との整合性
や関連性について、検証し
方向性を決めます。

4.戦略行動
実際に不動産を処分したり
購入する場合は、資金移動を
伴うものとなります。
財務活動と連携をとりながら
実際の行動を開始します。
その際のポイントは、企業価値を
最大化するための行動と
なります。