6月 2023アーカイブ

居住用賃貸不動産(レジ)SPC案件での仮払消費税の損金処理(法人税法上の扱い)

レジ案件のSPCの場合、課税売上割合が10%を切ることが多くあります。
その場合、仮払消費税が全額損金に算入できないことに
注意が必要です。

通常、消費税の納税額は、仮受消費税から仮払消費税を控除して求めます。
しかし、レジ物件を購入した場合は
①レジ物件の建物取得に係る仮払消費税は、取得時に仕入控除出来ない。
②ローン手数料結を長期前払費用のように資産計上した時の仮払消費税は、
課税売上割合を乗じた額に限定され全額控除出来ない。

この結果、仮受消費税から控除できない仮払消費税(控除対象外消費税)が発生します。
控除対象外消費税は、全額その年の損金に算入できる場合とできない場合があります。
例えば、資産を購入した時に支払った控除対象外消費税をその年の損金に算入するには
次の条件をクリアする必要があります。

1. 課税売上割合が80%以上であること
2. 対象の資産が棚卸資産であること
3. 1つの資産に係る控除対象外消費税額が20万未満であること

以上の条件のすべてに当てはまらない場合は、
控除対象外消費税を『繰延消費税額等』として資産計上し、
60ヶ月(年間12ヶ月)で償却します。(ただし初年度は2分の1の6ヶ月分)

レジ案件のSPCの場合は、売上げのほとんどが消費税非課税の住宅賃料収入で、
課税売上割合が80%に達することはなく、
消費税額が20万円以上の資産(つまり税抜価格200万円以上の資産)を購入した場合、
繰延消費税を計上しなくてはならなくなりますので、注意が必要です。

繰延消費税を計上した場合は、法人税申告書の別表16(10)を作成し、
当期の損金算入限度額を超えて損金にしていないかを申告します。

なお、税込経理をしている場合は、控除対象外消費税の問題は発生しません。

根拠法令
消法30、法令139の4、法規28、所令182の2、所規38の2、平元.3直法2-1、平元.3直所3-8外



太陽光発電所内でのケーブル盗難に対する保険金支払い

先日、担当先の再生可能エネルギーSPC発電所において、
ケーブルの盗難が発生いたしました。
現地の業務委託会社が定期検査実施の際に被害が発見され
報告を受けました。

近年、太陽光発電所内でのケーブ盗難事故が全国的に
多発しており、夜間に人の目が届かない場所で、中規模から
大規模の発電設備に被害が多く見受けられるそうです。

ケーブルが狙われる理由として、銅製で換金しやすく高価であること。
パネルの様に重さもなく運搬が簡単であること。
パネルにはシリアルナンバーがありますが、ケーブルには
それが無いので転売時に発覚しにくいという点があげられます。

当発電所内でも、昨年、一度目の被害が発生し防犯設備の対策を
講じている最中に、今年、二度目の盗難が発生いたしました。
最初のケーブル被害では、60m程でしたが、2度目は、900mと
被害が大きく、その分、復旧工事費用も工事に係る日数や人件費も嵩みます。

一度目のケーブル被害の実損分として60万円が、営業補償として
180万円が保険金として支払われる予定です。
二度目の被害に対する保険金の支払いは未定ですが、被害状況
からみても多額になる見込みです。

復旧工事が完了するまでは、発電供給量が低下し事業者にとっては
大きな損失となります。
また、近隣住民の防犯に対する懸念も大きくなり、今後、
新規発電所設営に対する不安要素となる可能性もあります。

防犯対策の強化と保守運営双方の対応が必要です。

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