4月 2009アーカイブ

CREマネジメントの意義

日本人は、農耕民族ということもあり
不動産、とりわけ土地に対して、強い
愛着を持っていると思います。
これが、平成初期の土地バブルの要因の一つ
であったと思います。

平成初期のバブルの時代からは、変わって
不動産は、金融商品としての側面を
持つようになりました。
とは言っても純粋な金融商品とは
異なる点はありますが、少なくとも
価格が、上昇したり下落したりすることが
分かりました。

また、不動産には、不動産固有のリスクが
あります。
(土地)土壌汚染
(建物)アスベスト、PCB
これだけでなく、不動産には、法的制限も
多くあり、これが評価にも大きく影響します。

企業は、このような不動産を網羅的
継続的に管理していかなければ、なりません。
このような不動産を管理していくための
ツールがCREマネジメントです。

CREマネジメントで大切なことは
不動産に関する情報を、どこかの箇所で
網羅的に把握できること、つまり情報の
一元化と情報の更新を定期的に、行うこと
例えば、路線価や近隣の公示価格は
毎年更新されますし、容積率、建蔽率等も
変更になることもあります。

このような情報を継続的に更新をして
経営に活かすことが、CREマネジメント
活動であります。

2つのレベルがあるCREマネジメント

CRE戦略ということばが
新聞紙上等で、よく目にしますが
CRE戦略というより、まずは
CREマネジメント、つまり不動産を
管理する体制を整備することが、
先決であると思います。

最近では、不動産市況の低迷により
単純な不動産取引が、難しくなって
おります。そのきっかけとして、
不動産会社がCRE戦略コンサルティングに
注力しているようにも思えます。

ただ、CREマネジメントには、
大きくわけて 2つのレベルがあるものと
思います。
1つ目は、不動産を購入、売却、賃借
賃貸、有効活用等の不動産を取引したり
建物を建設するなどの経営意思決定
レベルのCREマネジメント。

2つ目は、現在、保有又は利用している
不動産を、そのまま保有、利用し続けるが
収益を高めるための施策を打ち出したり
不動産保有や利用に伴うコストを削減して
不動産価値、ひいては企業価値を
高めていこうとする、オペレーション
レベルのCREマネジメント
があります。

当然のことながら、1つめの場合
大掛かりなこととなるので、多額な
資金を要しますし、経営者も慎重に検討
することになろうかと思います。
一方で、オペレーションレベルについては
経営者が関与するというより、不動産の
管理担当者が、行うマネジメントで
極端に言えば、明日からでも、CRE
マネジメントを実施し、その効果が
現れることもありえることです。

大手不動産関係の会社は、1つ目のレベルの
コンサルティングに注力しているように
思えます。
なぜなら、こちらの方が、施策をうち出すときに
発生する手数料が多く、ビジネスチャンスが
あるからです。
2つ目のレベルは、手間はかかる割には
実際の施策を打ち出すときの手数料は
発生しにくい傾向にあります。

ただ、企業のCRE担当者は、両方のレベルの
CREマネジメントが必要で、1つめの
経営意思決定レベルのCRE施策が打ち出された
後でも、オペレーションレベルのCREマネジメントは
継続して行う必要があります。

不動産時価会計とCRE戦略

昨日、不動産時価会計とCRE戦略という
テーマのセミナーを受講しました。
不動産の時価会計とは、賃貸等不動産の
時価を注記しなければならないという
会計制度で、平成22年3月末決算から
開示しなければならなくなります。

この賃貸等不動産の時価開示と
減損会計とを比較すれば、
 仝座参餬廚任蓮減損認識のテストを
  してから、減損の兆候があれば
  減損損失を認識するが
  賃貸等不動産の場合、賃貸等
  不動産に該当すれば、重要でない
  ものを除いて、全て時価を
  開示する。

◆仝座参餬廚任蓮損失を経理上反映
  するが、賃貸等不動産の場合
  注記として開示するだけである。

減損会計の場合、減損認識まで
一定の手順(減損の兆候の有無判定
減損を認識するか判定
減損損失の計算)を踏むが
賃貸等不動産の場合、上述のように
賃貸等不動産に該当すれば、全て時価
開示となるため、時価を算定する
対象となる不動産は、減損会計より
多くなると予想されます。

不動産の場合、時価算定が容易では
ないものも多く含まれるため
その準備には、一定の日数が要します。

現段階では、賃貸等不動産の
時価開示の準備が十分進んでいない
企業もあるかと思いますが、
 …詑濺劜堝飴困旅覆蟾?
◆´,里Δ繊開示対象となる重要な不動産の確定
 時価の算定方法の決定
ぁ”堝飴佐嫩蠡仂櫃侶萃
等の準備が必要です。

潮目は、変わったか?

年度が変わり、目立った企業の
倒産もなくなり、経済情勢も
落着きを取り戻したように
思えます。

不動産関係の上場企業の
株価も、年度末をはさんで
ずいぶん回復したところから
経済情勢の最悪期は、経過したの
ではないかと思います。

不動産関係企業では、不動産
開発業者の中で、体力のあるところは
来々年度(H23年3月期)に向けての
土地等の仕入れを開始されているようです。

最近では、以前より安く優良な
物件を仕入れることができるように
なっているようです。

不動産価格一般としての潮目が変わった
のではないかと言われる方と
まだ、当面は不動産価格は低迷する
という意見の両方がほど半々なのが、
ここ最近の情勢では
ないでしょうか?

CRE戦略の目指すもの

CRE戦略の目指すもの
つまり目的は、何かと
言えば、企業価値の最大化です。

企業の保有する不動産関連
費用は、総費用に占める割合は
相当高いものです。
その費用をミクロ的、マクロ的な
観点から見直すことが、CRE戦略の
本質と思います。

もう少し概念的な話をしますと
企業経営者は、株主から利潤最大化を
求められており、その命題のため
企業が保有する不動産を、有効に
活用する義務があります。

その義務を果たすために
CRE戦略が必要とされます。
不動産関連費用は、所与のものと
捉えられがちですが、実際の
ところそうではなく、見直しをすれば
収益が改善される余地は、十分
あります。

また、時の経過により、不動産を
取り巻く環境は変化するため
その環境変化に、キャッチアップ
していくことも、企業の役割と
考えています。

これが、CRE戦略の目指すもの
です。

不動産時価会計とCRE戦略

企業保有不動産の時価会計
導入がせまっています。
賃貸等不動産の時価情報開示が
それです。

賃貸等不動産の時価情報開示に
合わせて、企業がどのように
対処すべきか触れてみたいと
思います。

まず、開示対象の不動産ですが
いわゆる棚卸資産の不動産は
低価法の適用
本社の自社ビル、工場等は
減損会計が適用され
賃貸等不動産は、投資用不動産や
遊休状態になっている不動産が
該当します。

時価情報を開示すれば、
その賃貸等不動産の簿価と
時価、含み損益が開示される
こととなります。

それに対して企業はどのように対応する
ことになるでしょうか?

ヾ泙濛擦△詆堝飴困砲弔い討
不動産の活用が適切にされているか
検討されることになると思います。
場合によっては、売却も検討
しなければなりません。

含み益があれば、それで安泰では
ありません。その不動産が時価に
応じた利用がされているか
検討すべきでしょう。

4泙濛察Υ泙澑廚いくらあるかどうかは
別として、時価情報の開示を契機に
企業が保有する不動産が適切に
利用されているか、また
適切に管理されているか、見直すきっかけに
なると思います。

人件費に次いで、高い固定費である
不動産関連費用については、企業収益に
大きく影響するものですから
どのようにコントロールするかは
企業収益に大きく影響するでしょう。

GC注記

最近の不況や多数の倒産が
発生したこともあり、GC注記
(継続企業として、疑義がある旨の注記)を
した企業が多数出てきました。

この注記は、企業が行うのですが
実質的には、その会社の監査法人が
注記をしなさいと指示を出して
注記を行っています。

GC注記をすれば、ほぼ間違いなく
株価は下落し、企業の株式価値は
低下します。
ただ、GC注記をした企業がその後3年程度で
どれほど、破綻しているかは調べたことは
ありませんが、大多数が破綻していないと
思います。
通常、GC注記をすれば、投資家等は
この会社は倒産するのではないかと
考えますが、実際のところ、倒産する
企業の割合は、さほど高くはありません。

GC注記は、過度な危険信号を
発しているという側面があると思います。

そのためか、金融庁の企業会計審議会は
GC注記に関する基準を緩和する方向での
検討を始めました。

http://www.fsa.go.jp/news/20/sonota/20090326-3.html

このように、過度にGC注記がされる背景には
会計士の気質にも関係があると思います。
以前にも、お伝えした記憶がありますが
会計監査を担当する会計士にとって
会計監査には、失敗はあっても成功は
ないものです。監査証明を発行して
その後、何も発生しないことが、当たり前の
ことで、後に粉飾決算が判明し、その企業が
破綻等すれば、その責任を追及されることを
嫌います。
そのような失敗を恐れる気質から、GC注記の
要件の一つでも該当すれば、GC注記をするように
促す傾向があります。
そのため、GC注記を乱発して、投資家や
金融機関へ危機意識を必要以上に植えつける
傾向がありました。

基準の緩和により、GC注記が適切に
行われるようになってほしいと思います。

監査を担当する会計士は、

リートの役割

昨年破綻したリートに
スポンサーが着いたことで
不動産関連企業、リートの株価は
軒並 堅調です。
最近までの不動産投資を支えて
いたのは、不動産の最終需要者として
リートが存在していたことは
大きな要因であったと思います。

最終需要者としてのリートの役割が
機能しないと、今の不動産投資スキームを
根底から崩れることになりかねない
ことでした。

これで、リートを持つ不動産投資
会社は、当面落ち着くのではないかと
思います。
ただ、すべての不動産関連企業が
リートを持っているわけではなく
むしろリートを持っていない企業の
方が多く、リートを持つか
持たないかは、不動産投資会社の
評価にも大きく影響するものと
思います。

オリジネーター→私募ファンド→リート
という一連の流れでの、最終ポイントに
あるリートの役割は、これからの不動産投資
の中でも、重要であることは間違いないでしょう。

これからの不動産証券化ビジネス

従来の不動産流動化(証券化)
スキームを組成するビジネスモデルは
今の経済情勢は、難しくなりました。
とは言っても、不動産ファンド会社は
何らかの方法で、不動産投資を
していかなければなりません。

最近までに関係者からお聞きした
今のような経済環境での、不動産
投資方法は、次のようなものが
あります。

 ’肪彰覿箸放出する不動産を
  購入する。
  つまり、破綻企業は不動産を
  売りたたいてでも資金化を
  急ぐので、通常より安い価格で
  購入できる。

◆ヽこ暗蟷餡箸了餠發魄悊団イ辰討る。
  海外の投資家(主に、イスラム諸国?)
  には、資金力があるところも
  あり、そこから資金を調達する。

 短期的な売買益によるエクイティの
  キャピタルゲインを目的とする
  投資ではなく、長期的に
  賃料総額を持って、投資資金全額を
  回収できるようなスキームを利用する

上記の方法は、ほんの一例ですが
これらを組み合わせてのスキームも
あります。

従来型の投資スキーム、投資期間
投資スタイルは、しばらくは
使いにくい環境が続きそうです。