SPC利用が増えた理由(4)
これまで、SPC利用のメリットについて書いていたが
今度は、デメリットについて書いてみる。
SPCを利用した資金調達は、貸手(レンダー)と借手だけでなく
信託銀行(必須ではない)、アレンジャー、アセットマネージャー
弁護士、会計士等が関わるため、コスト的に高くなることや
関係者間での意見調整が必要となり、時間的にも余分に
要することが多い。
特に、最近では会計上の問題として、ライブドアや日興証券の
事件の影響もあり、SPCを非連結子会社とすることが
難しくなってきており、SPC利用のメリットととして
挙げていたオフバランス処理のハードルが高くなって
いることも事実である。
また、信託受託の際の、審査においても、物件の遵法性や
場合によっては、オフバランス処理できるか否かにまで
問うケースもあり、こちらの面からもハードルが高くなって
きている。
(SPCによる資金調達で、信託を利用する理由については
後日、解説いたします。)
SPCを利用した不動産流動化は、かつての冷え切った不動産市場を活性化する
ための大きな役割を果たしたことは間違いないが
最近では、上述のような様々な規制により、不動産流動化が
沈静化するのではないかとも思える。
私は、日本の不動産市場は、最近かなり上昇したので
そろそろ頂上に達しているのではと思っている。
そういった意味では、不動産流動化案件は、今後は
従来のような、急速な伸びはないのではないかと思っている。
ただ、海外から見れば日本の不動産市場はまだ、相対的に
低い水準にあり、海外からの投資家から見れば、
まだ魅力ある市場なのかもしれません。
SPCを利用した資金調達は、ひとつの資金調達手法として
確立されたものであることは、間違いないと思います。