8月 2010アーカイブ

最近の不動産証券化ビジネス事情

最近の不動産証券化ビジネスでは
東京の都心では、不動産がようやく
少し動きかけたようです。
しかし、大阪などの近畿圏では
まだ、不動産を購入しようとする
動きは、鈍い状況です。
 
東京では、収益物件では
キャップレートさえクリアーできれば
購入する者も出てくるようですが
大阪では、単純にキャップレートを
上げただけでは、購入者は現れない
状況にあります。
 
これは、東京圏と大阪圏との
人口動向や経済情勢の差が
あると思います。
不動産市場は、その背景にある
その地域の経済情勢による影響が
非常に大きいので、経済格差が
不動産市場にも表れている
ことなのでしょう。

独立して気がついたこと(1)源泉税制度について

会計事務所を開業して
今で、約6年経過しました。
開業して、いろいろなことを
発見しましたが、税務に関する
ことで、発見したことに
触れてみたいと思います。
 
それは、源泉税制度です。
サラリーマンや私たちのような士業で
個人でされている方なら誰でも
源泉税制度を知っています。
 
この制度は、実にうまく出来ているか
関心させれらます。
源泉税制度では、本来税金を支払うべき者
(サラリーマン(給与所得者))に
変わり、報酬等を支払うものが
本来の納税時期より先立って、
税金を支払うという制度です。
 
この制度のすごいところは、本来税金を
納める者に納税させるのではない
ところです。本来の納税者は
なるべく税金を少なくするため
いろいろ細工をしたり、納期限を引き伸ばそうと
努力します。また、一旦もらったお金は
全て、自分のお金を思い勝ちで
そこから納税しなければならないと
思う人は、意外と少ないと思います。
 
それでは、税金の回収がスムーズに進まないので
給与所得者の所得税減額や納税時期を
遅らせることと関心がなく、モチベーションも
沸かず、ある意味、給与所得者と利害が
対立する会社に納税を、させることで
税金の回収率を高めようとしているのが
源泉所得税制度です。
 
それ以外に、税務署は、定期的に
リベート等の支払実績等の資料の
提出を求めることがあります。
これも、利害が対立するところから
情報を収集して、税金の回収率を
高めようとするものです。
 
世の中の仕組みは、よく考えて
作られているものだとつくづく
感じました。
させる

信託の不思議なところ

不動産証券化では、不動産を
信託に供することは、一般的な
ことです。
 
この信託の仕組みについては
初めて、証券化に携わる方には
不思議なことが多いようです。
 
不動産を信託に供した場合
不動産の登記名義人は、信託銀行(会社)に
なります。
そのため、固定資産税等の納税義務者は
信託銀行になります。
 
SPCが、受益者として信託に供した
不動産に関する経済的利益を受ける
主体となります。
 
SPCの経理では、信託に提供している
不動産をあたかも所有しているかのような
経理処理をします。
形式的な所有者と実質的な
所有者が異なるところが、信託の
不思議なところです。
 
ところが、不動産を現物で取得した場合
原則として、不動産取得税が発生しますが
不動産を信託に供して、信託受益権として
取得した場合、不動産取得税が発生しません。
 
また、(現物の)不動産の売買契約の場合
売買代金に応じて、収入印紙を貼付する
必要がありますが、信託受益権の売買契約では
一律200円の収入印紙を貼付すれば
足ります。
 
売買での取得税や契約書の印紙税は、
信託受益権では、不動産現物ではなく
受益権として扱っています。
 
この辺りが、証券化で信託を利用するメリットでも
あります。
 

不動産証券化と賃貸関係

昔の不動産の大家と店子との
間には、人情や人と人との間の
ぬくもりがあったような気がしています。
 
家賃を滞納していても、少しは
待ってあげたり、店子の悩み事に
相談に乗ったりなどの人間関係が
あったと思います。
 
私どもの事務所で扱う不動産ファンドでは
そのような人間関係の生まれる余地が
ありません。
店子は賃料の支払主としての位置づけで
キチンと賃料を支払うことを期待されて
います。賃料を滞納すれば敷金と相殺したり
保証会社がついてあれば、保証会社に
立替を請求したり、冷たい言い方を
すれば、お金でしか結びついていません。
 
形式的に、私どもの事務所が大家のような
形になっているファンドもありますが
店子さんと会うことは、今後もないことでしょう。
 
なぜ、こんな文章を書いているかといいますと
最近、大阪市内で2児が置き去りにされて
死亡するという痛ましい事件がありました。
私の事務所からそう遠くはなく、同じ子を持つ
親として、全くの他人事とは思えないからです。
 
事件の背景には、様々なことがあるかと
思いますが、都会での人間関係の希薄化も
その要因の一つだと思います。
 
不動産の金融商品化という言葉が
もてはやされた時もありましたが
不動産には、ぬくもりがあって
いいと思います。