1月 2008アーカイブ

投資不動産の開示

企業会計基準委員会(ASBJ)の
投資不動産専門委員会
http://www.asb.or.jp/html/technical_committees/investment_property.php
は、今年前半に投資不動産の情報開示に関する
公開草案を公表することを決定しました。

不動産投資会社は、投資不動産を複数保有している
でしょうから、情報開示となった場合
事務的な手間が増えることは間違いないでしょう。

これも、不動産の金融商品化の流れかもしれません。
おそらく、開示する情報は毎年不動産鑑定評価書を
入手してあれば、こと足りると思いますが
今まで開示していなかったことを開示することと
なり、投資会社のスタンスが、あまり知らせたくないことも
開示しなければならないことも考えられます。

投資不動産委員会の動向に注目したいと思います。

SPCは連結子会社か

この質問は、うちの事務所でも
最も、いただく質問のひとつです。
SPCは、どこかの会社の連結子会社に
なるか否かは、最近では、監査法人は
『ある会社が、SPCを実質的に支配しているか
どうか』という基準で判断しているケースが
多いです。
実質的というのは、抽象的なので
具体的には、エクイティ部分の過半を保有している
会社や、SPCのAM(アセットマネジメント=
流動化資産のオペレーション)を
している会社の連結子会社にするケースが
多くなっております。

エクイティ保有会社とAM会社が同一の場合も
結構ありますが、別々の会社であることも
たびたびあります。その際、SPCが
エクイティ保有会社とAM会社の両方の
連結子会社になることがあります。
これは、全体から見て違和感があり
なんとかならないかと思っております。

ただ、世間一般として、SPCは基本的に
どこかの連結子会社とする傾向にあることは
まちがいありません。

金融商品取引法が施行されて、AM業務と
投資業務を明確に分断するようになって
きているので、会計もそれに対応したルールが
できればと思っております。

タックスヘイブンとSPC

不動産証券化では、
 ”堝飴困鮨託して、合同会社に譲渡し
 匿名組合出資契約を締結する

◆〇饂採動化計画を作成して
財務局に届け出た特定目的会社を
組成する

などの手法を使います。
このような手法を使う目的の
大きなものとして、SPC(合同会社、特定目的会社)
が獲得した利益を、投資家へ
そのまま渡すためであるということがあります。

上記のスキームを取らない場合 SPCには法人税が課せられ
10ある利益のうち4を納税し、6が
投資家に配当されます。

であれば、仮に10%の利回りをSPCが得ても
SPCの投資家には、6%しか得られないことと
なり、利回りが大幅に下落します。
そうならないように ´△離好ームを利用するのです。
これを、SPCの導管性とも言います。

ところで、世界に目を向けるとタックスヘイブンという
税金がほとんどかからないところがあります。
ケイマン諸島や、マン島、香港やシンガポールが
それにあたります。
そこで、作られるSPCは、上記のような
手法を使わなくても、SPCは導管性を
持ちます。

これらの地域や国々には、世界中から
お金が集まり様々な投資商品が作られていることでしょう。
こんなことはありえないでしょうが、
日本にタックスヘイブンの地域が作られれば
そこを本店とするSPCがたくさん組成されることでしょう。

公認会計士と不動産鑑定士の比較

不動産鑑定の実務演習開始から、
丸1年経過しようとしている。
不動産鑑定業界について、少しづつ
わかってきたこともありますので
今 感じている公認会計士と不動産
鑑定士とのちがいについて、触れてみたいと
思います。

まずは、それぞれの会員数ですが、これは
圧倒的に公認会計士が多いと思います。
また、最近の合格者数についても
公認会計士が多いと思います。
そういった意味では、公認会計士の方が
業界としての広がりが出ていると思います。

特に不動産鑑定士2次試験の実質合格率
2~3%台(合格者100~200名)というのは、昔の司法試験に
近いイメージがあります。
このような低い合格者数は、最近の試験制度の
変更により、2次試験合格者は
直ちに実務演習に入るが、その受入体制の
キャパや 絶対的な仕事量が限られている
公的評価に大きく依存する体質により、
合格者をたくさん出すことで、既存資格者を
脅かすという懸念もあるのではないかと
思う。

話は変わって、仕事の質的なことでは
不動産鑑定士は、不動産市場について
大変興味を持っています。マーケットという
ものに関する理解は、不動産鑑定士は
すぐれていると思います。
一方で、公認会計士は担当している会社の
内部組織(内部体制)やビジネスモデルについては
よく理解していることは多いが
その会社が属しているビジネスのマーケットについては
鈍感なケースが多いのではないかと思います。
ある会社を理解するには、その会社の属する
マーケットとそれに対する会社の内部体制の
両方を理解することが大事ではないかと
思います。

最後に、上場会社の社長や役員(監査役 除く)をされて
いる不動産鑑定士と公認会計士の比較では
絶対的な人数ではなく、資格者総数に占める
割合でいえば、不動産鑑定士の方が多いと思います。
これは、最近の不動産ビジネスの活況から
上場した会社の役員が多いことと
先述したマーケットに触れながら仕事をしている
ということもその要因かもしれません。
一方で、公認会計士は資格取得時の勉強として
監査論をというものがあり、企業との
『独立性』という考えを叩き込まれます。
そのため、企業を経営するというより
外部者として、客観的に見てしまうことが
多くなります。
当然のことながら、企業の監査をする上では
客観的な目線は重要かと思いますが
いざ企業を経営する立場になれば、
それとは、違った目線が求められるのでしょう。

価格トレンド

不動産に限らず、市場価格を
持つものは、上昇トレンド、下降トレンドを
繰り返しながら推移していくことは
経験則からも、周知のことである。

不動産価格は、最近数年間は
上昇トレンドによりファンドビジネスも
活況であった。ただ、下降トレンドに
なることも十分予想される。

その場合、どのように対応すべきであろうか?
買うことを控えることになるであろう。
既に、不動産ファンド会社の中に
不動産投資を控えようとしているところが
あるみたいである。
しかし、今までファンドを組成し投資することで
収益を得ていたのに、それを手控えれば
収益源を失うこととなる。これも死活問題に
なりかねない。

そのため、不動産ファンド会社も
フィービジネスに注力し始めているようである。
投資顧問業や、AM業務がそれにあたるのであろう。

今まで不動産ファンド会社が数多く設立され
株式公開を果たしたが、もしかすれば
今年くらいから、M&Aなどにより
統合が進むかもしれない。

今年の流動化市場

あけまして、おめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

昨日までに、事務所取引先への
新年挨拶を終えました。
そこでは、今年の見通しなどの話題も
出ました。みなさま様々な見通しを
されておりましが、総括してみますと
今年は、流動化ビジネスが本格化した
最近5~6年と比べて、今までにない
年になるのではないかと考えられている
方が多いようです。

姉歯さん事件の影響で、建築確認基準が
厳格になり、金融商品取引法が施行され
経過措置期間が切れ、不動産市場も
そろそろピークに差し掛かってきたという
認識が広まり、今までのように
誰が買っても、利益が出るような環境では
なくなったことは、事実でしょう。

ここから、選別が始まるのではないかと
思っております。
不動産証券化といっても、様々なプレイヤーが
おりますが、そのなかでも特色を出して
価値を生み出すところは
この荒波を乗り越えることができるでしょうが
そうでないところは、苦境に立たされるかもしれません。

不動産市場も上昇トレンドや下降トレンドを
繰り返しながら、推移していくことでしょうから
このトレンドに乗ったビジネスの展開が
大切ではないかと思っております。

最後に、今年も、皆様にとって、よい年であることを
祈念しております。