11月 2015アーカイブ

メガソーラー 生産性向上設備投資促進税制 即時償却OR税額控除

先日、同業の公認会計士の方が
生産性向上設備投資促進税制の
セミナーをされていたのを、聞く
機会がありました。
制度の概要は、私も把握しているので
特に、新たな発見はなかったのですが
興味深いコメントとして
『即時償却(投資額の全額を1期で
減価償却費計上する。)』か
『税額控除(法人税額の引下げ)』の
どっちが得かという話がありました。
講師の先生は、即時償却をすべきと
言われました。
その理由として、即時償却をすれば
投資額の35%程度(法人税の
実効税率)の回収が1期で出来る。
即時償却は、課税の繰延に過ぎず
将来、法人税額が増えるので、メリットは
ないという考え方もあるが、
企業が、将来にわたって黒字を維持して
税負担が発生するか分からない。
であれば、投資した会計年度に
投資額の35%程度の資金回収が出来る
即時償却を是非使うべきと、おっしゃって
いました。
実に、実務的な発想と思いました。
実際のところ、企業経営で将来10年間
黒字を維持できる企業が稀な存在ですから
その即時償却による投資資金の
回収を進める考えは、納得感が
あります。
実際のところ、即時償却のため
生産性向上設備投資促進税制を
利用するケースが多いのも、このような
背景があるのでしょう。

メガソーラー 生産性向上設備投資促進税制 その背景

生産性向上設備投資促進税制は
投資額の即時償却(設備投資額全額の
1時期での損金処理)や税額控除など
税制で設備投資を促進したいという
国の意思が感じられます。
なぜ、このように設備投資を促したいかと
言えば、日本国内の景気を少しでも
良くなるため、国内での設備投資を
少しでも増やしたいということでしょう。
景気は、設備投資と消費によって
支えられていて、景気を良くしたいという
政策の表れでしょう。
実際のところ、設備投資は日本国内ではなく
海外に向けられている傾向があります。
そのため、金融機関は設備投資資金の
貸付をしたいが、借りたいという事業者が
少ないという印象を強く受けます。
国内での設備投資を増やして景気を
良くするには、税制だけでなく、国内で
設備投資をしたくなるような経済環境
(安い労働者を確保するための国外労働者の受入や
 規制緩和)を進めていくことが
必要と思います。

生産性向上設備投資税制 コスト削減型

生産性向上設備投資税制は
メガソーラーのように、設備投資を
することで、収益を生むものだけが
対象ではありません。
例えば、設備投資をすることで
水道光熱費を、押さえられるなど
コスト削減効果のあるものも
生産性向上設備投資税制の対象に
なります。
弊事務所で、最近あった案件では
宿泊施設を運営する会社が
給湯設備を従来、重油を利用して
いたものから、ガスを利用する設備に
交換する設備投資をしました。
この結果、投資額の8%程度を
燃料費用から削減することが出来ました。
このように、投資をすることで
新しい需要を生むものではありませんが
コストを削減するタイプの設備投資でも
生産性向上設備投資税制の
適用対象になります。

メガソーラー 生産性向上設備投資促進税制  基準への適合状況

生産性向上設備投資促進税制の
申請を経済産業省にする際
『基準への適合状況』と言う書類で
メガソーラー投資をした場合の
向こう3年間の減価償却費を記載する
ことになります。
生産性向上設備投資を適用する場合
設備投資額を一括償却つまり全額を
設備投資1期目に減価償却をされる
ケースが多いと思います。
一括償却を前提とする事業者でも
『基準への適合状況』への記載では
通常の減価償却(通常の
耐用年数での定率法、定額法等による
減価償却費)を計上することになります。
一括償却をする前提であれば、
1期目に全額減価償却費を計上しても
良いようにも思えますが、最近経済産業省へ
提出した申請書類では、全て
通常の減価償却費を記載してくださいと
指導されています。
弊事務所で、生産性向上設備投資促進税制の
申請書類作成のサポートをさせて
いただく際には、一括償却を前提とする
お客様でも、『基準への適合状況』への
記載は、通常の減価償却費を記載しております。
経済産業省から指導を受けると
それだけ、確認書の発行が遅れますので
対象設備の竣工が近い案件では、発行が
遅れることは、生産性税制の適用が
受けられないかもしれないという
危険がありますので。。。