2月 2010アーカイブ

不況下でのSPC利用

最近、ストラクチャーについて相談を受けました。
類似したスキームで、すでに私どもの事務所で、
実行されているものについて、お話します。

このスキームは至って簡素なもので、
一言で、申しますと倒産隔離をしなから、
資金調達枠を広げるものです。

当事者を、なるべく限定するため、信託や
エクイティ投資は、全く利用しません。
SPCは全てローンで資金調達をします。

エクイティがなければ、導管性が取れないと
思いそうですが、これは減価償却費や
繰延資産の償却で対応します。

また、SPCが安い価格で優良な物件を
取得できた場合、優良物件からの
収入で、SPCだけでなく、不動産業者の
ローンを返済するということも可能です。
これには、少し工夫が必要ですが
優良物件を安価で取得できる場合は
このような利用方法も可能です。

従来は、右肩上がりの不動産市況で
なければSPCの利用は増えないのではと
考えていましたが、最近のような
不況の時でも、SPCの倒産隔離機能を
引き出して、信用枠の拡大、また
不況下では優良物件ンを、安価で
取得可能なため、不動産業者の
不良債権の回収も、可能となる
SPC利用も、実際に行うように
なっています。

事務所移転しました

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お取引先様には、以前より
お伝えしていましたが、
この度、事務所を移転しました。

また、移転に伴いお祝いの
お花をいただいた方々については
お礼申し上げます。

いろいろなお取引様から移転の
お祝いをいただくと、淀屋橋総合
事務所は、多くの方に支えられて
成り立っていると改めて感じました。
身が引き締まる思いです。

なお、移転したと言っても、移転距離は
北に50m程度と、従来から
お越しいただく際には、大きく
変わりません。

大きく変わったのは、広さでしょう。
今までの約2.5倍の広さになりました。
それにより、応接兼会議室も
広くなり、大勢のお客様が
一度に、来られても、大丈夫に
なりました。(10名までは
大丈夫です。)

新しい事務所の住所や地図は
事務所のホームページにて
ご確認いただければと思います。

事務所が広くなった分、
ゆったりと仕事が出来るように
なったのではないかと思っています。

今年から、SPC会計だけでなく
不動産鑑定、CREコンサルティング等の
業務の裾野も広げ、微力ながら
企業の発展にお役に立てればと
思っております。

お近くに来られる機会があれば
是非お立ち寄り下さい。

国際会計基準がSPC会計に与える影響(決算書 書式)

現行の日本の会計基準では、
おなじみの貸借対照表や
損益計算書、追加でキャッシュフロー計算書等を
作成しますが、国際会計基準では
貸借対照表や損益計算書も
名称も含め、大きく様変わりします。

まず、貸借対照表は、財政状態計算書
損益計算書は、包括利益計算書などと
名称が変わります。

そのなかでも特筆すべきところは
損益計算書に相当する包括利益計算書では
損益計算書では、おなじみの
営業利益、経常利益、当期利益などの
段階的な利益概念がなくなります。

つまり、利益は当期利益に相当する
最終損益に一本化されます。
これは、私たちも含めて従来の
利益概念を根底から変えるインパクトの
大きなものです。
国際会計基準では、特別損益や営業外
損益などなく、全て営業損益に含める
という考え方です。

ただし、根本的に現行基準とは
異なる点は、『廃止事業の財務諸表』という
今までにない財務諸表を作成する
ところです。
事業を証券化する場合を除いて、SPC会計では
あまり、廃止事業の財務諸表が出るケースは
少ないと思いますが、
複数事業をしている法人が、特定の
事業を廃止した場合、その事業による
損益は、包括利益計算書からは
除かれて計算されることとなります。

現行の基準では、事業を廃止することが
決まっても、それに伴う損益と
継続していく事業の損益は区分しませんが
国際会計基準では、区分するところが
大きく異なるところです。

一部の声で、個別財務諸表を
現行基準で作成し、連結決算では
国際会計基準にそろえるということも
聞きますが、そうなれば、組替えの
作業は大変な労力を要すると思いますし
BSやPLとは、異なる概念の財務諸表への
組替も難解なものと予想されます。

国際会計基準がSPC会計に与える影響(開発案件)

今まで、国際会計基準がSPC会計に
与える影響について、いくつか
触れてきましたが、これらは
全て、SPCが上場会社の連結子会社に
該当する又は会計監査を受けるなどの
ため、国際会計基準が適用されることを
前提としております。

今、議論にもなっていますが
世の中全ての法人が、国際会計基準を
適用されることは、恐らくなく
非上場会社のSPCや会計監査を
受けないSPCであれば、違った
扱いになると思います。

ところで、話を国際会計基準の
影響に戻します。
国際会計基準では、不動産の開発に
要した金利については、取得原価に
算入することとなります。
これについては、日本の会計では
費用処理していることも多いと
思いますが、資産計上(取得原価計上)に
なります。

不動産の開発業務では、開発業者は
金利を開発コストの一種と見ていると
思いますので、開発業者の目線から見れば
当たり前の経理処理かもしれません。

この結果、開発案件を手がける
SPCを連結子会社等にしている
会社は、金利を資産計上できるため
開発途上の損益面では、プラスと
なります。

でも、これは棚卸資産の評価損と
裏返しの関係にあり、高い簿価で
スタートした開発物件が、売れ残った
場合、評価損の計上額が
膨らむこととなります。

国際会計基準がSPC会計に与える影響(棚卸資産)

日本の会計基準では、
棚卸資産、SPCに関しては
販売用不動産の評価については
基本的には、低価法を適用しています。

例えば、取得価格が、10として
その後に、6の評価となれば
評価損を4計上して、6の
評価になります。

更にその後、評価額が8に
上昇しても、評価額は6の
ままです。
これが、切放法といって
一旦評価損を計上すれば
それを戻すことはないという
考え方です。

一方、国際会計基準では
上記のようなケースでは
評価額が8になれば、当初計上した
評価損4のうち、2を取り消す
経理処理をします。
これを洗替法といいます。
もし、評価額が12になったとしても
当初の取得額10を上限としますので
完全な形での時価会計では
ありませんが、現行の日本の
会計基準よりは、時価に
近い数値を計上することとなります。

ここ数年で、販売用不動産の
評価損を計上したところは
多くあると思います。
国際会計基準では、もし今年や
来年に不動産価格が上昇した場合
既に計上した評価損を、取り消す
ことが出来ます。