9月 2023アーカイブ

「短期借入金」と「1年以内返済予定借入金」

「短期借入金」と「1年以内返済予定借入金」は
どちらも1年以内に返済期日をむかえる
流動負債ですが、その内容は少し違います。

中小企業では、この2つを厳密に分けて
いるところは、あまり多くはないかも
しれません。

弊社で担当させていただいております
上場会社等のSPCでは、連結決算があり
1年以内の流動負債を正確に把握するため
厳密な会計処理が必要となります。

「短期借入金」は、元々の借入期間が1年以内
の借入金です。

それに対して、「1年以内返済予定借入金」は
借入期間が1年以上の借入金のうち、1年以内に
返済しなければならないものです。

例えば、借入期間5年で1,000万円を借入れ
毎年均等に元本を200万円ずつ返済していく場合
借入時には固定負債の「長期借入金」800万円と
流動負債の「1年以内返済予定借入金」200万円
として計上します。

その後、毎年200万円ずつを「長期借入金」
から「1年以内返済予定借入金」に振替えて
いくことになります。

また、5年後に全額返済する場合は、借入4年目に
残りの借入期間が1年になる際、「長期借入金」
から「1年以内返済予定借入金」に振替えます。

大企業に限らず、中小企業においても
固定負債と流動負債を明確にすることで
予算管理に役立てることも出来ますので
該当する借入金がある場合は見直されて
みてはいかかでしょうか。

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 税理士法人 淀屋橋総合会計
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インボイス制度 免税事業者からの仕入れ時の本体価格への影響

インボイス制度導入当初3年間は経過措置として、
登録事業者以外の事業者からの仕入れでも消費税額の80%を仕入税額控除することができます。

インボイス登録事業者から消費税込み11,000円の物品を仕入れた場合は、

 本体価格 10,000円
仮払消費税1,000円


となります。
免税事業者から税込み11,000円のものを仕入れた場合どのように経理処理をすればよいでしょうか。

①(消費税差損計上)

 本体価格  10,000円
仮払消費税  800円
消費税差損(又は控除対象外消費税) 200円


 

と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、法人税法では、200円消費税差損とは扱いません。


②(税込価格から割戻す方法)

 本体価格 11,000円x100/108=10,185円
 仮払消費税 815円


でしょうか?
こちらは、免税事業者に支払った消費税の20%(200円)は控除対象外で、80%(800円)が
控除対象とする制度とは、異なる結果となり適切ではありません。

正しくは、
③(消費税差損相当を本体価格に組入)

  本体価格   10,200円
 仮払消費税   800円

となります。

つまり、法人税法上 控除されない消費税200円は、本体価格に含めることなります。

消費税の納税額は①と③は同じなので、いずれの経理処理でも影響はないと
思われるかもしれませんが、
法人税法上は、
①と③では、本体価格が違うので、例えば、高額商品を購入した場合、
その年に損金処理できるか資産計上しなければならないかの判断が変わってくる場合があります。

(例1)税込価格108,900円(本体99,000円 消費税9,900円)のパソコンを購入した場合、
購入先がインボイス登録事業者であれば本体価格は99,000円なので、消耗品にできますが、
免税事業者からの購入の場合、本体価格が100,980円(=99,000円+1,980円(控除出来ない消費税)となり、資産計上が必要となります。

(例2)交際費の集計
また、中小企業は1年間に800万円までの交際費が損金に認められますが、
免税事業者からの仕入があった場合、請求書等の記載の本体価格ではなく
控除されない消費税を含めて本体価格を集計することになります。

飲食店は免税事業者も多く、インボイス登録しない事業者も多いことが予想されますので、
交際費支出が多い会社さんは、注意が必要になります。

詳細は以下のサイトをご参照ください。

令和3年改正消費税経理通達関係Q&A 問3
インボイス制度の導入に伴う消費税経理通達の改正

インボイス制度は、消費税だけでなく、法人税法上の
経理処理にも少なからず影響があります。

通販サイトで購入した際の適格請求書発行事業者は誰なのか

インボイス制度が始まると、Amazonや楽天といった大手通販サイトで
商品を購入した場合、出品業者が適格請求書発行事業者か否かによって、
仕入れ額控除の対象とならないケースがあります。

大手の通販サイト等で購入した際、大手通販から購入したと考える方が
多いようですが、実際は、通販サイト内へ出店している個々の販売店から
購入をしているのであって、適格請求書発行事業者が大手通販サイトでは
無い場合があります。

また、コンビニエンスストアの様にフランチャイズ方式で展開されている
事業所についても、その店舗の事業主はコンビニ本部の会社ではなく、
加盟店オーナーの個人事業もしくは法人となります。

以前のブログでもお伝えした通り、弊事務所でもインボイス登録状況調査を行い、
実際、セブンイレブンからもご回答をいただきましたが、「フランチャイズ店舗に
関しては各店舗にて登録していただいております。」というものでした。
受け取るレシートには、コンビニエンスストア本社のインボイス登録番号ではなく、
各加盟店の登録番号が記載される事になります。

インボイス制度開始後、しばらくの間は購入先が免税事業者であっても、
一定割合を控除できる経過措置がとられますが、実際の販売先が適格請求書
発行事業者であるかどうかを確認した上で、商品の購入をする事が重要なポイントになります。

尚、Amazonや楽天では、サイトで出店者が適格請求書発行事業者で
あるか否かを判断したり、絞り込む機能を持たせると発表しています。

 Amazon.co.jp: インボイス制度

【楽天市場|公式ヘルプ】楽天市場におけるインボイス制度への対応について(2023/7/7更新) (rakuten.net)

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