7月 2007アーカイブ

税務会計上のオフバランスと財務会計上のオフバランス

ここでの税務会計とは、上場会社のように
会計監査を受けない会社で、税務申告を主目的として
経理をする会社の会計をいう。

一方で財務会計とは、上場会社の会計であり
会計監査を受けなければならない会社の
会計をいう。

財務会計をベースとする会社の経理では
不動産流動化でのオフバランスでは、
今までお話していた『実務指針』の適用を
受けて(詳細は、6月28日のブログのフローチャート
を参照して下さい。)
オフバランスの検討を行います。

ところが、会計監査を受けない会社もたくさんあり
その会社が、不動産流動化で資金調達を
する場合は、どのように考えるべきであろうか。

含み益ある不動産を保有していた非上場会社が
SPCに不動産を譲渡し、仮にエクイティを
譲渡資産の10%を保有したため、オフバランスせず
含み益を計上しないというのは
税務会計上通用しないであろう。
(固定資産の譲渡による収益の額は、別に定めるものを
除き、その引渡しがあった日の属する事業年度の
益金の額に算入する。・・・(法人税基本通達2-1-14)

そういった意味では、税務会計上のオフバランスと
財務会計上のオフバランスとは、基準が異なる。

税務会計では、譲渡担保取引となる場合は
不動産をSPCに譲渡しても、オフバランスせず
仮に含み益があっても、益金算入しないことも
可能であろう。
(法人税基本通達2-1-18)

法務上のオフバランスと会計上のオフバランス

オリジネーター(資産のもともとの所有者)から
SPCへ資産を譲渡した際に、その取引が法務上
正しい取引であるか否か(真正売買であるか否か)
という判断が、弁護士さんよりなされる。

真正売買であるか、否かの判断基準のひとつ
として会計上のオフバランスが出来るか否かという
項目がある。

それでは、会計上のオフバランスが仮に否定された
時に、法務上のオフバランスが否定される
(真正売買が否定される)であろうか。

これは、弁護士さんのマターであり会計士の
私の分野ではないかもしれないが、私なりの
考えをまとめておきます。

そもそも、会計上のオフバランスが否定されると
オリジネーターは、売買という会計処理をしない
こととなる。すなわち、売買取引という事実を
経理に反映しないということである。

言い換えれば、会計処理の上では、売買は
なかったという意思表示をしているとも言える。
オリジネーターが、売買の意思表示をしていない
取引を法務上、真正売買という考えには
不整合な点があるという考え方もあるだろう。

ところで、会計上のオフバランスは、不動産の
場合、5%ルールというものがある。
(詳細は、6月28日のブログを参照してください。)
この5%というのは、一般にオリジネーターが
エクイティ出資していて負担するリスクが
譲渡(売買)した資産の価値の5%超であれば
オフバランスを否定するものである。
つまり、会計では経済合理性の観点から、
オフバランス処理を判定している。

一方、法務では、法律という明文化された基準に
のっとって真正売買であるか否かを判断して
いるのであろう。そこには、恐らくリスク負担割合が
5%うんぬんという記述はない。

このように会計と法務では、着目している点がことなる。
そのため、法務上のオフバランスと会計上の
オフバランスとの間で、結論に齟齬が出てくる
こともあろうかと思う。

ただ、ひとつ言えることは、法務上のオフバランスが
否定される場合に、会計上のオフバランスが肯定される
ことはないでろう。
法務よりも会計の方が、オフバランスのハードルは
高いであろう。

流動化スキームでの個人の介入

流動化スキームでの当事者に
個人が介入することは、敬遠されることが多い。
例えば、匿名組合出資者が個人となる場合
他の当事者が敬遠することが多い。

というのは、個人というものは、感情で
動くものであるという認識が、レンダーや
信託銀行、アレンジャーなどが持っていること
また、個人の場合、万が一相続が発生した場合
当初予定していなかった個人がスキームに
かかわってくるという可能性があるからであろう。

とはいうものの、流動化スキームの中で
100%個人を排除できるものではない。
合同会社の職務執行者
特定目的会社の取締役、監査役
中間法人の理事、監事、社員は
個人でしかなれない。

我々会計士がそれらの地位になることが多いが
その場合、例えば破産等の申し立てをしない旨の
(当然、このようなことはしないが…)
誓約書等を提出して、個人としての感情を
極力押さえるような建付けをしている。

ストラクチャーズドファイナンスというのは
精密機械のようなものであり、
できる限りリスクを低減するように
組み立てられているものである。

中間法人法は廃止される

現在の中間法人法は、廃止され、一般社団法人に
統合される。
とはいうもののストラクチャーに与える影響は
ほとんどないと思われる。

理事や監事は従来どおり、設置されるだろうし
任期とかも変更はなさそうである。

具体的には、
「有限責任中間法人●●ファンド」が
「一般社団法人●●ファンド」と名称が
変わる程度である。

今年9月に施行される金融商品取引法のインパクトが
はるかに大きいであろう。

不動産の金融商品化

最近の不動産価格の高騰の要因として
不動産の金融商品化といわれることが多い。
これは、J-REITや不動産ファンド等によって
金融市場からの資金が、不動産市場に
流入したため、不動産市場が活況になった
ことを指しているのだろう。

不動産を金融商品と見ることによって
従来は、不動産価格を近隣の相場価格で
決定していたところが、不動産の収益と
利回りで価格が決定することとなった。
(価格=収益÷利回り)
この変化を先取りした不動産業者で
利益を得た不動産業者も沢山いるであろう。

今のように低金利の金融市場のもとでは
例えば、5%の利回りを生む不動産は
金融商品として見れば、大変魅力ある商品と見える。

このような価値観の変化は、逆戻りすることは
ないと思う。とすれば、もし今後金利が上昇すれば
価格は下がるということになるが(↓価格=収益÷利回り↑)
実際のところは、どのようになるであろうか。

ただ、最近のインフレ傾向により、収益も↑なら
利回りの↑が、直ちに価格の↓にはならないが。

最高裁判所判事

前職の監査法人では、再生案件をいくつか
担当させていただいた。
今から5、6年ほど前で、破綻したゴルフ場や
当時の新聞をにぎわした巨額詐欺事件の調査
メンバーの一員として、仕事をした。

その時の、管財人である当時弁護士であった
田原先生とご一緒させていただく機会が多く
あった。

3年前に事務所を開業した際、それまで
仕事でお付き合いがあった弁護士さんへ挨拶に回った。
弁護士さんは忙しい方ばかりで、中には
約束を取り付けられなかったり、会っても
挨拶も数分で、終わったりするケースも多かった。

田原先生は、お忙しい中、時間を取っていただき
事務所の業務内容を、丁寧に聞いて下さった。
最後には、「(君の事務所を)宣伝しておいて
あげるよ。」とおっしゃった。
その言葉をもらった時に、大変勇気付けられたことを
今でも鮮明に記憶している。

田原先生は、私が監査法人に在職していた頃から、
最高裁判所の判事候補として上がっておられたことは
聞いていたが、昨年、最高裁判所の判事に就任された。

立派になられる方は、優秀とか博学というだけでなく、
人としての懐の深さというか、温かさも
持たれている人なのだと感じた。

リース会計基準変更の影響

リース会計基準が変更となった。
平成20年4月1日以降に締結するリース契約は
新会計基準が適用されることとなる。

改正内容を、簡単に言えば
リース資産の大半を資産計上し、対応する債務を
リース債務として計上しなければならなくなった。
この改正は、海外の会計基準では、リース契約している資産は
資産計上することが一般的であり、それに合わせるという
ことも要因の一つであろう。

そもそも、リース契約のメリットとして
 仝把蟷饂座翊等の作成が不要で、管理が楽
◆〇拿个靴織蝓璽肯舛鯀干杪散盻萢?任る。
 リース資産を資産計上しなくても良い
ぁ―?兒饂裟任凌醜陲不要
などがあるが、リース会計基準の変更により
´↓がなくなることとなる。

更に、減価償却費の計算方法が改正され
従来、取得価額の5%を残存価格として、償却
できなかったが、今後は、備忘価格1円以外は
全額償却することが可能となった。
そうすれば、資産を保有し、固定資産台帳に
計上していても、台帳価格のほぼ全額を
損金(償却)処理可能となり、リース契約のメリット△
低下することとなる。

そのため、リース会社も様々な対策をされていると思う。

回帰分析

先月、不動産鑑定士協会の
実務修習を受けた。その際、統計的手法の
講義があり、回帰分析についての解説が
あった。

回帰分析とは、例えば、身長と体重との標準的な
関係を、一次関数(例 y(体重)=aX(身長)+b)で
表せるように、ある数字と相関関係にある数字との
関係を式を利用して表現するものである。

不動産評価で、具体的に利用するには、
ある場所で、賃貸用マンション建設を計画する際、
賃料設定を検討するが、回帰分析によって
賃料を予想するというものである。

昨年受けた同様の修習では、住居系の賃料は
対象地の最寄駅からの距離と、最寄り駅の都心からの
時間という二つの変数で、ほとんど決定するという
講師からの話があった。

これは、不動産鑑定の実務では、賃料だけでなく
土地価格の決定の際にも利用できる。
具体的には、対象地の土地価格を検討する際、
土地価格に影響する要因
(駅距離、容積率、面積、前面道路幅員、方位等)と
土地価格との関係について、回帰分析をすれば
対象地の要因を入れれば、対象地の価格が
判明するということとなる。

この手法は、不動産投資にも利用できるかもしれません。
回帰分析をして、ある不動産の理論価格というか
あるべき価格を算出し、もしそれより低い価格で
売り出されておれば、購入すればよいということとなります。
ただし、ここでの投資の話は、理論上のことであり
実際の不動産取引においては、このようなことが
当てはまらないことも、よくあるかと思いますが。。。

企業経営に活かす流動化・証券化

打出の小槌ではなく、更にコストが
かかる流動化・証券化を、企業経営にどのように
利用していくべきであろうか?
キーワードは、「シリーズ化」「パターン化」
「パッケージ化」ではないかと考えている。

コーポレートによる資金調達では、
自社のバランスシートが膨らむ分
借入限度額に達すれば、追加融資を受けられない
ことがある。
一方で、流動化・証券化によって、資産をオフバランス
できれば、追加融資を受けられることがある。

例えば、不動産開発業者が、1案件あたり5億円の
利益があがるとして、コーポレートローンの場合
年間2案件しかこなせないところ
流動化スキームを利用することで、3案件こなすことが
できれば、仮に1案件 0.5億円のコストが
発生しても、トータルの利益は
流動化の方が多くなる。

成長著しい不動産開発業者で、開発スピードを
求められる場合は、メリットがあるのでは
ないだろうか。

スピード化のためにも、「シリーズ化」や
「パッケージ化」「パターン化」は、不可欠では
ないだろうか。
もちろん、会計事務所である「淀屋橋総合事務所」
としても、その点を十分認識して
流動化のお手伝いをしている。

打出の小槌

不動産流動化・証券化を利用すれば「打出の小槌」
のように、お金が集まると思われている人がいる。
実際のところ、証券化によって、たくさんお金が
集まるようなことはないと考えた法が良い。

しいて言えば、財務内容が悪く、信用度の低い会社で
あるが、優良な資産を持っている場合では
SPCによって、優良資産だけを切り取ることができれば
通常のコーポレートローンより、多く資金調達できると
考えられる。

一般に、流動化・証券化をはじめて経験される方は
「打出の小槌」のようであるという誤解というか
過度な期待をもたれていることがある。

また、流動化・証券化には、通常のコーポレートローンより
コストが余分にかかることが多い。
後述した優良資産のみを切り出すためには、法律的に
また財務的に、切り取る作業が必要で、それを維持して
いかなければならないからである。

このコストについても、はじめて経験される方は
驚かれることが多い。
それでは、なぜ、コストをかけてまで、流動化・証券化を
するのだろうか?
また、なぜ、流動化・証券化が広がったのであろうか?