3月 2022アーカイブ

匿名組合の損益分配

GK-TKスキームでは、
投資家は、直接資本金を出資するのではなく、
匿名組合出資という形で出資をします。
少額の資本金を出資して作ったGK(合同会社)の中に
匿名組合出資を受けてつくられたTK(匿名組合)という
部門を作成するスキームです。

GK-TKの合同会社は、『匿名組合部門』と『営業者部門』の
2つで構成されます。

『匿名組合部門』は、『事業を行う部門』であり、
投資対象の不動産や発電所に投資をして収益を得る
という経済活動を行います。
『営業者部門』は、『本社部門』であり、その活動は、
匿名組合から営業者報酬を受け取り、法人税の支払いをするなど限定的です。
(営業者報酬に関しては、こちらをご覧ください)

GK-TKスキームで生じた利益は、匿名組合出資者に帰属し、
資本金の出資者ではなく、匿名組合出資者に損益が分配されます。
これは、法人税法基本通達14-1-1
組合等に営まれる事業から生ずる利益額・損失額は
各組合員に直接帰属すると定められていることによります。
(組合員というのは、匿名組合の出資者です。)

利益の一部を配当金として株主還元し、一部は内部留保する株式会社とは異なり、
匿名組合出資の場合、法人税等を支払うための営業者報酬を除き、
大半の損益が出資者に分配されます。
利益が出たときだけでなく、損失が出たときもその損失の額が分配されます。

分配といっても必ずしも金銭の移動が行われるわけではありません。
現実には利益の金銭分配を受けたり、損失の金銭負担をしていない場合であっても
匿名組合出資者が法人税の計算する時に、
分配された利益額・又は損失額を算入して課税所得の算出します。
法人税法基本通達14-1-3による)

つまり、利益を分配された組合員は、分配金を益金に算入するので、
分配金の額だけ課税所得が増加し、
損失を分配された組合員は、分配金の額だけ課税所得が減少します。
ただし、租税特別措置法第67条の12で、
算入できる損失額は、出資額が上限であると定められており、
法人税申告書の『別表9(2)』という表で
損金算入額が出資額を超えていない旨の状況を
税務署等に報告することになっています。

一方、損益分配をした合同会社の方もその分配額を
法人税申告時の益金や損金にすることができますので、
法人税が2重に課税されることがありません。
(パススルー税制)

この点は、法人税を支払った後の利益を分配する株式会社とは
大きく異なります。

このように、匿名組合出資に係る税制や法人税申告書は
一般的な会社とは大きく異なります。

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 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
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信託の課税区分

担当するGK-TKスキームで不動産信託受益権取得後、
最初の決算期を迎え、取得した稼働済みのホテルの
不動産信託受益権に係る消費税還付の申告を行いました。

申告後に税務署より連絡があり、今回の課税仕入れについては、
『法人課税信託』ではないかとの指摘があり、受益者であるGKは、
消費税還付を受けられないのではとのコメントがありました。 
その理由としては、『平成19年度 信託税制の改正のあらまし』
5(8)の法人課税信託を挙げていました。

今回、会社が保有した不動産信託受益権は、不動産管理処分信託
契約に基づくもので、不動産信託契約に該当します。
不動産の所有者が委託者となって受託者に不動産を信託し、
受託者は受益者のために不動産の管理処分を行い、
そこから生じる利益を受益者に交付することを合意する契約
ですので、『受益者等課税信託』にあたります。

不動産信託では、『受益者』、『委託者』、『受託者』の3者が
存在し、それぞれがどの会社であるか混同する事があります。
恐らく、ご担当者は『受益者』と『受託者』を混同し、いわゆる
GK-TKスキームを『法人課税信託』、つまり、『受託者』である
信託銀行が主体となるものと誤解されていたように思われます。

東京では、GK-TKスキームの件数も多く、スムーズな対応に
なるかもしれませんが、大阪では件数も少なく、このような事も
発生しています。

ただ、数回の書類のやり取りで、正しくご理解いただき、
無事に還付手続きも完了しました。

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