10月 2009アーカイブ

投資教育

最近、投資教育の必要性に関する
新聞記事や雑誌での記事を目に
することが多い。
私も、自己資金で投資をしているが
投資に関する知識というか、ルール
について知っておくことは、
無駄ではないと思う。

投資教育の必要性を強く感じたのは
前職で、巨額詐欺事件の財務調査を
した時のことです。
それは、今から10年程度前のことです。
抵当証券等を発行して、個人から
約1000億円もの資金を集め、その大半が
投資家に返ってこなかった事件です。

これは、10年前の出来事ですが
これに良く似た事件は、この10年間で
何度もおこりました。
そんな事件を見て、犯人や扱う金融商品が
異なっても、本質的なことは、変わらない
ことが繰り返されているに過ぎないと
つくづく感じます。
そして、騙されるのは、金融知識に
乏しい個人の方々です。

広く人々に投資教育をすれば
金融商品を使った詐欺事件は
なくなると思います。

詐欺事件のおおよその仕組は
比較的高い利回り(今で言えば
5~15%程度)をうたって、元本保証や
それを匂わすことを投資家に伝えます。
そして、当初は、約定通りの利息や
配当をします。
これに味をしめて、投資家は
追加で資金を投入したり
知人に商品を紹介して、被害が拡大します。

ここで、大切なことは、通常5~15%の
利回りを上げるには、それなりのリスクを
とらないといけません。
正常な金融商品の売り手は、その
リスクを説明します。
そうではなく、絶対大丈夫だとか
もしくは、情に訴える方法で
売ってくるところは、まず
怪しいと思います。

要するに、投資の表(リターン)と
裏(リスク)との関係を、しっかり
理解することが投資教育の本質だと
思いますし、これを会得すれば、
妙な金融業者に騙されることも
なくなると思います。

実際のところ、投資で大金持ちに
なった人もいますが、それ以上に
痛い目にあった方もいます。
その両面を理解することが、大切
なのでしょう。

不動産が投資対象に好まれるわけ

不動産市況が、低迷しているが
いつの時代でも、不動産は
投資対象として、安定的な
人気があります。
その理由は、不動産という名の通り
動かない財産であり、手堅い
投資対象という印象がある。
(実際は、そうではない側面も
 多分にありますが)
株式投資の場合、投資対象の
企業について、トップと話を
できる機会は、乏しいし
組織がどのように機能しているか
外部株主には、わからない
ブラックボックスの部分が多くある。

しかし、不動産投資の場合
投資に当たって、現物を見ることが
できるし、最近までの収益水準を
確認することが出来て
投資対象として、わかりやすいという
側面があり、投資家も安心して
投資できます。

ただ、大きなトレンドとして
日本の人口減少傾向により
不動産価格は長期的には
下落する可能性が高いと
考えられるので、投資するのであれば、
売りたたかれている不動産や
立地条件が優れていて、将来の
人口減少による影響を
受けにくいものを選ぶことが
必要ではないでしょうか。

最近の司法書士業界

最近、司法書士さんとお会いする
機会が重なりました。
司法書士の世界での今、一番の
話題は、消費者金融等への
過払金返還請求業務だそうです。

地下鉄に乗っていても、
必ずといっていいほど、過払金の
請求業務の広告が目に付くほど
過払金請求業務は、繁盛している
ようです。
ただ、最近では、多くの対象となる
人は過払金の請求は済んでおり
広告をすることで、まだ眠っている
対象者を掘り起こそうと
しているようです。

私の仕事でお付き合いのある司法書士
さんは、不動産登記を専門とされる
先生ばかりで、過払金の請求業務を
される先生とは、どうやら系統が
異なるようです。

最近、司法書士の資格を取られた方は
不動産登記をする方が少なく
過払金請求業務など、裁判所
絡みの仕事を志す方が多いようです。
不動産鑑定士の資格の人気が
落ちてきているように、司法書士の
世界でも、志向に差が出てきているようです。

鑑定評価の報酬計算

会計士や税理士などの専門家の
報酬計算は、作業量に単価を
かけたものとする方法が
一番ポピュラーです。
作業に多くを要すれば
報酬も多くなります。

しかし、鑑定評価の世界では
必ずしもこの方法がポピュラー
ではありません。
鑑定評価額に一定の率をかけて
報酬を決める方法が、今だ
使われているケースがあります。

依頼者からすれば、高い鑑定評価を
出す場合は、報酬も支払い易いので
このようになるものと思います。
また、不動産の仲介の世界と鑑定評価の
世界は、比較的近いため
この計算方法は、受け入れられやすい
こともうなずけます。

私のように、長く会計士をして
きた者から見れば、この計算方法は
違和感がありますが、今後、業務を
進めていけば、なじんでくるので
しょうか?

時価会計への監査法人の対応

賃貸等不動産の時価開示に
対して、監査法人も方針を
固めてきたようです。
大手監査法人は、更地や
駐車場用地等は別として
上物が立っている、賃貸等
不動産は、基本的に鑑定評価を
取るように監査先に、指導
しているようです。

確かに、会計基準では
鑑定評価を義務付けていませんが
鑑定評価に代替するもので
評価した場合、それが
妥当なものであるかどうかは
会計士が判断しなければ
ならず、会計士がその判断
をすることは難しいので
鑑定評価を取るように
指導しているという背景が
あります。

言い換えれば、会計士が
評価に対する責任を
回避するため(リスクヘッジのため)
鑑定評価を取るように指導しています。

ただ、企業としては、経済的
負担が増えることなので
耳障りな話です。
中には、鑑定士を社内に雇った
方が安くつくというところも
出てきています。

細かい話になるかもしれませんが
上場会社が保有する賃貸物件の利回りが、
若干ですが低下することとなります。