先日、決算を間近に控えた会社の社長さんから
「今期は利益が出そうなので、高級車の中古を購入して節税したいんだけど・・」
というご相談がありました。
数年前に『なぜ社長のベンツは4ドアなのか』という書籍が話題になったこともあり、
中古車購入が節税になることをご存知の方は多くいらっしゃいます。
でも、なぜ節税になるのかまではご存じない方もいらっしゃると思いますので、
ご説明させていただきます。
会社を経営されている方ならよくご存じのように、
高額な品物を購入した場合、支払った金額を
無条件で全てその年の経費(損金)にすることはできません。
一旦、固定資産に計上して、毎年少しづつ減価償却する必要があります。
その年に損金にできるのは、税法で決められている減価償却限度額までです。
たとえば、1200万円の高級車を新車で購入した場合、
普通車の耐用年数は6年ですので、1200万円すべてを損金にするには6年かかります。
でも、中古品の場合は、一般に新品に比べて耐久性が低いことから
新品よりも耐用年数が低く設定されています。
中古品の耐用年数は、以下の式で計算します。
法定耐用年数 - 新品時からの経過年数 + 経過年数 ×20% = 中古資産の耐用年数 |
(2年以上の場合、小数点以下切り捨て。2年未満の場合は、2年)
4年落ちの中古車を購入したと仮定すれば、
6年-4年+4年x20%=2.8年
2年以上になった場合は、小数点以下を切り捨てできるので、耐用年数は2年です。
1年目の減価償却限度額は、
取得価格x償却率 |
の式で求められます。
償却率は、取得年月と資産の耐用年数で決められており、耐用年数2年の場合は、定率法の償却率1です。
つまり、4年落ちの高級車を1200万円で購入した場合、
1200万円x償却率1=1200万円
で、最初の1年で全額損金にできるのです。
一気に1200万円の経費が計上できればかなりの節税になります。
ただし、減価償却費は、月割計算しなければなりませんので、
1200万円全額経費になるのは期首に取得した場合です。
例えば、12月決算の会社で、
1月に中古車を取得すれば、1200万円の経費になりますが、
12月取得の場合、1200万円x1か月÷12ヶ月=100万円しか経費になりません。
そのため、残念なことにこの中古車購入節税法は、決算間際では効果が小さくなります。
参考までに国税庁のHPへのリンクです。
https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34353.php
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070412/pdf/3.pdf
JUGEMテーマ:会計・経理・財務
ある顧問先様の当期の固定資産台帳を見直しておりました。
決算は数ヶ月先ですが、
決算時期になりますとバタバタしてしまいますので
今のうちにと思い…
顧問先様に限らず、多くの企業様は
減価償却の方法に、定額法、定率法を広く採用なさっています。
そのうち、定率法の内容を私自身の再確認も兼ねまして
ご紹介させていただきたいと思います。
(ご紹介前に…現在、定率法は、
機械、車両、工具器具備品等に採用可能であり、
建物、附属設備、構築物には定額法しか採用できませんので
ご注意ください)
現在、税法上での定率法は以下のように3通りの方法がございます。
・旧定率法
・250%定率法
・200%定率法
Yes
平成19年3月31日までに取得 ーーーーー→ 旧定率法
No ↓ Yes
平成24年3月31日までに取得 ーーーーー→ 250%旧定率法
No ↓
200%定率法
今回は紙面の都合上、
250%定率法と200%定率法の償却方法について
ご説明させていただきたいと思います。
双方とも減価償却費の計算方法は類似しており、
償却率のみが異なっております。
250%定率法 → 耐用年数省令別表第9(以下、別表9)の償却率
200%定率法 → 耐用年数省令別表第10(以下、別表10)の償却率
減価償却費の計上初年度からの算式は
減価償却費 = 期首帳簿価額(未償却残高)× 償却率 |
耐用年数の後半に
減価償却費が「償却保証額」を下回りましたら
減価償却費 = 改定取得価額 × 改定償却率 |
(上記の算式は、減価償却費が償却保証額を下回った事業年度以降
減価償却費の計上最終年度まで適用されます)
「償却保証額」とは、
取得価額に保証率を乗じた金額です。
「改定取得価額」とは、減価償却費が「償却保証額」を下回った事業年度の
期首簿価を指します。
(「改定償却率」「保証率」とも別表9または別表10に記載されております)
イメージとしましては、
耐用年数前半(減価償却費>償却保証額)は定率法
耐用年数後半(減価償却費<償却保証額)は定額法
と考えるとわかりやすいでしょうか・・・
200%定率法の計算例を示してみますと、
(250%定率法は200%定率法の計算方法と同様のため
省略させていただきます)
取得価額 1,000,000円
耐用年数 10年
償却率 0.2
改定償却率 0.25
保証率 0.06552 → 償却保証額 1,000,000 × 0.06552 = 65,520円
7年目になりますと、減価償却費は償却保証額65,520円を
下回りますので、7年目以降は、
減価償却費 = 改定取得価額 × 改定償却率
65,536 = 262,144 × 0.25
ただし、10年目の減価償却費は、
1円を備忘価額として残し、差額が減価償却費となります。
【 2 0 0 % 定 率 法 の 場 合 】【 2 5 0 % 定 率 法 の 場 合 】
経過 年数 |
期首簿価 | 減価償却費 | 改定償却後の
減価償却費 |
期首簿価 | 減価償却費 | 改定償却後の
減価償却費 |
1年 | 1,000,000 | 200,000 | 1,000,000 | 250,000 | ||
2年 | 800,000 | 160,000 | 750,000 | 187,500 | ||
3年 | 640,000 | 128,000 | 562,500 | 140,625 | ||
4年 | 512,000 | 102,400 | 421,875 | 105,468 | ||
5年 | 409,600 | 81,920 | 316,407 | 79,101 | ||
6年 | 327,680 | 65,536 | 237,306 | 59,326 | ||
7年 | 262,144 | 65,536 | 177,980 | 44,495 | ||
8年 | 196,608 | 65,536 | 133,485 | 44,583 | ||
9年 | 131,072 | 65,536 | 88,902 | 44,583 | ||
10年 | 65,536 | 65,535 | 44,319 | 44,318 |
上記の表で現行の200%定率法と
以前の250%定率法を比較してみました。
10年間のトータルの減価償却費は同額ですが、
耐用年数初期では、200%定率法の方が250%定率法より
減価償却費は少額となっております。
その分費用の計上が少なくなり、
結果、増税になります。
購入資産の早期費用化という観点からは
以前の250%定率法の方が
有難い方法でしたが…
以上、簡単ではございますが、
定率法につきましてご説明させていただきました。
余談ですが、固定資産台帳のソフトによっては全て自動計算なされず、
改定償却時の改定取得価額は自分自身で
入力しなければいけないなど、そのようなこともございますので、
今回の記事が少しでもお役にたてましたら幸いです。
JUGEMテーマ:会計・経理・財務
先日、会社の設立のメリットなどについて書かせていただきましたので、
今回は、会社設立の流れついて書かせていただきます。
会社を設立することを決めたら
まず、以下の手続きが必要です。
定款の作成(取締役、代表取締役、本店所在地の決定)
↓
定款の認証(公証人役場)
↓
出資金の払込(出資をする人の口座に出資金を入金し、コピーをとるだけでよい)
↓
登記申請(法務局)
ここまでは、公証人役場や法務局とのやり取りです。
法務局で登記が完了すれば、会社設立です。
その後、税務署・社会保険事務所・労働基準監督署などへ書類を提出する必要があります。
給与支払が発生すれば社会保険事務所、従業員をやとえば労働基準監督署への手続きが必要です。
ここでは、税務署等に提出する書類についてご説明します。
書類名 | 提出先 | 提出期限 | 添付書類、注意点等 |
---|---|---|---|
法人設立届 | 管轄の税務署
都道府県事務所 市町村役場又は市税事務所 |
法人設立後
2ヶ月以内 |
添付書類:定款の写し
履歴事項全部証明書 東京23区の場合は、税務署と都税事務所の2か所に提出 |
青色申告の
承認申請書
|
税務署 | 法人設立後
3ヶ月以内か 第1期の事業年度 終了日の どちらか早い日 |
これは、提出任意ですが、ぜひ提出しましょう。
提出を忘れると欠損金の繰越控除が受けられなくなります。 30万円未満の少額減価償却資産の即時償却などの特例も青色申告の会社だけに認められている制度です。 |
給与支払い事務等 の開設届出書 | 税務署 | 第1回目の
給与支払日 |
これを提出すると源泉所得税の納付書等の書類が送られてきます。 |
源泉徴収税の
納期特例の承認に 関する申請書 |
税務署 | 申請した月の翌々月から適用(提出した翌月末までに却下の通知がない場合には承認されたことになる) | 給与支給人員が10人未満の事業所はこれを提出することにより源泉所得税を半年分まとめて納付できるようになります。承認されれば1~6月分を7月10日まで7月~12月分を1月20日までに納付します。 |
消費税の新設法人に
該当する旨の届出書 |
税務署 | 速やかに | 設立時から消費税課税事業者となる法人が提出する書類です。法人設立届に該当する旨記載しておけば提出不要です。 |
消費税課税事業者
選択届出書 |
税務署 | 適用を受ける課税期間の初日の前日(新設法人は、最初の課税期間終了日まで) | 免税業者となれる事業者が消費税課税事業者を選択する場合に提出します。提出するかどうかは慎重な検討が必要です。 |
その他、必要に応じて
消費税簡易課税制度選択届出書
棚卸資産の評価方法の届出書
減価償却資産の償却方法の届出書など
資本金が1000万円以上の会社や大会社の子会社などは、
設立時から強制的に課税事業者になるので、「消費税の新設法人」に該当します。
資本金が1000万円未満で、大会社の子会社でないなどの条件を満たす場合は、
何も届出をしなければ消費税の免税事業者となるので、
2年間は消費税の申告をする必要がありません。
(設立後最初の半年間で売上が1000万円を超えた場合は除く)
免税業者は、売上時にあずかった消費税を納める必要がなくなるので、
いわゆる「益税」が発生します。
ですので、設立時の資本金を1000万円未満にして免税事業者を
選ぶ会社さんが多くあります。
ただし、設立初年度の売上が少なく、設備投資額が大きい場合には、
課税事業者となることで、消費税の還付を受けることができますので、
免税業者のままでいるよりも課税事業者となる方が有利です。
その場合は、「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。
しかし、一度課税事業者を選択すると少なくとも2年間(場合によっては3年間)
は免税事業者に戻ることができません。
2年目の消費税納付額が多額になることが予測される場合には、
どちらを選ぶか慎重に検討しなければなりません。
また、「課税売上割合が著しく変動した場合の消費税額の調整」
という制度があって、
一旦還付を受けた消費税をもう一度納めなければならないこともあるのです。
(詳しくは機会があればまたご紹介したいと思います。)
事業規模が大きければ、消費税額も高額になりますので、
消費税課税事業者選択届を提出するかどうかを決定するときは、
私共も大変神経を使います。
届出書は、売上高や投資額、仕入額が確定する前に
事前に提出しなければなりませんので、
少なくとも3年後までのシュミレーションを
慎重にしなければなりません。
淀屋橋総合会計では、確度の高い収支予測を立てて、
どの選択が最適が試算して判断をしております。