適格機関投資家等特例業務SPCの本店移転届(1)

適格機関投資家等特例業務(QII)の案件で
SPC(通常は、合同会社 GK)の本店移転の際
財務局宛 届出書類の作成には、注意点があります。

例えば、東京本店のSPCを大阪本店に移転した場合
このSPCがQIIの届出をしている場合、速やかに
財務局に変更の届出を提出しなければなりません。

この届出書類の作成時に注意することが
あります。
【提出先】・・・移転前の管轄財務局
【届出書記載住所】・・・移転後の住所

提出先は、移転前の財務局に、
移転後の住所を記載して提出します。

変更の届出は、移転が完了してから
するので、届出書類に記載する住所は
移転後の住所になります。

一方で、財務局側は、届出を受取って
初めて、移転したことを知るので
提出先の財務局は、移転前の管轄財務局に
なります。

届出書類を作成する時、少し混乱しますが
上記の点に気を付けて作成すれば
問題ありません。
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税理士法人 淀屋橋総合会計
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系統蓄電池SPC

最近、お問い合わせの多いSPC案件で
系統蓄電池の設置事業があります。

これは、太陽光発電所のような
発電設備を設置するのではなく
系統蓄電池を設置し、蓄電池に電気をため
必要な時に、電気を放出する
プールのような役割を果たすものです。

発電所のように、発電量に応じて
売電収入が入る仕組みではなく
プールにためた電気の放出する
タイミングを見て、電気の仕入額と
売却額との差額で利益を得るという
スキームです。

経済産業省によれば、国際的には
蓄電容量が、2023年に比べて2030年には
6倍になると公表しています。
062_05_00.pdf

EPC業者(ウエストホールデングス)は
2027年8月期(2026年8月~2027年8月)には
蓄電用設備の工事売上を、年間120億円と
計画しております。
west-gr.co.jp/ir/plan/3734/

今では、系統蓄電地事業は、以前の
太陽光発電設備のような脚光を
浴びてませんが、データセンターのような
大量の電力消費が必要なものが増えると
系統蓄電事業が、脚光を浴びることに
なるかと思います。

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TMKでの出資払戻

GK-TKスキームで、TK出資者への出資払戻は
ローン契約やTK契約での定めに従い行うことは
既にお伝えした通りです。

TMK案件での、優先出資者への出資元本払戻は
GK-TKスキームより、手間やコストがかかります。

TMKの優先出資額は、TMKの登記簿謄本に
記載されており、払戻をする際には、変更登記が
必要です。

変更登記以外に、会社法等で求められる
減資の手続きが必要です。
例えば、
①債権者への通知
②減資の官報公告
③ 上記の手続き完了後、減資の登記
④減資の登記後、出資の払戻
など、手続きが必要です。

TMKの場合、優先出資は登記マターであり
このような手間を要します。

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匿名組合出資の『みなし償還』

SPC案件で、メイン口座に必要な積立金以上の
残高があれば、リリース口座に振替られ
AM費用等の必要な報酬等を控除した額を
TK出資者に配当されます。

SPCのリリース口座に、TK配当をしても
なお、残高がある場合、TK出資者へ元本返還が
実施されます。

期中でのTK出資者への元本返還を
TK契約では、『みなし償還』といったり
『仮払償還』といった表現で、償還される
ことがあります。

これは、SPCへの投資家は、資金を
出来る限り有効に使いたいので
SPCで寝かせている資金は、投資家に返還し
ようとするものです。

みなし償還が出来るケースは
SPCの事業が順調に進んでいることが
前提にあり、SPCの事業用口座に
余裕があるケースです。

『みなし償還』をすることで、投資家の
投資利回りがアップし、リターンが
より大きくなります。

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一般社団法人の基金拠出額

SPC案件で、倒産隔離のため、一般社団法人を
設立ことは一般的なことです。では、
一般社団法人の基金(会社の資本金に相当するもの)は
いくらにすれば、良いでしょうか?

これには一定の計算式があります。
まず、一般社団法人は、その子会社となる
SPCへの資本金相当を出資します。

その他、プロジェクト進行中に
一般社団法人は、法人税均等割(東京や大阪の場合、1年7万円)
を負担しなければなりません。

仮に、プロジェクト期間が5年とすし、SPCの資本金を
10万円とします。

一般社団法人の基金は
① SPCの資本金(ここでは10万円)
② プロジェクト期間の一般社団法人の法人税均等割
(ここでは、5年間とし、7万円×5年=35万円)
③ プロジェクト期間延長時の予備費 5万円
以上を合計すると 50万円となります。

以上のような方法で、一般社団法人の基金拠出額が
決定しています。

なお、一般社団法人のSPCへの出資持分 10万円は
レンダーが質権設定するケースが多くあります。

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プロジェクトファイナンスでの財務制限事項

SPCを利用したプロジェクトファイナンスでは
対象資産の財務的健全性チェックを定期的に
行います。

そのチェック項目の代表的なものが
DSCR チェックとLTVチェックです。

DSCRはフローの観点からチェックするもので
営業キャシュフローが元利金返済額に対して
どの程度、余裕があるかの指標で
指標が大きいほど余裕があります。

(※DSCR=営業CF÷元利金返済額)

一方、LTVは、ローン残高÷
不動産等の評価額(通常は、不動産鑑定額)で
LTVは、小さいほど、健全となります。

DSCRは四半期毎(3ヶ月に1回)チェックすることが
一般的で、LTVは、不動産鑑定を取るなど
コストを要するため、1年に1回チェックすることが
一般的です。

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SPCオフバランス リファイナンスの時

不動産等のオリジネーター(原所有者)からSPCに
譲渡した際、オフバランス判定の基準の1つに
5%ルールというものがあります。

この要件に当てはまるには、いくつかの要件が
ありますが、最も大きなポイントは、譲渡した後
オリジネーターのリスク負担割合が、譲渡した不動産等の
時価価格(通常、譲渡価格)の5%以下という点です。

5%の判定は、不動産の価値が将来ゼロになった時の
オリジネーターの負担が、5%以下というもので、
例えば、不動産の時価が100億円で、オリジネーターの
リスク負担額(通常は、匿名組合出資等のエクイティ出資額)が
5億円以下がオフバランスの条件となります。

では、当初案件実行時に、オフバランス処理出来た案件で
リファイナンスした場合、継続してオフバランス処理出来る条件は
どのようになっているでしょうか?

不動産の時価は、時の経過に伴い、変動するものです。
当初の時価でオフバランス処理出来ても、数年後の
リファイナンス時点では、別途 検討が必要です。

リファイナンスの場合、不動産等の所有権は変動しないので
譲渡価格は発生しません。そのため、リファイナンスに
合わせて不動産鑑定を取り、この評価額をもって
不動産の時価とします。

この不動産時価に対するオリジネーターのリスク負担
(通常は、匿名組合出資額等)割合が5%以下であるか
否かがポイントになります。

リファイナンスの場合は、不動産のオフバランス条件が
当初とは、少し異なる点に注意が必要です。

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償却資産税申告 全所有者から引継ぎ

中古不動産をSPCが取得する場合、
償却資産税の申告のとき、いくつか
注意すべき点があります。

まずは、前所有者が償却資産税の
申告をしていたかどうかです。
これは、市役所等から送られる資料から
前年に償却資産税の申告データが
送られるので、申告の有無や対象資産の
確認が出来ます。

この前年データから当年の増減が
あれば、その内容を申告します。

前年に申告がない場合もあります。
これは、申告対象資産がないか
そもそも申告をしていないケースに
分けられます。

償却資産税申告は、当初取得価格を
ベースに申告をするので、前申告を
していない場合、申告する基礎データを
把握出来ません。

このように、前年以前に申告漏れが
ある場合、最近時点で取得したER等に
記載ある再調達原価を持って
申告するなど、代替的な方法で申告する
ことがあります。

償却資産税は、土地や建物といった固定資産税と
ことなり、所有者からの申告をベースに
課税されるので、申告漏れや申告を
していないケースも散見されます。

契約書への調印

SPC会計業務の中で、大切な項目に
案件組成時 契約書等への調印業務が
あります。

この契約書ですが、押印の際、気を付ける
ポイントがあるので、ご紹介します。

1つ目が、信託受益権への質権設定契約書です。
GKーTKスキームでは、不動産を信託受益権化し
受益権に質権設定をします。
この契約書は、通常 
① 質権設定契約の承諾書を兼ねている
② 公証人役場での認証ページがある
ことが特徴です。
③ 受益権者であるSPC(通常は合同会社)は
債務者として、質権設定権者(受益権者)として
承諾するため 押印箇所が2か所になります。

2つ目が、社員持分への質権設定契約書です。
GKの社員持分は、倒産隔離のため一般社団法人が
保有しています。
そのため上記の受益権質権設定と同様の
押印箇所があります。
社員持分の保有者が、一般社団法人のため
③ 社員持分保有者の一般社団法人と
債務者のSPC(合同会社)の押印が必要です。

その他、案件組成時には押印書類や作成する書類も
多く、正確な押印と書類を揃えることが
求められます。

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不動産信託案件の償却資産税申告

GK-TKスキームでは、不動産を信託受益権化して
SPC(GK)が受益権者になることが、一般的です。
この場合、不動産の償却資産税の申告や
納付義務は、受託者である信託銀行になります。

ただ、信託不動産の償却資産の詳細、例えば
100万円程度の資本的支出があり、償却資産税の
申告対象であるか否かなどの詳細な情報を
信託銀行は、逐一把握しておりません。

そのため、年末に近い、12月頃になると
信託銀行より、償却資産税申告の基礎資料の
提出依頼書類が届きます。

そこには、前回申告した償却資産税データの
記載があり、増減等の有無を報告します。
ただ、この書類の提出期限が、12月半ばに
なることが多く、例えば、12月末に償却資産の
取得があれば、信託銀行へのデータ提供期限を
経過していることになります。

今まで、12月末計上の償却資産の増減というケースに
出くわしておりませんが、SPC会計の実務では
期限より早く償却資産税申告データが作成されています。

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