家賃の引下げ交渉②

今、国会等で議論に上がっている家賃問題。法改正等を待たずに現行の法律のもとでの交渉方法をお伝えします。

通常、家賃については、賃貸契約書を交わしています。一般的な法的な解釈として、店子には一定の基で賃料減額請求権があるとされております。コロナウイルス問題での経済情勢の変化は、賃料減額請求権が発生する要件を満たしていると考えてよいと思います。

一方で、大家にとって賃料の減額は固定収入の減額であり、なかなか応じられるものではないことは理解できます。

このような状況のもとでは、次の手順で、賃料の減額交渉が行われます。

①店子より、大家へ賃料の減額要請をします。その際、減額要請額や根拠資料等を明示した方が良いと思います。その上で、両者間で協議を開始します。

②協議がまとまれば、それで良いのですが、まとまらないケースも多いと思います。その場合は、裁判所に調停を申し立てます。賃料減額の場合、いきなり提訴することは出来ません。まずは、調停をしなければなりません。この調停は、両者間の協議と異なり、第三者となる調停委員(一般的には、裁判所OB、大手企業のOB、現役弁護士、不動産鑑定士、税理士、公認会計士など)が2名以上加わって協議をします。あくまで、両者間の妥協点を見出すために行われ、一方が妥協点を見いだせないと判断すれば、調停は不調に終わります。

③調停不調の後に、初めて賃料減額訴訟を提訴できます。その場合は、経済情勢の変化の状況を裁判官に分かってもらうための資料を作成することになります。この場合、大家側も反論すると思います。ただ、ここで得た判決での賃料は、絶対的な賃料になり、大家、店子ともに従うことになります。

ここでの、ポイントは賃料を減額せざるを得ないような経済情勢の変化を、訴えることが出来るかが、ポイントになります。

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家賃の引下げ交渉①

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、外国人観光客が来日しなくなり、国内での出張や旅行もほぼ、なくなり、宿泊業や飲食業などは、大打撃をうけております。

弊事務所のお客様も、大打撃を受けております。また、家賃負担が経営を圧迫しており、どのように対処すれば、良いか悩んでいる経営者も多くおられます。そのような方に、家賃交渉の進め方もご紹介します。

まずは、賃貸契約書を確認します。一般的には、賃料については、『公租公課の増減や経済情勢の変動等で、賃料が不相当のなった場合は、賃貸人と賃借人との協議の上で、賃料を改定することが出来る。』と定めていることが多いです。

コロナウイルス拡大で来客者数の減少は、明らかに、経済情勢の大幅な変動です。ただ、賃料改定は、両者の協議がまとまらなくては、改訂が出来ません。そこが、賃料改定の難しいところです。

コロナウイルス問題で、苦しんでいる店子に対して、賃料支払の猶予はしても減免に応じる大家はすくないのが、実情です。大家の言い分は、自分たちもお金を借りて不動産を購入しており、減額には応じられないと。

一方で、宿泊業・飲食業・不動産賃貸業・金融機関のいずれも事業であり、リスクを抱えながら事業を続け、利益を得ようとしています。であれば、このような『経済的な津波』である『コロナウイルス問題』については、各事業者が応分の負担を求められるのは、やむを得ないものと思います。

大家としても、店子が破綻すると、次に新しい店子を見つけることは、今では大変難しいと思います。であれば、一定の負担を負ってでも、賃料減額にも応じることが結局のところ、利益になると思います。

次回以降では、賃料減額交渉の進め方について、解説いたします。

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