法務上のオフバランスと会計上のオフバランス

法務上のオフバランスと会計上のオフバランス

オリジネーター(資産のもともとの所有者)から
SPCへ資産を譲渡した際に、その取引が法務上
正しい取引であるか否か(真正売買であるか否か)
という判断が、弁護士さんよりなされる。

真正売買であるか、否かの判断基準のひとつ
として会計上のオフバランスが出来るか否かという
項目がある。

それでは、会計上のオフバランスが仮に否定された
時に、法務上のオフバランスが否定される
(真正売買が否定される)であろうか。

これは、弁護士さんのマターであり会計士の
私の分野ではないかもしれないが、私なりの
考えをまとめておきます。

そもそも、会計上のオフバランスが否定されると
オリジネーターは、売買という会計処理をしない
こととなる。すなわち、売買取引という事実を
経理に反映しないということである。

言い換えれば、会計処理の上では、売買は
なかったという意思表示をしているとも言える。
オリジネーターが、売買の意思表示をしていない
取引を法務上、真正売買という考えには
不整合な点があるという考え方もあるだろう。

ところで、会計上のオフバランスは、不動産の
場合、5%ルールというものがある。
(詳細は、6月28日のブログを参照してください。)
この5%というのは、一般にオリジネーターが
エクイティ出資していて負担するリスクが
譲渡(売買)した資産の価値の5%超であれば
オフバランスを否定するものである。
つまり、会計では経済合理性の観点から、
オフバランス処理を判定している。

一方、法務では、法律という明文化された基準に
のっとって真正売買であるか否かを判断して
いるのであろう。そこには、恐らくリスク負担割合が
5%うんぬんという記述はない。

このように会計と法務では、着目している点がことなる。
そのため、法務上のオフバランスと会計上の
オフバランスとの間で、結論に齟齬が出てくる
こともあろうかと思う。

ただ、ひとつ言えることは、法務上のオフバランスが
否定される場合に、会計上のオフバランスが肯定される
ことはないでろう。
法務よりも会計の方が、オフバランスのハードルは
高いであろう。

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