公示価格と実勢価格の関係
不動産価格の指標となるものとして
公示価格というものが、あることは
ご存知のとおりです。
不動産鑑定においても、土地の取引事例価格を
算出する時には、近隣の公示地を決めて
その価格とバランスが取れているか
検討する作業が、あります。
概ね±10%圏内にあることが
バランスが取れているといえる
基準となります。
ただ、この公示価格ですが
これは、地域毎の担当の鑑定士がいて
その鑑定士が決定しています。
また、その価格決定においては、
担当鑑定士が、独断で決定するのではなく
その周辺の公示地を担当する鑑定士との
間で、調整を重ねて価格を決定します。
そういった意味では、地域のバランスを
考慮した上で、価格が決定しています。
では、価格決定においては、その土地の
実勢価格を完全に反映して決定して
いるかといえば、必ずしもそうでは
ないようです。
公示価格は、相続財産の評価に影響する
路線価や、固定資産税評価にも
関係しています。
(通常 公示価格10 路線価8 固定資産税評価7の割合です)
そのため、公示価格の急激な上昇は、
納税者に負担を強いることとなることも
あり、大幅な上昇は、あまり好まれない
ようです。
そういった意味では、公示価格は
経済指数でいう、遅行指数(実態=実勢価格よりも
遅れて反映する指標)に分類されるのでしょう。
不動産市場での、遅行指数としては
賃料も、それにあたるのではないかと
思っております。
賃料は、通常2年に1度改訂される性質のため
市場価格を反映しにくいものですが
(不動産鑑定実務では、新規に契約する時の
新規賃料と、契約更新の時の継続賃料では
異なった計算方法をします。)
不動産の価格が上がれば、直ちに賃料に
反映されるものではなく、少し遅れて
反映されます。
特に首都圏のオフィスビル賃料は、ここ
最近、上昇傾向にあるということは
このような賃料の性質を、あらわしている
のでしょう。