CRE戦略での数値分析の限界

CRE戦略での数値分析の限界

CRE戦略では、不動産のリスクを数値化するという
お話をしましたが、数値化による問題点もあります。

例えば、減損会計適用リスクに不動産が、どの程度にまで
接近しているかを検証するため、不動産毎に
収益性を計算したとします。
その結果、A不動産は、10%、B不動産は、5%
C不動産は、1%だったとします。
不動産保有企業の投下資本利益率が、3%とすれば
C不動産は、収益性を引き下げる物として、てこ入れを
するか、場合によっては売却も検討することとなります。

しかし、企業経営において、A不動産、B不動産、C不動産は
バラバラに存在しているのではなく、それぞれ
企業の数値に現れる収益だけでなく、様々な方面に
影響を与えています。

この例として、不動産ではありませんが、吉本興業という会社では、
タレントのテレビ出演による出演料収入や
キャラクターグッズの売上が、極めて収益性が高いのですが
なんばグランド花月などの、舞台での売上や収益性は
低いものだそうです。

だからといって、なんばグランド花月を閉鎖するようなことは
吉本興業はしません。
なぜなら、舞台というものは、芸人によって、生の観客に
触れる場所であり、テレビ出演しているタレントが
人気が落ちてくれば、舞台に出て、生の観客に触れることで
芸に磨きが入り、人気が回復することがあるからだそうです。

長い言い回しになりましたが、企業経営では、低採算
又は不採算でもしなければならない事業もあるという
ことです。
CRE戦略の過程で、リスク等を数値化しても、見えてくるものと
見えてこないものがあるのだと思います。

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