不動産の金融商品化を検証

不動産の金融商品化を検証

数年前までの不動産価格の
上昇の要因として、不動産の
金融商品化という言葉が、よく
使われました。

日本版REITの登場、SPCに
ノンリコースローンをつけての
資金調達の増加など、不動産の
金融商品化により、金融市場から
不動産への資金が流れやすくなり
不動産価格の高騰を招きました。

金融商品化により、収益性のある
不動産は、収益価格で評価する
ことが常識になりました。
収益価格は、純収益を還元利回りで
割り戻して価格を算定する方法です。

最近の不動産価格の下落要因は
不動産の収益性である純収益
よりも還元利回り(又はキャップレート)
の上昇によるものが大きくなっています。

かといって、最近の金融市場を
見て目立って金利が上がったという
ようなことはなかったと思います。
ではなぜ、不動産価格を算定する
際の利回り(キャップレート)だけが
金融市場の市場金利とは別に
上昇したのでしょうか?

これは、おそらく不動産の流動性による
ものでしょう。
つまり、従来までは、REITや
SPCが大型不動産の需要者に
なっていましたが、今では金融機関の
融資の厳格化や手元流動性を確保のため
従来のような需要者ではなくなり
不動産の流動性が、大幅に低下しました。

DCF法で評価すれば分かりますが
不動産価格のうち、DCF法の計算期間
(通常10年程度)の収益額より、
計算期間終了時点での価値(ターミナル
バリュー)の占める割合が高く
物件の売却見込額が価格に大きく影響します。

言い換えれば、流動性の低下は
不動産価格を大きく引き下げ、
つまるところ、利回り(キャップレート)が
上昇します。

不動産に関する金利は、債券等の金利とは
異なる動きをします。

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