収益価格重視の鑑定制度

収益価格重視の鑑定制度

平成初期の頃のバブル経済の
時代は、私はちょうど、大学卒業を
控えた大学生でした。
 
当時の就職事情は、今とは180°逆の
売り手市場で、企業は学生の獲得に
やっきになり、会社が学生に
うちに来てくれ、うちに来てくれという
状況でした。
 
昨今の学生たちから見れば
信じられないような環境でした。
 
昔話は、そこそこに当時は、不動産
市場も異常な加熱ブリで、土地転がしや
地上げが、蔓延していました。
 
当時の不動産価格は、高値の取引事例が
高値を呼ぶという環境で
不動産鑑定でも、取引事例を中心に
鑑定評価額が決定していました。
当時の日本の土地の時価総額が
アメリカの土地の時価総額の数倍に
なるという異常な価格になっていました。
 
その後、不動産投資ファンド等の
出現で、不動産価格が取引事例ではなく
収益価格を重視して決定される
こととなりました。
合わせて、不動産鑑定制度も改正され
従前よりは、収益価格を重視する制度に
なっています。
 
昨今の不動産価格の下落は、平成初期からの
失われた10年の不動産市場の低迷とは
随分おもむきが異なると思います。
 
昨今の不動産市場では、収益価格重視の
傾向にあり、キャップレート(利回り)で
価格を判定する傾向にあります。
つまり、平成初期の頃の価格形成の
根拠が乏しい、取引事例よりは、収益との
バランスで決定される収益価格は、
異常な市場価格形成を抑止する機能が
あると思います。
 
利回りで、不動産価格を判定する時代に
入って、まだ歴史は浅いですが、少なくとも
平成初期の頃の、不動産バブルの発生は
おこらないと思います。
 
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