DCF法について 中谷巌氏より
先週、大阪不動産鑑定士協会主催の
シンポジウムがありました。
ここで、基調講演に、三菱UFJリサーチ
センター理事の 中谷巌先生が
1時間余り、お話されました。
経済学者の中谷先生いわく
『DCF法で、将来10年間のキャッシュフローの
予測など不可能です。』と
おっしゃってました。
確かに、DCF法では、通常将来10年間の
キャッシュフロー予測や、10年後の
売却価値を見積もりますが、実際
10年後に振り返ってみて、それに
近い数値になるケースは、どれくらい
あるのでしょうか?
不動産鑑定の世界や企業評価の世界でも
DCF法は、今や当たり前の評価手法に
なりましたが、将来の見込みで評価する
のですから、将来振り返ってみたところ
当初の前提条件が、大きくずれることも
考えられます。
であれば、不動産鑑定や会計士による
企業評価は、何のために行うのかという
話になってしまいます。
つまるところ、DCF法の評価は、評価時点で
最も合理的と考えられる方法で、評価する
ことであり、その根拠となる前提条件が
説得力あるものにすることが、不動産鑑定士や
公認会計士に求められることだと思います。
平成バブル後に、失われた10年という
時代が続きましたが、その10年の始まる
時期に、これからの10年は、経済成長はなく
今までのバブル経済のあと処理に
時間を費やすと予測した人は、どれくらい
いたのでしょうか?