本店移転と税務申告

SPCの本店を移転するケースも時々発生します。
その時の税金の計算は、少し煩雑なところがあります。
 
法人税や消費税といった国税は、SPCの本店所在地が
国内にある限り影響はありません。一方で、地方税は
少し煩雑な手続きが必要です。

都道府県を越えて本店所在地が変更する場合、地方税は
各市町村毎に、申告書や届出書の提出先が異なります。
そのため、異動届は、移転前と移転後の本店所在地の
都道府県税事務所や市町村(東京都内に場合は不要)に
提出が必要です。

税務申告も、移動前と移動後の都道府県税事務所や市町村
(東京都内に場合は不要)に提出が必要です。

期中で本店移転があった時の法人地方税の一部である法人税
均等割の計算は、月数按分で計算されます。

仮に月の途中で本店移転をすれば、1ヶ月未満の端数が発生
しますが、均等割の計算では1ヶ月未満の端数は、切捨で計算
されます。

法人税割など課税所得に応じて発生する税金は、移動前と
移動前の本店が存在した月数で按分して税額を計算します。

本店移転に伴う法人地方税の申告は、少し煩雑なところが
あります。

 国税地方税
異動届移転後の本店所在地 管轄税務署移動前及び移動後
本店所在地の都道府県税、市税
税務申告同上同上

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
 税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

SPC 本社 東京と大阪の税負担の違い

SPCの本店所在地は会計事務所に置くケース、投資対象付近に置くケース、
主要投資家の本店に置くケースなど様々です。

本店所在地が公表される特定目的会社(TMK)を確認すると東京都内に
本店を置くケースが多く、大半のSPCは東京都内に本店があります。

ところで、税負担では東京本店SPCと大阪本店SPCとでは、
どのような差があるのでしょうか?国税の負担は、SPCの本店が
どこにあっても税負担に差はありません。

地方税については、少し差があります。法人税均等割(地方税)は、
各都道府県や市町村が一定の範囲内で変更することが出来ます。
法人税均等割の最少額は、東京都内本店でも大阪市内本店でも70,000円と同じです。
例えば、岡山市本店では71,000円と地方都市になると東京や大阪より少し増加します。

東京都内本店と大阪市内本店との一番大きな差は、SPCが休眠期間中の扱いです。
東京都内の場合、休眠期間中でも法人税均等割は発生します。
一方で、大阪市内本店では、休眠期間中の法人税均等割は発生しません。

SPCが保有資産を売却して事業が終了し府税や市税に休眠届を提出すれば、
休眠が始まった月から法人税均等割は発生しません。
年間で7万円程度の差ですが、何らかの事情で保有資産の売却から
解散や清算を開始するまで期間を要し、休眠期間が長くなるSPCの場合、
本店所在地による税負担の差額も大きくなります

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階

   税理士法人 淀屋橋総合会計

 http://www.yodoyabashisogo.com

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

発電事業者の新収益認識基準の摘用

2021年4月以降の事業年度より大企業においては、
新収益認識基準が強制適用となりました。

各企業は実現主義の原則に従い、それぞれのタイミングで
売上計上を行ってきましたが、日本の会計基準を国際的な
会計基準にあわせるため、新収益認識基準として売上計上の
タイミングをルールとして定めました。

弊社の顧客である12月決算の再生可能エネルギーSPCにおいても、
2022年12月末決算でこの新収益認識基準が適用される事と
なりましたが、これは電気事業及びガス事業における従来の
検針日基準を見直すというものです。

従来の検針日基準では、検針日が月末以外の場合、
決算月の検針日以降から決算日までの売上が翌期に
計上されていましたが、新収益認識基準では、
検針日基準は認められず、検針日から決算日までの
売電収入を見積計上するというものです。

この見積額の算出方法ですが、簡易法として日割り計算が
認められており、単価が変動する場合は決算月の前年同月の
平均単価を基礎とする事ができます。

この基準に沿って、適用初年度の2022年12月の決算では、
見積もった売電収入額を計上し、遡及適用額については、
適用初年度の期首の利益余剰金の加減で会計処理を行いました。

「収益認識に関する会計基準」への対応について|国税庁 (nta.go.jp)

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

レジ案件での控除対象外消費税

居住用賃貸マンション(レジ物件)への投資案件で
建物に係る消費税は、取得時には控除出来ないことは
ご存知の通りです。

税抜経理の場合、控除出来ない消費税は、一定の
期間で償却されます。この場合の償却方法は
60ヶ月(5年間)で償却する方法が、一般的です。

一方で、レジ物件の取得に係る控除対象外消費税を
60ヶ月で償却すると、各年度の償却額が、多額に
なることがあります。

その結果、投資利回りが低下し、投資としての魅力が
劣ることになります。

控除対象外消費税は、60ヶ月で償却の他、対象不動産の
取得価額に含めて、建物等の耐用年数に応じて
償却する方法も可能です。

今の消費税制度では、レジ物件の取得時に支払う
消費税は、控除(還付)対象にはならないので
取得費用の一部という理解で、特段問題ないと
思います。

この点は、オフィスビル等への投資と異なり
消費税の経理処理には、大きな差があります。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階

   税理士法人 淀屋橋総合会計

 http://www.yodoyabashisogo.com

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

SPCの資本金が1億円以下になった場合

最近、資本金が多額の企業が、資本金を1億円以下に
減資することがあります。

税法では、資本金1億円以下の会社は、中小企業という扱いで
税負担が軽減されます。税金もコストであり、経費削減の
一環で、減資するケースが増えております。

減資をすれば税務署等に、異動届が必要となります。
また、資本金1億円を超える会社は電子申告が
義務付けられていますが、資本金が1億円以下に
なれば、電子申告の義務がなくなります。

以前、資本金1億円超の会社に電子申告が義務化された時
『e TAXによる申告の特例に係る届出書』を提出しております。

資本金の減少した時は、減資の届出だけでなく、
電子申告に関して
『e TAXによる申告の特例の適用がなくなった旨の届出書』
を提出しなければ、なりません。

こちらの届出の提出は、失念しがちですが、資本金1億円以下に
減資される際には、忘れずに、提出したいものです。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階

   税理士法人 淀屋橋総合会計

 http://www.yodoyabashisogo.com

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑


一括償却資産の除却

担当しておりますSPCで
『一括償却資産』の除却がありました。

『一括償却資産』とは通常の減価償却ではなく
取得価額を三年間で均等償却できる
一定の資産のことです。

取得価額10万円以上20万円未満の資産で
すでに使用を開始しているものに限り計上します。

通常の固定資産であれば
減価償却として費用計上出来るのは
各資産の耐用年数に応じた償却額ですが
『一括固定資産』は決算月に購入したものであっても
三年間で均等した金額を費用計上できます。

この『一括償却資産』を除却した場合は
どういった経理処理になるでしょうか。

通常の固定資産ですと
資産の残存価値と除却額から
除却損益を計上します。

しかし『一括償却資産』の場合は
除却損益を計上しません。

また、除却後も三年間で均等した減価償却費を計上します。
取得時に全額損金処理できる『少額償却資産』は
償却資産税の対象ですが
『一括償却資産』は償却資産税の対象外です。

このように『一括償却資産』は
通常の固定資産の経理処理とは異なり
除却という考え方はありません。

取得価額が30万円未満の減価償却資産は取得時に
全額損金処理できる『少額減価償却資産』は
早期に費用処理できる一方
償却資産税が発生します。

『一括償却資産』は三年間で償却する一方で
償却資産税は発生しません。

それぞれの特性を考慮しながら
償却方法を選択することが大切です。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

新規設立法人の事業開始日と均等割

5月下旬に新規でSPCを設立いたしました。

こちらの法人は、設立日と事業開始日が同日
ですが、法人によっては、事業開始日が翌月
以降になることがあります。

今回は、設立日と事業開始日が異なる場合の
届出と法人府民税と法人市民税の均等割に
ついて、お話したいと思います。

大阪の場合は、法人府民税も法人市民税も
均等割は設立日からではなく、事業開始日
からで計算することになります。

設立日と事業開始日が異なる場合、府・市ともに
設立届出で事業開始日欄に実際に事業を開始する
日を記載して提出します。

しかし、この欄は「事業開始(見込)年月日」と
なっておりますので、大阪市では、設立届の備考に
「何年何月何日事業開始」と明記して欲しいとの
ことです。

法人府民税・市民税の均等割は、1ヶ月に満たない月
は切り捨てとなりますので、大阪の場合、5月末に
設立し、事業開始日が6月2日以降になる場合は
5月の均等割負担はありません。

但し、すでに設立届を提出した後に事業開始日が
変わった場合は、府、市いずれも異動届の提出が
必要となりますので、ご注意ください。

東京都ではこのような扱いはなく
自治体によっては、事業開始日に関わらず
設立日から均等割が発生するところもありますので
該当する法人を設立した際には、それぞれの自治体に
確認が必要です。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
 税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

SPCの簡易合併

弊事務所が担当させていただいている案件で
簡易合併をするものがあります。

簡易合併は、消滅会社が存続会社と比べて、
小規模で、消滅会社、存続会社ともに、純資産が
プラスである場合に限って、株主総会決議等を
経ないで、合併が出来る制度です。

SPCの場合、債務超過になるケースは少ないですが
今回の案件は、債務超過のため、単純に
簡易合併が進められませんでした。

当SPCの財務内容等から、関係者が、債権放棄を
することで、債務超過の解消に、目途が
立ち、簡易合併が出来る要件を満たすように
なりました。

債権放棄をする場合、寄付金認定リスクが
ありますが、債権評価の妥当性を検討して
慎重に実施しました。

組織再編制度には、柔軟な手続きを進める
制度が他にもありますが、債権者保護などで
実施条件を課していることがありますので
諸条件を充足していることを確認の上
手続きを進めることが大切です。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階

   税理士法人 淀屋橋総合会計

 http://www.yodoyabashisogo.com

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑


信託の課税区分

担当するGK-TKスキームで不動産信託受益権取得後、
最初の決算期を迎え、取得した稼働済みのホテルの
不動産信託受益権に係る消費税還付の申告を行いました。

申告後に税務署より連絡があり、今回の課税仕入れについては、
『法人課税信託』ではないかとの指摘があり、受益者であるGKは、
消費税還付を受けられないのではとのコメントがありました。 
その理由としては、『平成19年度 信託税制の改正のあらまし』
5(8)の法人課税信託を挙げていました。

今回、会社が保有した不動産信託受益権は、不動産管理処分信託
契約に基づくもので、不動産信託契約に該当します。
不動産の所有者が委託者となって受託者に不動産を信託し、
受託者は受益者のために不動産の管理処分を行い、
そこから生じる利益を受益者に交付することを合意する契約
ですので、『受益者等課税信託』にあたります。

不動産信託では、『受益者』、『委託者』、『受託者』の3者が
存在し、それぞれがどの会社であるか混同する事があります。
恐らく、ご担当者は『受益者』と『受託者』を混同し、いわゆる
GK-TKスキームを『法人課税信託』、つまり、『受託者』である
信託銀行が主体となるものと誤解されていたように思われます。

東京では、GK-TKスキームの件数も多く、スムーズな対応に
なるかもしれませんが、大阪では件数も少なく、このような事も
発生しています。

ただ、数回の書類のやり取りで、正しくご理解いただき、
無事に還付手続きも完了しました。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

電気供給事業SPCの為替差益

私どもでは、太陽光やバイオマス等を
利用した電気供給事業を手掛けるSPCが
多くございます。

電気供給事業では、発電所が完成し
売電が始まると、売電の収入金額に応じて
事業税の「収入割」が発生します。

担当させていただいているSPCで、発電所の
製造段階で、海外より部品を輸入した関係で
ドルでの外貨預金残高があるSPCがございます。

決算書は、すべて円で表記しなければならないので
決算毎にその時の為替レートでドルから円に換算
しておりますが、今期の決算時に少額の為替差益
が発生しました。

為替差益は営業外収益となりますが
「収入割」の課税標準となる収入になるのか
念のため、管轄の都道府県税事務所に確認しました。

あまり前例がないそうで、回答に時間を要しましたが
「控除できると明記はされていないが、為替差益の
ように、実際にはキャッシュが動いているものでは
ない評価額によるものは、収入から控除してよい」
との回答でした。

但し、都道府県民税の申告の際に提出する
第六号様式別表六「収入金額に関する計算書」の
収入金額の総額と控除される金額の両方に記載が
必要との事でした。

外貨預金のあるSPCはあまりないかと思いますが
参考にしていただければと思います。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
 税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑