リース会計基準変更の影響

リース会計基準が変更となった。
平成20年4月1日以降に締結するリース契約は
新会計基準が適用されることとなる。

改正内容を、簡単に言えば
リース資産の大半を資産計上し、対応する債務を
リース債務として計上しなければならなくなった。
この改正は、海外の会計基準では、リース契約している資産は
資産計上することが一般的であり、それに合わせるという
ことも要因の一つであろう。

そもそも、リース契約のメリットとして
 仝把蟷饂座翊等の作成が不要で、管理が楽
◆〇拿个靴織蝓璽肯舛鯀干杪散盻萢?任る。
 リース資産を資産計上しなくても良い
ぁ―?兒饂裟任凌醜陲不要
などがあるが、リース会計基準の変更により
´↓がなくなることとなる。

更に、減価償却費の計算方法が改正され
従来、取得価額の5%を残存価格として、償却
できなかったが、今後は、備忘価格1円以外は
全額償却することが可能となった。
そうすれば、資産を保有し、固定資産台帳に
計上していても、台帳価格のほぼ全額を
損金(償却)処理可能となり、リース契約のメリット△
低下することとなる。

そのため、リース会社も様々な対策をされていると思う。

企業経営に活かす流動化・証券化

打出の小槌ではなく、更にコストが
かかる流動化・証券化を、企業経営にどのように
利用していくべきであろうか?
キーワードは、「シリーズ化」「パターン化」
「パッケージ化」ではないかと考えている。

コーポレートによる資金調達では、
自社のバランスシートが膨らむ分
借入限度額に達すれば、追加融資を受けられない
ことがある。
一方で、流動化・証券化によって、資産をオフバランス
できれば、追加融資を受けられることがある。

例えば、不動産開発業者が、1案件あたり5億円の
利益があがるとして、コーポレートローンの場合
年間2案件しかこなせないところ
流動化スキームを利用することで、3案件こなすことが
できれば、仮に1案件 0.5億円のコストが
発生しても、トータルの利益は
流動化の方が多くなる。

成長著しい不動産開発業者で、開発スピードを
求められる場合は、メリットがあるのでは
ないだろうか。

スピード化のためにも、「シリーズ化」や
「パッケージ化」「パターン化」は、不可欠では
ないだろうか。
もちろん、会計事務所である「淀屋橋総合事務所」
としても、その点を十分認識して
流動化のお手伝いをしている。

打出の小槌

不動産流動化・証券化を利用すれば「打出の小槌」
のように、お金が集まると思われている人がいる。
実際のところ、証券化によって、たくさんお金が
集まるようなことはないと考えた法が良い。

しいて言えば、財務内容が悪く、信用度の低い会社で
あるが、優良な資産を持っている場合では
SPCによって、優良資産だけを切り取ることができれば
通常のコーポレートローンより、多く資金調達できると
考えられる。

一般に、流動化・証券化をはじめて経験される方は
「打出の小槌」のようであるという誤解というか
過度な期待をもたれていることがある。

また、流動化・証券化には、通常のコーポレートローンより
コストが余分にかかることが多い。
後述した優良資産のみを切り出すためには、法律的に
また財務的に、切り取る作業が必要で、それを維持して
いかなければならないからである。

このコストについても、はじめて経験される方は
驚かれることが多い。
それでは、なぜ、コストをかけてまで、流動化・証券化を
するのだろうか?
また、なぜ、流動化・証券化が広がったのであろうか?

投資銀行業務

投資銀行という言葉を最近よく耳にする。
今から7~8年ほど前に、ゴールドマンサックス証券の
方が、一般の人に自社を説明する際に、
当社は、会社名に「証券」とありますが、日本でいう
証券会社とは、異なる会社で、「投資銀行」というもの
ですと説明されたことを覚えている。
一般の人には、あまりなじみのない言葉で
理解された人は少なかったのではないかと思った。

われわれが一般にいう銀行とは、一般の人々から
預金という元本保証というかたちで資金を調達し
それをもって、貸付けることを業務としている会社と
理解する。その場合、貸付先には、担保提供を求め
また、その評価に掛け目という一定の率をかけて
貸し倒れることがないようにする。

つまり、リスクの高いところには、貸付をしない、
もしするとしても、担保を取って、貸倒が発生しない
ような融資形態を取る。

ところが、そんなリスクのないような融資形態では
融資できる対象は限られてくるし、そのリターンも
多くはとれないのである。
一方で、投資銀行業務とは、例えば
プロジェクトファイナンスや、ノンリコースローンと
いった融資形態の場合、リスクは高くなるが
多くのリターンを求めることができる。
これは、収益性の高いビジネスであるため、最近の
大手銀行は、投資銀行業務に注力するように
なった。
当然にリスクが高い融資の場合、リスク判定には
ノウハウが必要であり、リスクを低減するために
様々な手法を用いることとなる。
その手法の1つが、SPCを用いた資金調達である。

SPC利用が増えた理由(4)

これまで、SPC利用のメリットについて書いていたが
今度は、デメリットについて書いてみる。

SPCを利用した資金調達は、貸手(レンダー)と借手だけでなく
信託銀行(必須ではない)、アレンジャー、アセットマネージャー
弁護士、会計士等が関わるため、コスト的に高くなることや
関係者間での意見調整が必要となり、時間的にも余分に
要することが多い。

特に、最近では会計上の問題として、ライブドアや日興証券の
事件の影響もあり、SPCを非連結子会社とすることが
難しくなってきており、SPC利用のメリットととして
挙げていたオフバランス処理のハードルが高くなって
いることも事実である。

また、信託受託の際の、審査においても、物件の遵法性や
場合によっては、オフバランス処理できるか否かにまで
問うケースもあり、こちらの面からもハードルが高くなって
きている。
(SPCによる資金調達で、信託を利用する理由については
 後日、解説いたします。)

SPCを利用した不動産流動化は、かつての冷え切った不動産市場を活性化する
ための大きな役割を果たしたことは間違いないが
最近では、上述のような様々な規制により、不動産流動化が
沈静化するのではないかとも思える。

私は、日本の不動産市場は、最近かなり上昇したので
そろそろ頂上に達しているのではと思っている。
そういった意味では、不動産流動化案件は、今後は
従来のような、急速な伸びはないのではないかと思っている。

ただ、海外から見れば日本の不動産市場はまだ、相対的に
低い水準にあり、海外からの投資家から見れば、
まだ魅力ある市場なのかもしれません。

SPCを利用した資金調達は、ひとつの資金調達手法として
確立されたものであることは、間違いないと思います。

SPC利用が増えた理由(3)

SPCを利用した資金調達のメリットには
他にもある。

SPCを利用した場合、資金を提供する者の多様なニーズに対応することが出来る。
具体的には、SPCへのノンリコースローンには、ローリスクローリターンを
求めるシニアローン(一般に銀行が貸手となる)と
ミドルリスクミドルリターンを求めるメザニンローン(一般にノンバンクと
言われるものが貸手となる。)と
ハイリスクハイリターンのエクイティ(オリジネーターや投資家が投資する。)
という仕組みを作り出すことが出来る。

つまり、多様なニーズをSPCという器を利用することで、ひとつに集約することが
できることとなる。これも大きなメリットと考えている。
また、SPC利用によって、資産を切り離すことで、それぞれの当事者の
リスク負担の最大値が確定している。言い換えれば、万が一のことが
発生してSPCが保有する資産が毀損した場合の損失負担割合も予め、決められている。

昭和末期から平成初期の頃、不動産融資といえば、コーポレートローンが
主体であった。コーポレートローンの場合、借手や保証人にまで遡及できるが故に
不動産の担保価値がローン金額から大きく割り込んでも、担保処分が進まず
不良債権となって、日本経済を停滞させてことは、皆さんもご存知のとおりかと
思います。

ノンリコースローンの場合、通常毎年不動産価値のモニタリングをしており
価値が一定以下になった場合、自動的に処分活動が進むこととなっている。
そういった意味では、コーポレートローンと比べれば、優れていると
言えると思っている。

SPC利用が増えた理由(2)

SPC利用が増えた理由として、新しい資金調達という
ものの他に、大きな理由として資産をオフバランスできるという
ことがあります。

具体的に説明しますと、不動産開発会社が、コーポレートファイナンスの
場合、自社で資金を借り入れるなどして資金を調達し
不動産を自社のバランスシートに計上します。

開発が終了し、売却をすれば、開発利益が残る仕組みですが
この場合、開発期間中のバランスシートが、資産・負債が両ふくらみと
なってしまいます。

SPCを利用した場合、不動産開発会社のバランスシートを
膨らませることなく、不動産開発会社は、SPCへ開発総額の
一部を投資するのみで、開発利益を得ることができます。

最近の不動産の開発プロジェクトでは、この手法が多様されました。
ただ、この手法を利用するには、SPCが不動産開発会社の
連結子会社にならないという大前提があります。
なぜなら、もし連結子会社になれば、連結決算上では資産・負債を
オフバランスできず、SPC利用のメリットのひとつが活かせない
こととなります。

SPC利用が増えた理由(1)

SPCを利用した資金調達を、ストラクチャーズドファイナンスといい
銀行のローンで言えば、ノンリコースローンというローンを利用する。
ノンリコースローンを理解するには、コーポレートローンと比較すれば
分かりやすい。

ノンリースローンとは、ノンリコース つまり「借手の全資産にまで遡及しない」
専門的な言葉で言えば、責任財産限定特約がついているローンである。
貸手からすれば、責任財産の価値を評価して、ローンを提供するものである。

一方で、コーポレートローンは、借手の全財産にまで遡及できるローンであり、
借手の信用力をよりどころととするローンである。

ノンリコースローンを実行するには、担保となる資産だけを切り出す必要がある。
そのため、SPC(特別目的会社)を利用して、資産だけを切り出し、貸手はSPCに
対してノンリコースローンを実行している。

ノンリコースローンのメリットは、例えば、信用力の低い会社が
優良な資産を保有している場合、会社の信用力から切り離して資金調達が
できることである。最近数年では、不動産市場が好調なこともあり
不動産開発において、この手法による資金調達が多く実行された。