11月 2008アーカイブ

不動産投資家の変貌

不動産投資ファンドの低迷により
不動産投資家の顔ぶれが、変わって
きています。
昨年まででは、不動産投資会社や
不動産開発業者 自身か
設立したSPCが、不動産需要者
となるケースが多くありました。

最近では、不動産関係の会社では
なく、本業で、利益を得た会社(又は個人)が
余裕資金で、不動産投資をするケースが
増えています。
彼らは、本業で得た資金を預金等で
寝かしておくのであれば、
利回りの高い不動産に投資すれば良いと
考えており、キャピタルゲインではなく
インカムゲインの獲得を、目的と
しています。

不動産と付き合うのであれば、このような
スタンスの方が、健全のなのでしょう。
インカムゲインが主目的であり
キャピタルゲインがおまけ位に
考えられれば良いのでしょう。

公認会計士と不動産鑑定士

先月をもって、不動産鑑定の
実務修習に必要な23類型の
演習報告を全て提出しました。
演習を通じて、不動産鑑定業界を
見ることができましたが、
公認会計士と比べて、いくつか
違う点を感じました。

まず、試験の合格者数です。
公認会計士試験の場合、近年は
監査業務の拡大、内部統制等の
周辺業務の拡大や、規制緩和の
流れもあり、合格者数が、大幅に
増えました。
一方、不動産鑑定士試験は、
実務修習制度の改正により
鑑定士事務所に、常勤でなくても
鑑定士になれる道が開かれた
ことととなりましたが
鑑定士の急増を嫌ってか、2次試験の
合格者数は、減少となりました。

この合格者数の推移や傾向から
見ても、業界の意向が伺えます。
鑑定士業界は、合格者を増やして
鑑定士が増えると競争の激化を
敬遠したのではないでしょうか。

このような合格者数の減少のため
新たな受験者数も減少傾向になりました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E9%91%91%E5%AE%9A%E5%A3%AB
受験者が敬遠していることが、伺えます。

鑑定士業界では、不動産ファンドの
新規組成の減少により、業務量も
縮小傾向にあるようです。
新たな業務獲得に懸命になっていますが、
なかなかこれといったものが
見つからないのが、今のところの
現実のようです。

資産の二重譲渡

先週、小室哲哉氏が、著作権の
二重譲渡の詐欺容疑(?)で
逮捕されました。
この報道は、新聞・テレビで大きく
取り上げられました。
その被害者である芦屋市在住の
会社社長は、5億円もの大金を
失ったようです。

不動産や金銭債権(貸付金等)と
比較すると、
不動産の場合、登記制度があり
今、その不動産を誰が所有し
誰に担保提供しているかは
所管の法務局に行くか、今では
インターネットで確認することができます。

金銭債権の場合、当初、貸付を
実行した契約書と債権を譲渡した
契約書に記載されている確定日付という
公証人役場でとった証明によって
いつ、誰に譲渡されたか、確認する
ことができます。

著作権には、上述のような
二重譲渡を確認する制度(文化庁に
著作権登録)があるようですが、今回のような
二重譲渡が、横行することを
想定していないのか、登録されている
著作権は、ほんの一部だそうです。
著作権の登録制度は、不動産ほど
浸透していないようです。

最近の不動産市況の悪化から
流動化ビジネスの対象を不動産以外に
広げようとする動きがありますが
もし、著作権を流動化対象資産として
根付かせるのなら、登録制度の
浸透が必要ではないでしょうか。

不動産会社の破綻

今年に入ってから
不動産投資や開発をする会社が
いくつも破綻しました。

私の事務所に来られる方からは
私の事務所の関係する案件で、
破綻した会社の案件は、ありませんか?と
聞かれることも、多くなりました。

私どもの事務所が関与している案件で
直接的な当事者(エクイティ出資者等)
で、破綻した案件はありませんが、
PM会社やオリジネーターが破綻した
ケースは、いくつか出てきております。

ただ、昨今のように破綻する会社が
相次げば、直接的な当事者が
破綻するケースが出てくる可能性も
否定出来ません。
(そういうことがないことを願っていますが)

ストラクチャーズドファイナンスは
倒産隔離措置を取っているため
エクイティ出資者等が破綻しても
直ちに、スキームが停止しないような
対処がなされています。
しかし、万が一のことがあった場合は、
私どもの事務所も含め、
関係当事者は、それなりの対応が
求められることになろうかと
思います。