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AMとPM

AMとPM コンビニエンスストアの名前ではない。
午前や、午後という意味でもない。
不動産の流動化において、必ずと言って良いほど
出現するプレイヤーである。
AMとは、アセットマネージャーで
PMとは、プロパティマネージャーである。

以前、この両者の違いがわかっていなくて
混乱したものである。

分かりやすく言えば、PMとは、不動産の日常管理業務を
する者であり、マンションで言えば、管理人さんの
業務が近いものと思う。
一方、AMとは、不動産の改修計画を立案したり、
テナントを誘致するための企画をしたりする者である。

PM業者は、どちたかと言えば、定められたことを
粛々とするのに対し、AM業者は、積極的に不動産に
関与して、不動産のバリューアップに携わる者と
言えよう。

報酬のもらう順序も、AMとPMでは異なる。
PM業者は、賃料収入から直接報酬をもらえることが多く
AM業者は、PM業者や信託銀行の報酬等を支払った後に
報酬がもらえることが多い。

というのは、PM業者のしている日常業務は、不動産の
維持には不可欠なことであり、賃料から真っ先に
もらえるようにしておくべきものであるからでしょう。
一方で、AM業者の業務は、どちらかと言えば、成功報酬的な
要素があるため、他の費用から劣後してもらえるものなっている。

実際は、同じ会社が、A物件では、PM業者となり
B物件では、AM業者になるなど、キッチリ住み分けが
出来ているわけではない。

なぜ、このようにAMとPMについて長々と書いてきたかと
言えば、オリジネーター(不動産のもともとの所有者)の
会計上のオフバランス処理において、オリジネーターが
AMであるか、PMであるかが大きな影響を及ぼすからである。

そのため、その会社は、AM業者なのかPM業者なのかの
判定は、重要になるケースがある。
会計上のオフバランスについては、次回以降に
もうすこし突っ込んで書きます。

流動化、証券化での中間法人の役割

最近の流動化や証券化での資金調達の
広がりにより、これらの業務に携わるプレイヤーの数が
増えたことは間違いない。
ただ、流動化、証券化で使われるビークルの役割を
十分に理解されていないプレイヤーも、結構いらっしゃる
ことを最近気がついた。

これは、大阪という流動化プレイヤーが東京よりも
圧倒的に少ないことも原因であると思うが、プレイヤーの
増加だけでなく、流動化・証券化の書籍があっても
難解なものが多いのも要因のひとつと思う。

そこで、流動化・証券化での中間法人の役割について
お話したいと思います。
オリジネーターが資産を譲渡する相手先となるSPCは、
オリジネーターが、出資して設立すれば、オリジネーターの
100%子会社となってしまいます。
その場合、万が一、オリジネーターが倒産等した場合、
その子会社であるSPCは、清算手続きに入ってしまうことと
なる。そうすると、SPCは直ちに譲り受けた資産を処分することと
なり、流動化・証券化で予定していたスケジュールよりも
早期に終了することとなる。
また、清算手続きで資産を処分した場合、一般的には
安く処分することになるので、流動化・証券化による資産を
担保とする債権者又は投資家は損失を被ることとなる。

そうならないようにするために、SPCをオリジネーターを
含めて、どの会社の子会社とならないような仕組みを
作るため中間法人が利用される。
順序としては、オリジネーターが中間法人を設立し
中間法人がSPCを設立する。ならば、SPCはオリジネーターの
孫会社であり、子会社と大きく変わらないのではと思われる
かもしれない。
実は、そうなるのではなく、オリジネーターが中間法人を
設立する際、基金(会社の資本金に相当するもの)を拠出するが
オリジネーターは中間法人に関して、議決権を全く持たない
仕組みとなっている。これがミソである。

通常、法人設立の際、資本金を拠出すれば、株主となり
議決権を持つこととなる。つまり、お金と議決権は
切り離すことができないものである。
一方で、中間法人法では、お金を出したからと言って
議決権が必ずついてくるとは限らないのである。
その結果、オリジネーターにとって、中間法人は
子会社(正しくは、子法人?)とはならないのである。

ちなみに、SPCの資本金を提供している中間法人からみれば
SPCは、中間法人の子会社である。
長々と書いてきたが、中間法人は、オリジネーターとSPCとの
絶縁体のような役割を果たしていると思っていただければ
言いと思います。

不動産鑑定士 研修を終えて

先週 1週間 東京にて不動産鑑定の研修を無事に終えることができた。
昨年12月の同様の1週間の研修を含めて、東京での研修は、これが最後になると思う。
合計2週間の研修を受けて感じたことは、これで、一通りの不動産鑑定の実務を
見ることができた。
もちろん、普段から不動産鑑定の実務をされている方から見れば、あたり前のことで
あろうが、実務経験の乏しい僕とすれば、大変有益な研修であった。

不動産鑑定の実務について、まだまだ未確定なところもあろうが、
僕が今までの研修を通じて、疑問に感じたことは、次のことである。

収益還元法や、DCF法で、収益を算定する際に、収益物件であれば
大家は敷金や保証金を受取ることとなり、これらの運用益や
償却益を収益として算定することとなる。
この運用益の算定方法について、違和感がある。
というのは、一般に不動産鑑定では、敷金のような預り金の
年利5%で運用できるとして、運用益を計上することが
一般的なことである。
ご存知のとおり、わが国の金利情勢で5%での運用というのは
極めて難しい環境にあり、このような計算は、経済実態からは
乖離していると思う。
もう少し、この辺を経済情勢に合わせてものにできないものかと思う。

ではなぜ、このような高い利率で計算されるのかというと
不動産鑑定士の主要業務のひとつである地価公示の作業では
5%の運用利回りを用いることが、一般的であり、それ以外の
不動産鑑定の実務でも、この利回りを用いることが通常であるからでる。

つまり、地価公示での鑑定作業が、それ以外での鑑定評価実務でも
広く使われていることにある。

果たして、このような方法で、いいのかどうかは、今後の
実務を通じて考えていきたいと思うし、コメントしていきたいと
思う。

不動産鑑定士への道

昨年より不動産鑑定士となるための実務演習を受けている。
というのは、随分昔のことになるが、平成11年に不動産鑑定士試験に
合格したが、その後、実務経験を受けずにいたためである。

では、なぜ不動産鑑定士の実務を受けていなかったといえば
当時は、鑑定実務を受け入れてもらえる鑑定事務所が
なかったのである。
今は、不動産投資がブームになっていることもあり
不動産鑑定士試験合格者は、引く手あまたと聞くが
平成11年当時は、今とは全く逆の状態であった。

過去のことはさておき、試験合格から約8年経て、不動産鑑定士への
道が開かれたことは、個人的には大変うれしく思っている。
これも、規制緩和の一環と思う。例えば、弁護士や会計士の合格者数が
増えて、資格取得者を増やそうとする傾向が、不動産鑑定士の資格制度にも
大きく影響していると思う。

たまたま、僕は、公認会計士と税理士資格を持っていることから、両資格と
比べて、不動産鑑定士試験制度について触れてみたいと思います。
不動産鑑定士の場合、お客さんが、国や地方公共団体であることが
多く、これらが顔を見ながらの仕事をされるスタンスが強い
気がする。具体的には、毎年行われている地価公示による
計算方法に縛られて、鑑定評価の作業を進めている。
当然、地価公示価格と鑑定評価はリンクさせなければならないと
法律上定められているが、どうもその縛りの中で仕事をしているため
窮屈な感じがしてならない。

個人的には、今後順調に実務修習が進めば、2年後に晴れて
不動産鑑定士になれるが、もう少し、その点を、うまく
解きほぐして、仕事を進めたいと思っている。具体的には
まだ、どうするかは決めてませんが。。。。

不動産鑑定士への道

昨年より不動産鑑定士となるための実務演習を受けている。
というのは、随分昔のことになるが、平成11年に不動産鑑定士試験に
合格したが、その後、実務経験を受けずにいたためである。

では、なぜ不動産鑑定士の実務を受けていなかったといえば
当時は、鑑定実務を受け入れてもらえる鑑定事務所が
なかったのである。
今は、不動産投資がブームになっていることもあり
不動産鑑定士試験合格者は、引く手あまたと聞くが
平成11年当時は、今とは全く逆の状態であった。

過去のことはさておき、試験合格から約8年経て、不動産鑑定士への
道が開かれたことは、個人的には大変うれしく思っている。
これも、規制緩和の一環と思う。例えば、弁護士や会計士の合格者数が
増えて、資格取得者を増やそうとする傾向が、不動産鑑定士の資格制度にも
大きく影響していると思う。

たまたま、僕は、公認会計士と税理士資格を持っていることから、両資格と
比べて、不動産鑑定士試験制度について触れてみたいと思います。
不動産鑑定士の場合、お客さんが、国や地方公共団体であることが
多く、これらが顔を見ながらの仕事をされるスタンスが強い
気がする。具体的には、毎年行われている地価公示による
計算方法に縛られて、鑑定評価の作業を進めている。
当然、地価公示価格と鑑定評価はリンクさせなければならないと
法律上定められているが、どうもその縛りの中で仕事をしているため
窮屈な感じがしてならない。

個人的には、今後順調に実務修習が進めば、2年後に晴れて
不動産鑑定士になれるが、もう少し、その点を、うまく
解きほぐして、仕事を進めたいと思っている。具体的には
まだ、どうするかは決めてませんが。。。。

SPC利用が増えた理由(4)

これまで、SPC利用のメリットについて書いていたが
今度は、デメリットについて書いてみる。

SPCを利用した資金調達は、貸手(レンダー)と借手だけでなく
信託銀行(必須ではない)、アレンジャー、アセットマネージャー
弁護士、会計士等が関わるため、コスト的に高くなることや
関係者間での意見調整が必要となり、時間的にも余分に
要することが多い。

特に、最近では会計上の問題として、ライブドアや日興証券の
事件の影響もあり、SPCを非連結子会社とすることが
難しくなってきており、SPC利用のメリットととして
挙げていたオフバランス処理のハードルが高くなって
いることも事実である。

また、信託受託の際の、審査においても、物件の遵法性や
場合によっては、オフバランス処理できるか否かにまで
問うケースもあり、こちらの面からもハードルが高くなって
きている。
(SPCによる資金調達で、信託を利用する理由については
 後日、解説いたします。)

SPCを利用した不動産流動化は、かつての冷え切った不動産市場を活性化する
ための大きな役割を果たしたことは間違いないが
最近では、上述のような様々な規制により、不動産流動化が
沈静化するのではないかとも思える。

私は、日本の不動産市場は、最近かなり上昇したので
そろそろ頂上に達しているのではと思っている。
そういった意味では、不動産流動化案件は、今後は
従来のような、急速な伸びはないのではないかと思っている。

ただ、海外から見れば日本の不動産市場はまだ、相対的に
低い水準にあり、海外からの投資家から見れば、
まだ魅力ある市場なのかもしれません。

SPCを利用した資金調達は、ひとつの資金調達手法として
確立されたものであることは、間違いないと思います。

SPC利用が増えた理由(3)

SPCを利用した資金調達のメリットには
他にもある。

SPCを利用した場合、資金を提供する者の多様なニーズに対応することが出来る。
具体的には、SPCへのノンリコースローンには、ローリスクローリターンを
求めるシニアローン(一般に銀行が貸手となる)と
ミドルリスクミドルリターンを求めるメザニンローン(一般にノンバンクと
言われるものが貸手となる。)と
ハイリスクハイリターンのエクイティ(オリジネーターや投資家が投資する。)
という仕組みを作り出すことが出来る。

つまり、多様なニーズをSPCという器を利用することで、ひとつに集約することが
できることとなる。これも大きなメリットと考えている。
また、SPC利用によって、資産を切り離すことで、それぞれの当事者の
リスク負担の最大値が確定している。言い換えれば、万が一のことが
発生してSPCが保有する資産が毀損した場合の損失負担割合も予め、決められている。

昭和末期から平成初期の頃、不動産融資といえば、コーポレートローンが
主体であった。コーポレートローンの場合、借手や保証人にまで遡及できるが故に
不動産の担保価値がローン金額から大きく割り込んでも、担保処分が進まず
不良債権となって、日本経済を停滞させてことは、皆さんもご存知のとおりかと
思います。

ノンリコースローンの場合、通常毎年不動産価値のモニタリングをしており
価値が一定以下になった場合、自動的に処分活動が進むこととなっている。
そういった意味では、コーポレートローンと比べれば、優れていると
言えると思っている。

SPC利用が増えた理由(2)

SPC利用が増えた理由として、新しい資金調達という
ものの他に、大きな理由として資産をオフバランスできるという
ことがあります。

具体的に説明しますと、不動産開発会社が、コーポレートファイナンスの
場合、自社で資金を借り入れるなどして資金を調達し
不動産を自社のバランスシートに計上します。

開発が終了し、売却をすれば、開発利益が残る仕組みですが
この場合、開発期間中のバランスシートが、資産・負債が両ふくらみと
なってしまいます。

SPCを利用した場合、不動産開発会社のバランスシートを
膨らませることなく、不動産開発会社は、SPCへ開発総額の
一部を投資するのみで、開発利益を得ることができます。

最近の不動産の開発プロジェクトでは、この手法が多様されました。
ただ、この手法を利用するには、SPCが不動産開発会社の
連結子会社にならないという大前提があります。
なぜなら、もし連結子会社になれば、連結決算上では資産・負債を
オフバランスできず、SPC利用のメリットのひとつが活かせない
こととなります。

SPC利用が増えた理由(1)

SPCを利用した資金調達を、ストラクチャーズドファイナンスといい
銀行のローンで言えば、ノンリコースローンというローンを利用する。
ノンリコースローンを理解するには、コーポレートローンと比較すれば
分かりやすい。

ノンリースローンとは、ノンリコース つまり「借手の全資産にまで遡及しない」
専門的な言葉で言えば、責任財産限定特約がついているローンである。
貸手からすれば、責任財産の価値を評価して、ローンを提供するものである。

一方で、コーポレートローンは、借手の全財産にまで遡及できるローンであり、
借手の信用力をよりどころととするローンである。

ノンリコースローンを実行するには、担保となる資産だけを切り出す必要がある。
そのため、SPC(特別目的会社)を利用して、資産だけを切り出し、貸手はSPCに
対してノンリコースローンを実行している。

ノンリコースローンのメリットは、例えば、信用力の低い会社が
優良な資産を保有している場合、会社の信用力から切り離して資金調達が
できることである。最近数年では、不動産市場が好調なこともあり
不動産開発において、この手法による資金調達が多く実行された。

事務所のご案内

淀屋橋総合事務所を開設して、はや3年経過しようとしている。
この事務所は、大阪に拠点を置く、投資銀行業務をサポートする
会計事務所というコンセプトで開設しました。

開業当初は、こんな事務所でやっていけるかと思っていたが
この3年間を振り返ってみれば、まずまずの出来だったと思う。

東京では、淀屋橋総合事務所のような事務所は、数多くあるが
大阪では、投資銀行業務のマーケットが小さいこともあり
数少ない事務所のひとつと思っている。

これからも、事務所のコンセプトを大切に、皆様に
役立つ事務所でありたいと思っている。