信託決算書とインボイス制度

昨年10月より開始したインボイス制度が、導入から5ヶ月
程度経過しました。
インボイス制度の実務も、進んでいると思います。

SPC案件の場合、不動産を信託受益権化するケースが
多くあります。信託を通じたインボイス(適格請求書)の
提供方法は、信託銀行によって、違いがあります。

いわゆる大手の財閥系の信託銀行は、信託決算毎に
インボイス取引の明細や計算書を作成し、取引先や
登録番号等をまとめたものが、提出されます。

インボイス制度での立替金の精算書に近いイメージの
取引明細が提出されます。
信託銀行としては、従来作成が不要であった書類を
別途、作成することになり手間が増えると思います。

計算書にはすべての課税仕入取引が記載されるものでは
ありません。
例えば、テナントから回収した賃料から、仲介手数料に
相当する『広告費』を控除されている場合、広告費を
信託銀行が作成する『計算書』に掲載されていないケースが
あります。

このような取引は、別途、AM業者やPM業者を通じて
広告費の『適格請求書』を入手しなければなりません。

財閥系ではない信託銀行では、入手した適格請求書の
写しを、そのまま提出するところもあります。
こちらの方が、受託者側で別途、計算書を作成しない分
手間が省けますが、信託取引が多いと、提出する
適格請求書の通数も多くなります。

このように、インボイス制度開始により、請求書の
チェックなど、経理事務に手数が増えていることに
間違いはありません。

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 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階

   税理士法人 淀屋橋総合会計

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切手購入代金の消費税計上時期

担当しておりますSPCで
切手代の消費税についてのご質問がありました。

切手購入時の領収書には
『消費税非課税』と記載されておりますが
郵送した場合の領収書には
『課税』と記載がありますが
消費税計上はどうしたらよいのでしょうか
というご質問でした。

これは本来ですと
切手購入時には
貯蔵品(課税対象外)70円 / 現金 70円

切手使用時には
通信費(課税仕入)70円 / 貯蔵品(課税対象外)70円

となるものを
郵便切手を使用することを目的に継続して購入している場合は

通信費(課税仕入)70円 / 現金 70円
と、切手購入時に課税仕入(仕入税額控除)とすることを
特例で認めています。
(消費税法基本通達11-3-7)
第3節 課税仕入れ等の時期|国税庁 (nta.go.jp)

切手購入時には郵送というサービスを受けていないので
消費税が対象外となっています。

またインボイス制度開始後
郵便切手は適格請求書の交付義務免除の対象です。

事業上適格請求書の交付が難しいものについては
適格請求書の交付義務が免除されるからです。

一定の事項を記載した帳簿を保存すれば
切手代を負担した者は仕入税額控除が可能となります。

切手代は少額な取引ですが
ひも解いていくと奥深い論点があります。

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インボイス制度とは

2023年10月より、インボイス制度が開始します。

この制度は、消費税の計算の際、
取引先から『登録番号』等の記載ある『適格請求書』を入手し、
保存しなければならないと改正されました。

この『適格請求書』を発行する事業者は、
事前に税務署に『登録』が必要で、
登録されると国税庁のホームページに掲載され、
登録された事業者であるか否かも、
容易に判定できるようになります。

『適格請求書』の発行事業者は、
消費税の課税事業者となり、
消費税申告をする事業者であります。

これによって、従来、年間売上高が
1000万円に満たない小規模事業者は、
取引先に消費税を請求しても、
消費税申告・納税をしないで、
消費税分が利益となるいわゆる『益税』となっていたものを
解消することがこの制度のポイントです。

『適格請求書』を発行しない事業者の場合、
相手先はその事業者に支払った消費税を
仕入税額控除(以下、『仕入控除』)出来ず、税負担が増えます。
そのため、制度開始後は取引価格や取引継続にも
影響を及ぼすことが予想されます。

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