淀屋橋総合会計のブログ

不動産の金融商品化

最近の不動産価格の高騰の要因として
不動産の金融商品化といわれることが多い。
これは、J-REITや不動産ファンド等によって
金融市場からの資金が、不動産市場に
流入したため、不動産市場が活況になった
ことを指しているのだろう。

不動産を金融商品と見ることによって
従来は、不動産価格を近隣の相場価格で
決定していたところが、不動産の収益と
利回りで価格が決定することとなった。
(価格=収益÷利回り)
この変化を先取りした不動産業者で
利益を得た不動産業者も沢山いるであろう。

今のように低金利の金融市場のもとでは
例えば、5%の利回りを生む不動産は
金融商品として見れば、大変魅力ある商品と見える。

このような価値観の変化は、逆戻りすることは
ないと思う。とすれば、もし今後金利が上昇すれば
価格は下がるということになるが(↓価格=収益÷利回り↑)
実際のところは、どのようになるであろうか。

ただ、最近のインフレ傾向により、収益も↑なら
利回りの↑が、直ちに価格の↓にはならないが。

最高裁判所判事

前職の監査法人では、再生案件をいくつか
担当させていただいた。
今から5、6年ほど前で、破綻したゴルフ場や
当時の新聞をにぎわした巨額詐欺事件の調査
メンバーの一員として、仕事をした。

その時の、管財人である当時弁護士であった
田原先生とご一緒させていただく機会が多く
あった。

3年前に事務所を開業した際、それまで
仕事でお付き合いがあった弁護士さんへ挨拶に回った。
弁護士さんは忙しい方ばかりで、中には
約束を取り付けられなかったり、会っても
挨拶も数分で、終わったりするケースも多かった。

田原先生は、お忙しい中、時間を取っていただき
事務所の業務内容を、丁寧に聞いて下さった。
最後には、「(君の事務所を)宣伝しておいて
あげるよ。」とおっしゃった。
その言葉をもらった時に、大変勇気付けられたことを
今でも鮮明に記憶している。

田原先生は、私が監査法人に在職していた頃から、
最高裁判所の判事候補として上がっておられたことは
聞いていたが、昨年、最高裁判所の判事に就任された。

立派になられる方は、優秀とか博学というだけでなく、
人としての懐の深さというか、温かさも
持たれている人なのだと感じた。

リース会計基準変更の影響

リース会計基準が変更となった。
平成20年4月1日以降に締結するリース契約は
新会計基準が適用されることとなる。

改正内容を、簡単に言えば
リース資産の大半を資産計上し、対応する債務を
リース債務として計上しなければならなくなった。
この改正は、海外の会計基準では、リース契約している資産は
資産計上することが一般的であり、それに合わせるという
ことも要因の一つであろう。

そもそも、リース契約のメリットとして
 仝把蟷饂座翊等の作成が不要で、管理が楽
◆〇拿个靴織蝓璽肯舛鯀干杪散盻萢?任る。
 リース資産を資産計上しなくても良い
ぁ―?兒饂裟任凌醜陲不要
などがあるが、リース会計基準の変更により
´↓がなくなることとなる。

更に、減価償却費の計算方法が改正され
従来、取得価額の5%を残存価格として、償却
できなかったが、今後は、備忘価格1円以外は
全額償却することが可能となった。
そうすれば、資産を保有し、固定資産台帳に
計上していても、台帳価格のほぼ全額を
損金(償却)処理可能となり、リース契約のメリット△
低下することとなる。

そのため、リース会社も様々な対策をされていると思う。

回帰分析

先月、不動産鑑定士協会の
実務修習を受けた。その際、統計的手法の
講義があり、回帰分析についての解説が
あった。

回帰分析とは、例えば、身長と体重との標準的な
関係を、一次関数(例 y(体重)=aX(身長)+b)で
表せるように、ある数字と相関関係にある数字との
関係を式を利用して表現するものである。

不動産評価で、具体的に利用するには、
ある場所で、賃貸用マンション建設を計画する際、
賃料設定を検討するが、回帰分析によって
賃料を予想するというものである。

昨年受けた同様の修習では、住居系の賃料は
対象地の最寄駅からの距離と、最寄り駅の都心からの
時間という二つの変数で、ほとんど決定するという
講師からの話があった。

これは、不動産鑑定の実務では、賃料だけでなく
土地価格の決定の際にも利用できる。
具体的には、対象地の土地価格を検討する際、
土地価格に影響する要因
(駅距離、容積率、面積、前面道路幅員、方位等)と
土地価格との関係について、回帰分析をすれば
対象地の要因を入れれば、対象地の価格が
判明するということとなる。

この手法は、不動産投資にも利用できるかもしれません。
回帰分析をして、ある不動産の理論価格というか
あるべき価格を算出し、もしそれより低い価格で
売り出されておれば、購入すればよいということとなります。
ただし、ここでの投資の話は、理論上のことであり
実際の不動産取引においては、このようなことが
当てはまらないことも、よくあるかと思いますが。。。

企業経営に活かす流動化・証券化

打出の小槌ではなく、更にコストが
かかる流動化・証券化を、企業経営にどのように
利用していくべきであろうか?
キーワードは、「シリーズ化」「パターン化」
「パッケージ化」ではないかと考えている。

コーポレートによる資金調達では、
自社のバランスシートが膨らむ分
借入限度額に達すれば、追加融資を受けられない
ことがある。
一方で、流動化・証券化によって、資産をオフバランス
できれば、追加融資を受けられることがある。

例えば、不動産開発業者が、1案件あたり5億円の
利益があがるとして、コーポレートローンの場合
年間2案件しかこなせないところ
流動化スキームを利用することで、3案件こなすことが
できれば、仮に1案件 0.5億円のコストが
発生しても、トータルの利益は
流動化の方が多くなる。

成長著しい不動産開発業者で、開発スピードを
求められる場合は、メリットがあるのでは
ないだろうか。

スピード化のためにも、「シリーズ化」や
「パッケージ化」「パターン化」は、不可欠では
ないだろうか。
もちろん、会計事務所である「淀屋橋総合事務所」
としても、その点を十分認識して
流動化のお手伝いをしている。

打出の小槌

不動産流動化・証券化を利用すれば「打出の小槌」
のように、お金が集まると思われている人がいる。
実際のところ、証券化によって、たくさんお金が
集まるようなことはないと考えた法が良い。

しいて言えば、財務内容が悪く、信用度の低い会社で
あるが、優良な資産を持っている場合では
SPCによって、優良資産だけを切り取ることができれば
通常のコーポレートローンより、多く資金調達できると
考えられる。

一般に、流動化・証券化をはじめて経験される方は
「打出の小槌」のようであるという誤解というか
過度な期待をもたれていることがある。

また、流動化・証券化には、通常のコーポレートローンより
コストが余分にかかることが多い。
後述した優良資産のみを切り出すためには、法律的に
また財務的に、切り取る作業が必要で、それを維持して
いかなければならないからである。

このコストについても、はじめて経験される方は
驚かれることが多い。
それでは、なぜ、コストをかけてまで、流動化・証券化を
するのだろうか?
また、なぜ、流動化・証券化が広がったのであろうか?

投資銀行業務

投資銀行という言葉を最近よく耳にする。
今から7~8年ほど前に、ゴールドマンサックス証券の
方が、一般の人に自社を説明する際に、
当社は、会社名に「証券」とありますが、日本でいう
証券会社とは、異なる会社で、「投資銀行」というもの
ですと説明されたことを覚えている。
一般の人には、あまりなじみのない言葉で
理解された人は少なかったのではないかと思った。

われわれが一般にいう銀行とは、一般の人々から
預金という元本保証というかたちで資金を調達し
それをもって、貸付けることを業務としている会社と
理解する。その場合、貸付先には、担保提供を求め
また、その評価に掛け目という一定の率をかけて
貸し倒れることがないようにする。

つまり、リスクの高いところには、貸付をしない、
もしするとしても、担保を取って、貸倒が発生しない
ような融資形態を取る。

ところが、そんなリスクのないような融資形態では
融資できる対象は限られてくるし、そのリターンも
多くはとれないのである。
一方で、投資銀行業務とは、例えば
プロジェクトファイナンスや、ノンリコースローンと
いった融資形態の場合、リスクは高くなるが
多くのリターンを求めることができる。
これは、収益性の高いビジネスであるため、最近の
大手銀行は、投資銀行業務に注力するように
なった。
当然にリスクが高い融資の場合、リスク判定には
ノウハウが必要であり、リスクを低減するために
様々な手法を用いることとなる。
その手法の1つが、SPCを用いた資金調達である。

5%ルール

不動産の流動化において、オリジネーター(もともとの所有者)が
SPCに不動産を譲渡した場合、オリジネーターが
負担するリスク負担割合がおおむね5%以下
であればオフバランスしても良いという
ルールである。

まず、おおむね5%と言っているが、通常は
5%以下ということが多い。
リスク負担割合というのは、昨日のブログの
フローチャート図にもあるが、譲渡した不動産の
譲渡した時の時価(一般に譲渡価格を採用する)
に対する、オリジネーターが負担するリスク金額
(一般にはSPCに対するエクイティ出資金額)の
割合のことをいう。

ただ、最近ではこの5%ルールよりも高い基準を
設定している監査法人が多い。これは特に
大手の監査法人が多い。
具体的には、6月27日に掲載した投資事業組合の
子会社判定のフローチャートにある
「利益又は損失の過半を享受する者は、
 投資事業組合を子会社と判定する」という
規定を援用して、エクイティ出資の過半を
オリジネーターが出資すれば、オフバランス処理を
認めないということである。

つまり、5%ルールとあわせて適用して、
5%の過半である2.5%を超えるリスク負担を
した場合、オフバランス処理を認めないという
ものである。
ちなみに米国の会計基準では、この基準を
採用されている。

また、他のケースでは、過半ではなく
15%つまり5%ルールとあわせて、5%×15%=0.75%
しか負担してはならないという大手監査法人の
見解も聞いたことがある。

これが、まさに監査法人ごとの温度差であり
基準が明確にされていない現時点での
混乱の要因の一つではないだろうか。

監査法人ごとの温度差

イメージ 1

SPCに対する会計処理に関するスタンスは
監査法人や担当者ごとに異なることが多い。
これは、SPCに関する会計基準が改正の動きがあるが
(恐らく、今年又は今年度末までに作成されると思う。)
現段階では、明らかでないことが一つの要因であろう。

会計士というものは、基本的には会計処理を保守的に
考える傾向がある。というのは、会計監査というものは
失敗がないことが当たり前で、もし失敗があれば
大問題となることが、多いためである。

そのため、SPCというだけで、頭からオフバランスはダメという
会計士が多い。
しかし、その場合、ストラクチャーの概要や契約書ドラフト等を
見て、判断しているというより、SPCというだけで
ややこしいものと考えてで、「実質的に判断して」という
抽象的な理由で、オフバランスを認めていないことも
多いのではないでしょうか?
契約書を見て、明確に指摘にて、明確にオフバランスを否定している
と聞いたことはない。

監査法人の担当者からすれば、オフバランスはダメですよと
言っておいた方が楽なケースが多い。その時には
「実質的に判断して」という言葉が、非常に便利なのである。

ちなみに大阪地区でのオブバランス処理に関する温度差順に
大手監査法人を並べると
 .函璽泪
◆,△困
 新日本

という順序ではないだろうか。

トーマツの監査は厳格であるという定評があるが、
これは、創業者の影響が大きいのではないかと思う。
ご存知の方は少ないと思うが、トーマツとは
「等松さん」という創業者の名前が由来している。

創業者は元々軍人であったらしく、その辺から
監査での厳格さが影響しているのはないかと思う。

新日本というのは、太田昭和とセンチュリーが
合併してできた監査法人である。太田昭和の太田は
日本で初めて監査法人をつくった太田哲三さん
の名前が由来している。

事務所のカルチャーとしては、財閥系大手企業の
関与先が多く、おぼっちゃん的な空気が
蔓延しているのではないかと思う。

いずれにせよ、会計処理に関して監査法人ごとに
温度差があることは、本来あってはならないことであり
将来的には、一つの方向に収束していく事が
望まれることである。

会計上のオフバランス処理条件

イメージ 1

SPCを利用しての資金調達のメリットとして
資産を切り離す(オフバランス処理)できることは
以前、申し上げたとおりである。
そのための条件としていくつかあるが、SPCが
オリジネーターの連結子会社に、該当しないという
条件がある。

「中間法人の役割」で、中間法人によってSPCは、オリジネーターの
孫会社にはならないと書きました。つまり議決権ベースで考える限り
SPCは、オリジネーターから切り離されていることとなる。

ところが、実質的な支配がオリジネーターからSPCに及ぶ場合
子会社として認定されることとなる。
この、「実質的な」という意味が抽象的であり、各監査法人ごと
また、同一監査法人内でも、担当者によって見解がことなる
ことが多い。

一般的な見解としては、昨日書いたAM業務を、オリジネーターが担当する場合
支配が及ぶと考えられている。
これは、昨年9月に 企業会計基準委員会(ASBJ)より公表された
「投資事業組合に関する支配力基準及び影響力基準の適用に関する
実務上の取扱い」において投資事業組合に関する子会社の判定
フローチャートI(上記のフローチャートを参照して下さい)で、
△竜述が、AM業務を担当する会社は、
その投資事業組合を子会社と判定するとされたためである。

この基準は、ライブドア事件により投資事業組合に関する
会計基準を整備した一環で作成されたものである。
あくまで、この基準は、投資事業組合に関する会計基準であり
SPCに関する会計基準ではない。
そういった意味では、AM業務をする会社は、直ちにSPCを
連結子会社とする会計基準はないということが正しいといえる。
しかし、現実としては、投資事業組合の会計基準を
準用して、オリジネーターがAM業務を行えば、連結子会社と
判定するケースが多い。

そのため、AM業務担当会社はどこで、PM業務会社はどこであるかは
会計上のオフバランス処理判定のポイントとなるのである。