定率法とは
JUGEMテーマ:会計・経理・財務
ある顧問先様の当期の固定資産台帳を見直しておりました。
決算は数ヶ月先ですが、
決算時期になりますとバタバタしてしまいますので
今のうちにと思い…
顧問先様に限らず、多くの企業様は
減価償却の方法に、定額法、定率法を広く採用なさっています。
そのうち、定率法の内容を私自身の再確認も兼ねまして
ご紹介させていただきたいと思います。
(ご紹介前に…現在、定率法は、
機械、車両、工具器具備品等に採用可能であり、
建物、附属設備、構築物には定額法しか採用できませんので
ご注意ください)
現在、税法上での定率法は以下のように3通りの方法がございます。
・旧定率法
・250%定率法
・200%定率法
Yes
平成19年3月31日までに取得 ーーーーー→ 旧定率法
No ↓ Yes
平成24年3月31日までに取得 ーーーーー→ 250%旧定率法
No ↓
200%定率法
今回は紙面の都合上、
250%定率法と200%定率法の償却方法について
ご説明させていただきたいと思います。
双方とも減価償却費の計算方法は類似しており、
償却率のみが異なっております。
250%定率法 → 耐用年数省令別表第9(以下、別表9)の償却率
200%定率法 → 耐用年数省令別表第10(以下、別表10)の償却率
減価償却費の計上初年度からの算式は
減価償却費 = 期首帳簿価額(未償却残高)× 償却率 |
耐用年数の後半に
減価償却費が「償却保証額」を下回りましたら
減価償却費 = 改定取得価額 × 改定償却率 |
(上記の算式は、減価償却費が償却保証額を下回った事業年度以降
減価償却費の計上最終年度まで適用されます)
「償却保証額」とは、
取得価額に保証率を乗じた金額です。
「改定取得価額」とは、減価償却費が「償却保証額」を下回った事業年度の
期首簿価を指します。
(「改定償却率」「保証率」とも別表9または別表10に記載されております)
イメージとしましては、
耐用年数前半(減価償却費>償却保証額)は定率法
耐用年数後半(減価償却費<償却保証額)は定額法
と考えるとわかりやすいでしょうか・・・
200%定率法の計算例を示してみますと、
(250%定率法は200%定率法の計算方法と同様のため
省略させていただきます)
取得価額 1,000,000円
耐用年数 10年
償却率 0.2
改定償却率 0.25
保証率 0.06552 → 償却保証額 1,000,000 × 0.06552 = 65,520円
7年目になりますと、減価償却費は償却保証額65,520円を
下回りますので、7年目以降は、
減価償却費 = 改定取得価額 × 改定償却率
65,536 = 262,144 × 0.25
ただし、10年目の減価償却費は、
1円を備忘価額として残し、差額が減価償却費となります。
【 2 0 0 % 定 率 法 の 場 合 】【 2 5 0 % 定 率 法 の 場 合 】
経過 年数 |
期首簿価 | 減価償却費 | 改定償却後の
減価償却費 |
期首簿価 | 減価償却費 | 改定償却後の
減価償却費 |
1年 | 1,000,000 | 200,000 | 1,000,000 | 250,000 | ||
2年 | 800,000 | 160,000 | 750,000 | 187,500 | ||
3年 | 640,000 | 128,000 | 562,500 | 140,625 | ||
4年 | 512,000 | 102,400 | 421,875 | 105,468 | ||
5年 | 409,600 | 81,920 | 316,407 | 79,101 | ||
6年 | 327,680 | 65,536 | 237,306 | 59,326 | ||
7年 | 262,144 | 65,536 | 177,980 | 44,495 | ||
8年 | 196,608 | 65,536 | 133,485 | 44,583 | ||
9年 | 131,072 | 65,536 | 88,902 | 44,583 | ||
10年 | 65,536 | 65,535 | 44,319 | 44,318 |
上記の表で現行の200%定率法と
以前の250%定率法を比較してみました。
10年間のトータルの減価償却費は同額ですが、
耐用年数初期では、200%定率法の方が250%定率法より
減価償却費は少額となっております。
その分費用の計上が少なくなり、
結果、増税になります。
購入資産の早期費用化という観点からは
以前の250%定率法の方が
有難い方法でしたが…
以上、簡単ではございますが、
定率法につきましてご説明させていただきました。
余談ですが、固定資産台帳のソフトによっては全て自動計算なされず、
改定償却時の改定取得価額は自分自身で
入力しなければいけないなど、そのようなこともございますので、
今回の記事が少しでもお役にたてましたら幸いです。
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