決算期の変更で節税!
よく知られているように、個人事業の場合は、
1月1日から12月31日を決算期としなければなりませんが、
会社は決算期を自由に選ぶことができます。
1年を超える期間にすることはできませんが、
6ヶ月ごとや3ヶ月ごとに決算をするのも自由です。
ただ、事務手続作業が煩雑になり、申告費用がかさむので、
大半の会社は、事業年度を1年にしています。
決算期をどうするかは、会社設立時に決めますが、
その後も自由に変更可能です。
先日、ある顧問先様が決算期の変更をすることになり、
お手続きさせていただきました。
この顧問先様は不動産業をされています。
駅前でよく見かける不動産屋さんのようにコンスタントに仲介手数料が入るわけではなく、
毎月決まった売上は、賃料や管理料で、数百万円です。
でも、ひとたび大きな物件を手掛けると一度に何千万円かの仲介手数料が入ってきたり、
何億円かの物件売却益が手に入ったりします。
月ごとでなく、年ごとで見ても売上高も利益も大きな波があるのが特徴です。
コンスタントに毎月同程度の売上があり、仕入や利益も毎月ほぼ同じという会社には
あまり効果がありませんが、
決算期の変更は、この顧問先様にはぴったりの節税法でした。
というのも、この顧問先様は、決算期間際に大きな契約がまとまって
大きな利益が出そうな状況になったのです。
このままでは、利益の3割以上が納税ですぐになくなってしまいます。
そこで、節税のために決算期を2ヶ月早めることにしました。
契約が成立してからでは、入金がなくとも「未収入金」として売上を計上しなくてはいけないので、
相手先が購入を決定する前の、検討している段階で決算期を迎えることにしたのです。
そうすれば、その大きな売上は来期の売上にすることができます。
来期にしても、その物件の売却から得られる利益は同じなので、
納税額が大きくなるのに変わりはないと思われるかもしれませんが、
場合によっては、他の条件が同じでも決算期の変更だけで節税になることがあります。
中小企業の場合、所得の800万円までは、軽減税率が適用され、税率が低いからです。
例えば
1年目の利益が1600万円で2年目が0円だった場合(ケース①)と
1年目も2年目も利益が800万円だった場合(ケース②)
を比べるとトータルの利益は同じ1600万円ですが、
ケース①は、利益のうち800万円には23.4%(平成29年度の場合)の法人税率が適用されるのに対し、
ケース②は、すべての利益に15%の法人税率が適用されるので、トータルの税額は安くなります。
(これは、中小法人の場合です。)
また、決算間際にできる節税策は限られていますが、
1年あれば様々な節税対策をとり、利益を圧縮することが可能です。
何より、納税が1年延びれば資金繰りがかなり楽になります。
決算が1年延びれば、納税も1年延び、1年間は手元資金に余裕ができます。
手続きはごく簡単です。
①臨時株主総会で決算期の変更を決議する。
②定款を変更する。
③管轄の税務署・府県・市に届ける。
定款を変更しても公証人に認証してもらう必要もなければ
法務局で登記をする必要もありません。
今回の節税案は所長の提案でしたが、
私も経験を積み、知識を増やし、顧問先様に最適な提案ができるように精進いたします。
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