7月 2008アーカイブ

不動産の時価会計の大枠

既に、導入済みの減損会計
賃貸等不動産の時価評価会計、資産除去債務の会計
リース会計により、不動産に関する
時価会計制度が一通り、揃うことになります。

いろいろな会計制度があり、少し整理してみます。

 )楸箸僕?僂靴討い詈殕不動産(本社、店舗、工場、営業所)
  は、減損会計の対象となります。
  減損会計では、損失計上はあっても、利益計上は
  ありえません。事業用不動産ですので、事業活動を
  通じて、利益を得るために、保有しているからでしょう。

◆”堝飴困鯏蟷顱淵ぅ鵐ムゲイン、又はキャピタルゲイン)
  目的で保有してあれば、これは
  賃貸等不動産の時価会計の対象となります。
  この会計では、利益計上もあれば、損失計上も
  あります。この点は、減損会計と大きな差でしょう。

リース会計により、従来ではオフバランス処理していた
リース試算も、オンバランスされるようになり
上記の,泙燭蓮↓△梁仂櫃箸覆觧饂困増えました。

資産除去債務会計では、従来では潜在的にしか
会計上認識されていなかった、土壌汚染除去費用
アスベスト除去費用、定期借地契約での契約満了時の
建物除去費用等を、認識しなければならなくなりました。

企業から見れば、保有する不動産の種類(事業用、投資用)に
応じて、会計上のリスクへの対応が求められることと
なります。
また、内部統制において、これらの資産に対する
リスク管理体制も求められることでしょう。

正常価格と特定価格

不動産鑑定では、鑑定評価額の
種類として、正常価格、特定価格、限定価格、特殊価格の
4種類がある。

そのなかでも比較的目にするのが、正常価格と
特定価格のため両者の関係について
説明しておきます。

正常価格というのは、特段の条件設定もない
前提での市場価格で、標準的な価格です。

一方、特定価格は、法令等の要請で
正常価格での前提条件を満たさない場合の
価格です。
一般に、不動産を証券化する際の
鑑定評価では、DCF法による価格を
鑑定評価額とすることから
(正常価格であれば、DCF法だけでなく、積算価格や
比準価格も考慮するので)
特定価格とすることが、あります。

しかし、証券化におけるDCF法による鑑定評価額を
どの鑑定業者も、特定価格としているわけではなく
正常価格として評価書を作成しているケースも
見られます。
これは、特定価格と表記すれば、正常価格との
関係を説明しなければならないことや
証券化の対象不動産の場合、DCF法による価格が
まさに市場価格(=正常価格)であるため
だそうです。

この特定価格・正常価格の議論は、鑑定士の
中でもいろいろな考えがあるようですが
証券化における不動産鑑定評価額で
特定価格と正常価格との間で、大きな差は
ないものと思います。

賃貸等不動産の会計基準

賃貸等不動産の会計基準が
公開されました。

http://www.asb.or.jp/html/documents/exposure_draft/fudosan-kaiji/

減損会計導入時は、賃貸等不動産(投資不動産)について
対象外としていましたが、国際会計基準との
整合性のため、今回賃貸等不動産も基本的に
時価評価することとなりました。

導入時期は、H22年3月31日以降を最終事業年度末
とする年度末決算からとなります。
つまり、3月決算の場合、H22年3月31日
の決算から、12月決算の場合
H22年12月31日 決算からとなります。

賃貸等不動産と『等』がついた理由は、
賃貸に供している不動産だけが、その対象ではなく
開発予定の更地など、将来のキャピタルゲイン
目的で保有している不動産も、対象と
しているからです。

不動産投資会社の場合、自社又は
連結子会社に、賃貸不動産や開発用の更地を
沢山保有していると思います。
これらを基本的に時価評価することに
なろうかと思います。
一般に、不動産投資ファンドに組み込まれている
不動産は、レンダー等の要請により
1年に1度、不動産鑑定を取っているケースが
多いことから、それをそのまま使える
ことになるかと思います。

しかし、不動産鑑定の数値が、決算に
そのまま反映され、毎決算毎に数値を
見直すことから経理作業も、煩雑に
なることが予想されます。

時価評価数値は、当然のことながら
税務上は、損金や益金に算入されない
ことから、税務調整(自社で保有する場合)
が、必要なことも厄介なことと思います。

不動産会社の破綻

今年に入って、不動産関係の会社の
破綻が相次いでいます。
レイコフ、近藤産業、スルガコーポレーションなどなど
最近あった方との話では、関西地区で
今年中に、いくつかの破綻があるでしょうとの
ことです。

倒産隔離措置をとった、スツラクチャーに
組み入れられた不動産は、オリジネーターや
AM会社に破綻があっても、法的処理は
免れると思いますが、そうではない不動産に
ついては、法的処理の対象となり、売りたたかれる
ことになろうかと思います。

また、破綻した会社の不動産を狙っている
不動産会社もあることと思います。

しばらくは、厳しい経営環境が
継続することが、予想されることから
資金力のある会社とない会社では
差が出るでしょうし、場合によっては
生死を分けることもあろうかと思います。

路線価と実勢価格

先日、平成20年の路線価が公表されました。
新聞記事等によれば、都心部の上昇幅が
縮小されたようです。

路線価の基準日は、平成20年1月1日
ということから、昨年1月1日から今年の1月1日に
かけて、都心部では、地価の上昇があったという
ことです。

最近では、地価の下落が始まっているという
認識が広まりつつありますが、都心部で
地価上昇があったというのは、違和感が
あるかもしれませんが、路線価は、あくまで
今年の1月1日時点の評価というところに
要因がありそうです。

また、路線価などの公的評価の性質として
実勢価格から遅行して変動するところが
あることも、違和感の要因のひとつかもしれません。

一般に路線価は、対象地の標準的な地価である
公示価格の80%
となるように計算されています。

ただ、公示価格と実勢価格とは、乖離している
ことが、通常であり、路線価と実勢価格とは
直接結びつけるものはありません。

なお、路線価は、都心部を中心に
網羅的に価格を算出していることから
ある土地と他の土地との価格差を、検討する際に
参考になると思います。

今年度に入って、不動産に対する金融機関の
姿勢や需給動向から来年に、公表される
路線価は、今年のようには、ならないものと
予想されます。

四半期決算の導入とSPC経理

みなさん、ご承知の通り、上場会社は
四半期毎に決算を開示しなければ
ならなくなりました。
このため、上場会社の経理担当者や
監査法人の監査担当者は、従来よりも
前倒しで業務をしなければならなく
なりました。

四半期毎の決算といえども、経理担当者は
本決算に近い経理をしなければなりませんし
監査法人は、その決算を見て、期末監査ほどの
ことをしなくても、省略した形式の
監査(通常、レビューといいます。)を
しなければなりません。

その余波が、私どもの事務所にも
出てきています。
上場会社さんの連結子会社となるSPCの
経理業務を受けておりますが、その
経理作業のスケジュールを前倒しに
してほしいとの依頼を受けております。

事務所としては、対応可能なスケジュール
ですが、従来以上に迅速かつ正確な
作業が求められております。

監査法人の監査担当者も、年中監査を
しているようになっているようです。
私が、監査法人にいて監査をしていた
10年くらい前では、今ごろ(7月ごろ)は
比較的時間的に余裕のある時期でしたが
今は、そうはいかなくなって
きているようです。

企業に応じたCRE戦略がある

CRE戦略の書籍を見れば、実際の
CRE戦略の採用企業の例示が
出ています。
そこに、出てくる企業は、売上数兆円の
巨大企業(日産、東芝など)が多く出てきます。
そのような巨大企業のCRE事例は、参考に
なりますが、全ての企業に
そのままあてまめることはできないと
思います。
企業の背の丈にあったCRE戦略があると
思います。

CRE戦略の際に、不動産管理用ソフトの
導入事例が出てくることがあります。
代表的なソフトが、@プロパティというものです。

私どもの事務所でも、不動産ファンドの
経理処理のため@プロパティを使っています。
しかし、このソフトは、かなり詳細な機能を
備えていて、CRE戦略を導入する
全ての企業に、必要なものであるかと
いうとそうではないと思います。

恐らく、CRE戦略にあてって、専用ソフトを
導入すべき企業は、全体の中では
少数派になるものと思っております。

いずれにせよ企業の背の丈に応じた
CRE戦略があります。