休眠会社をSPCに利用する時の注意点

弊事務所が最近扱った案件で、数年間休眠

会社としていた法人を事業用SPCとして

利用するケースがありました。

この案件は、SPCが資金調達をして

再生可能エネルギー発電所を建設するという

ものです。

事業計画では、建設工事が完了すれば

建設代金に含まれる消費税を還付する前提で

作成されておりました。

弊事務所では、SPC設立時から関与しておりません

でしたが税務処理の検討を金融機関から受けました。

その際、重大なことに気が付きました。

それは、SPCは消費税の課税事業者の選択届を

出さずに、消費税還付を受ける事業計画を

作成していたのでした。

速やかに、課税事業者選択届を出して

工事が完了する翌事業年度以降は課税事業者に

なったので、還付を受けることができる状態に

なりました。

SPC案件では、過去にどのような届出書類を

税務署に提出していたか、確認することは

基本的で大変重要な手続きの1つです。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑
 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階
 税理士法人 淀屋橋総合会計
 http://www.yodoyabashisogo.com
❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

消費税課税事業者の選択届

最近、お取り扱いしたSPC案件で、次のような出来事がありました。
投資対象は、再生エネルギー発電所で、SPCは数年前に設立されておりました。最初は、事実上休眠状態で、法人税申告のみしておりました。

いよいよプロジェクトが稼働する段階になり、資金調達のため事業計画を作成し、関係者との条件交渉などを進めるようになりました。

弊事務所では、作成された事業計画の主に、税金面の検証作業を
することになりました。
その過程で、重大なことに気が付きました。

事業計画では、設備投資(発電所工事代金)に係る消費税は
設備が完成する翌年度に、還付を受ける前提で作成されておりました。

そのSPCの資本金は、200万円で株主にも、大きな会社はありません。
このままでは、免税業者で、消費税の還付を受けることは出来ません。

にもかかわらず、消費税が還付される前提で事業計画を
作成されておりました。

慌てて、課税事業者の選択届の提出を促し、設備の引渡しは
翌期であったため、設備投資の消費税還付は、可能となりました。

SPC案件では、消費税の扱いは、十分注意しなければ
事業計画の前提が大きく異なるケースがあるので、

⓵SPCの資本金
②SPCの株主構成
③SPCの売上高の推移
④SPCの税務署等への届出書類の状況
⑤SPCの過年度の税務申告書

などを確認して、今、SPCはどんな状態にあり、
どんな選択をすべきか、検証しなければなりません。

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

 大阪市中央区高麗橋4-3-7 北ビル7階

   税理士法人 淀屋橋総合会計

http://www.yodoyabashisogo.com

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

株式会社SPCと合同会社SPC


株式会社をSPCに採用した場合
取締役の任期は、原則2年で
株式の譲渡制限のある会社は
10年にまで延長することが出来ます。

一方で、合同会社をSPCにした場合
役員に相当する代表社員に
任期の定めはありません。

そのため、一旦、定めた代表社員を
変更しない限り、重任登記をする
必要はありません。

登記費用の負担や、重任登記漏れに
よる過料負担リスクの観点からは
合同会社の方が、SPCとして
利用するメリットがあります。

また、設立時のコストの面でも、
株式会社の場合は、
登録免許税が最低でも15万円かかるのに対し、
合同会社の場合、最低6万円からと
株式会社より9万円負担が少なくてすみますし、
定款の認証代の5万円も不要ですので、
合同会社の方がメリットがあります。

株式会社の方が、対外的に
信頼性が高いと言われることが
ありますが、昨今では、大手企業の
グループ会社で、合同会社を
利用しているケースもあり
実態は、大きな差がないものと思います。

売電SPCが負担する工事負担金の経理処理

工事負担金は、売電事業をするSPCが、
通電の為の送電設備を設置してもらうため、
電力会社に支払う工事代金です。
 
経済的には、売電事業者SPCが負担しますが、
設備の所有者は電力会社にあります。
 
売電事業者SPCが支払い時点では、建設仮勘定に計上し、
売電開始時点で、事業に供したこととなり、
繰延資産である工事負担金に振替え、同時に仮払い消費税も計上します。

工事負担金の償却期間は、
15年とする国税庁の質疑応答事例が公表されています。
 
「工事負担金・耐用年数」

合同会社の役員変更登記

JUGEMテーマ:会計・経理・財務

 

所有している合同会社の役員変更事例がありましたので、

ご紹介いたします。

 

役員が変わらなくても定期的に「役員重任登記」をしなくてはいけない株式会社と違って、

合同会社は役員が変わらなければ登記は不要ですが、

今回は役員増員でしたので、登記が必要となりました。

 

株式会社の役員変更登記はこれまでも何度か経験がありますが、

合同会社は初めてでしたので、やや戸惑う場面もありましたが、

所長や先輩スタッフが詳しいので助かりました。

 

まず、戸惑ったのは言葉の違いです。

株式会社の株主にあたるのは合同会社では、「社員」

取締役にあたるのは、「業務執行社員」といいます。

 

株式会社では、全く株式を持っていなくても取締役になれますが、

合同会社では、社員でなければ業務執行社員にはなれません。

業務執行社員になるには出資が必須です。

 

したがって、業務執行社員を追加する場合には、その社員が新たに出資をするか

他の社員から持ち分の一部を譲り受けて加入することになります。

新たに出資をする場合は、必要な書類も多く手続きも大変なので、

今回は他の社員から持ち分の一部を譲り受けて加入することになりました。

 

その場合に必要な書類は次の2点です。

①同意書(新社員が加入する為の定款変更に全社員が同意した旨を記した書面)

②登記申請書

(最後に記載例を掲載しております)

 

株式会社の場合は、就任承諾書なども必要になりますが、

合同会社は株式会社の役員変更登記よりも用意する書面が少なくてすみます。

 

    今回の手続きで分かった合同会社と株式会社の違い

 

合同会社 株式会社
役員変更がなければ登記は不要なので、手間と費用が節約できる 役員変更がなくても定款で定められた任期ごとに重任登記が必要になる
出資をしていないものが業務執行社員になることができない 株主でなくても取締役になることは可能

 

 

① 同意書記載例

②登記申請書記載例

 

 

 

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑

 淀屋橋総合会計・不動産鑑定

 http://www.yodoyabashisogo.com

❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑❑