棚卸資産か固定資産か
不動産の流動化案件では、
不動産を流動資産である棚卸資産とするのか、
固定資産にするのかが論点になります。
棚卸資産になるか固定資産になるかのポイントは、
SPCが保有する不動産の出口戦略の考え方に影響を受けます。
つまり、保有期間が数年程度の場合は、棚卸資産になりますが、
5年程度の長期保有の場合は長期投資のため、固定資産に該当します。
棚卸資産の場合、減価償却費を計上しませんが、
固定資産の場合、減価償却費を計上します。
証券化不動産は、将来売却することが見込まれています。
この不動産の減価償却費を計上するか否かで受ける影響についてですが、
減価償却費を計上しない棚卸資産は、
将来売却時の簿価は当初から変動しないままで、
減価償却費を計上する有形固定資産の簿価は
償却額相当減額された低い簿価となり、
売却益は固定資産計上の方が多くなります。
しかし、保有期間全体を通じての減価償却費を加味した売買損益は同額になり、
損益計上のタイミングがズレることになります。
評価損の計上では、棚卸資産の方が計上の可能性が高くなります。
仮に低価法を採用するSPCでは毎年取得する不動産鑑定評価額が簿価を下回れば、
評価損を計上することになります。
固定資産に計上している場合は、不動産鑑定評価額が簿価を下回っても、
直ちに減損損失を計上することにはならず、
減損の兆候など、一定の要件を満たした場合、損失計上となります。
一般的には不動産鑑定評価額が簿価の50%以下になるなどの兆候がある
などの要件を満たした場合に減損損失を計上します。
棚卸資産 | 固定資産 | |
計上区分 | 通常の保有期間経過後に売却が決まっている | 長期保有 |
減価償却費の計上 | なし | あり |
評価損計上の対象 | 低価法評価損 強制評価損 | 減損会計の適用 |
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