特定目的会社の最終配当 早期にする方法

特定目的会社(TMK)スキームの場合
配当は、中間配当と決算による配当で
年間最高2回となることが一般的です。

特定資産(不動産等)の売却が完了し
ローンの返済が終わり、優先出資者へ
最終配当をする時は、上記の2つの方法
ではなく、TMKを解散し、決算をすることで
配当金を支払うケースが、一般的です。

ただ、解散による配当金支払は、解散決議を
し、解散登記をしてから、2ヶ月間の
官報公告期間を待たなければなりません。

早期に最終配当を受け取るには、少し
工夫が必要です。
その方法は
① 特定資産売却でローン返済が終わった時点で
定款変更をして、決算を行います。
決算により利益配当を受け取ります。
その後、優先出資の全額減資をして、出資元本を
返還します。

上記をスピード感をもってすれば
特定資産売却から、1ヶ月余りで、完了することも
可能です。

例えば、1月末に特定資産を売却し
3月末までに配当金や元本償還を受けたいのであれば
上記のような手順を踏めば、間に合うことも可能です。

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SPCの決算公告 電子公告の方法

SPCは会社であり、決算公告をします。
ただ、SPCが合同会社か特定目的会社かで
法的扱いは異なります。

合同会社の場合、決算公告の法的義務は
ありませんが、特定目的会社の場合
決算公告が法的義務となっております。

決算公告の方法は、官報で公告することが
一般的ですが、特定目的会社の決算公告では
1回 10万円以上の費用を要します。

毎年10万円以上の公告費用負担は、大きなもので
今では、電子公告という方法で
決算公告が出来ます。

手順としては、決算公告をするURLを
特定目的会社の登記簿に登記をします。
指定のURLに特定目的会社のBS PLを
掲載することで、電子による決算公告は
完了です。

官報公告の場合は、BS PLの要約版を
計算することが可能ですが、電子公告の場合
1円単位で全科目残高を掲載しなければなりません。
また、注記も掲載しなければならず、
記載内容は、官報公告より多くなります。

ただ、電子公告は、決算公告のみ利用可能で
例えば、組織再編や優先出資の減少などの
場合は、上記の方法では、公告は出来ません。

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法人税納付書もペーパーレス化へ

一般の会計事務所ではあまりないかと思いますが、
当事務所では、SPCの事務管理業務をしておりますので、
法人税等の納付作業もしております。

以前は、税務署から送られてきた納付書を金融機関の窓口へ持参し、
管理をお引き受けしているSPCの銀行口座から納税をしておりましたが、
数年前からほぼすべてのSPCでインターネットバンキングによる納税をしております。

それでも、これまで税務署から納付書は送られてきておりましたが、
令和6年5月以降、e-taxで申告書を提出していて、
ダイレクト納付、振替納税、インターネットバンキング等による納付など
納付書を利用しない手段で納税をしている会社には納付書が送られてこなくなります

国税庁のHPには、令和6年5月以降送付分から送付取りやめる
と記載されていましたので、
今年の11月末納期限の中間納税時にはまだ納付書が送付されるかと思っていましたが、
11月に入っても、SPC宛の納付書が一向に送られてきませんので、
税務署に問い合わせをしたところ、
すでに発送を取りやめたとの回答でした。
(この回答は電話に出られた方の勘違いだったようで、
後日納付書が送られてきました。)

数年前から決算に合わせて送られる申告用紙も送られてこなくなりましたし、
昨年からは、この時期に送られてきていた「年末調整のしかた」や
「源泉徴収税額表」も送られてこなくなりました。
税務関連分野でも着実にペーパーレス化が進んでいますね。

期末の納税は、どの会社でもあり、納付漏れは発生しませんが、
中間納税は、前期の納税額によって、納税義務があるケースとないケースがあり、
これまでは、紙ベースの納付書の受取が確認手段のひとつでした。
今後は、納付書が送られてこなくなっても納税漏れがないように
決算後には、翌期の中間納付を、折り込んだスケジュール
組んで、経理業務を進めたいと思います。

SPCの資本金が1億円以下になった場合

最近、資本金が多額の企業が、資本金を1億円以下に
減資することがあります。

税法では、資本金1億円以下の会社は、中小企業という扱いで
税負担が軽減されます。税金もコストであり、経費削減の
一環で、減資するケースが増えております。

減資をすれば税務署等に、異動届が必要となります。
また、資本金1億円を超える会社は電子申告が
義務付けられていますが、資本金が1億円以下に
なれば、電子申告の義務がなくなります。

以前、資本金1億円超の会社に電子申告が義務化された時
『e TAXによる申告の特例に係る届出書』を提出しております。

資本金の減少した時は、減資の届出だけでなく、
電子申告に関して
『e TAXによる申告の特例の適用がなくなった旨の届出書』
を提出しなければ、なりません。

こちらの届出の提出は、失念しがちですが、資本金1億円以下に
減資される際には、忘れずに、提出したいものです。

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特定目的会社の中間配当支払手続き

先日、特定目的会社を運営する顧問先様から中間配当をしたいが、可能かどうか
また、その場合、社員総会(株式会社の株主総会にあたるもの)が
必要かどうかとのお問い合わせがございました。

資産流動化法第115条には、
『事業年度を一年とする特定目的会社については、
一事業年度の途中において一回に限り事業年度中の一定の日を定め
その日における社員(当該特定目的会社を除く。)に対し
取締役の決定(取締役が数人あるときは、その過半数をもってする決定)により
金銭の分配(以下この款において「中間配当」という。)をすることができる旨
定款で定めることができる。』
と規定されています。

その顧問先様の定款を確認したところ
取締役の決定で中間配当ができる旨の記載がございましたので、
社員総会なしで中間配当ができるとお伝えいたしました。

会社法 第454条では、『取締役会設置会社は中間配当が取締役会で決められる旨を
定款に設けてもよい』との規定がありますが、
取締役会非設置会社は株主総会の決議が必要となります。

特定目的会社は簡素な組織設計が一般的で、取締役が1名の場合
取締役会設置会社ではありませんが、株式会社のような会社法の適用はなく、
定款に定めておけば取締役の決定』(資産流動化法 第115条)で中間配当をすることも可能です。

このような簡素な機関設計を前提とする特定目的会社では、株式会社とは異なり、
中間配当実施に、単独取締役の決定で実施出来るところがあり、
会社の種類に応じて、中間配当の実施要件を確認することが大切です。

SPCの資金管理と銀行口座

プロジェクトファイナンスの為、利用されるSPCの預金口座は
その目的に応じて、
①プロジェクト口座
②リザーブ口座
③リリース口座
④営業者口座
などの口座を開設します。

プロジェクト口座は、案件によっては
メイン口座、信託配当受取口座、事業用口座など
様々な名称が使われますが、プロジェクトでの資金
異動で、最も頻繁に使われる口座です。

一方、一定の資金を留保する、例えば
元利金の返済資金、固定資産税の納税資金
修繕等の資金などを留保するため
留保資金を貯めておく、リザーブ口座を開設することもあります。

リリース口座は、プロジェクトでの資金収支の残余分を
エクティ出資者への配当や、AM会社へのAMフィーの支払いなどに
充当するため、プロジェクト口座からの移動資金を
受取る口座です。

資金の流れは、プロジェクト口座で受け取った資金が
リリース口座に流れるという順序です。

リザーブ口座には、プロジェクト開始時に一定額を
留保しておき、不足が出れば、プロジェクト口座から
補填されることが一般的です。

最後に、営業者口座ですが、これは、
①法人税等の納税のため
②匿名組合契約により、営業者報酬の授受のため
使われます。

これらの預金口座の使い方のルールは、ローン契約や
プロジェクト契約等に記載されていることが、一般的です。

SPCでのプロジェクトファイナンスでは、資金の流れに
透明性を持たせるため、このように複数の銀行口座を
一定のルールに従って、利用することがあります。

このように複数口座を利用する案件は、キッチリした案件が
多く、一つの銀行口座しか持たず、全ての収支を、1つの
銀行口座を行う案件もあります。

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特定目的会社の配当の損金処理(匿名組合スキームとの違い)

特定目的会社(以下、TMK)も、匿名組合スキーム(以下、GKーTK)を
使う会社と同様に、利益の大半を分配する『導管性』の機能がありますが、
GK-TKとTMKでは、仕組みや損失の扱いに違いがありますので、
今回はその点をご説明いたします。

①TMKは、申告書作成時に配当金が減算される。
 GK-TKの場合は、獲得した利益の大半を
 会計期間終了時に分配金として、出資者に分配しますので、
 税引前当期純利益が、ちょうど法人税等を支払える程度の
 少額になります。➡パススルー制度

 対してTMKは、決算書上の税引前当期純利益は、
 通常の株式会社と同じように計算した利益が計上されます。
 その後、社員総会(株式会社での株主総会)時に、配当額が決定されます。
 そして、税務申告書作成時に別表10(8)を作成し、
 課税所得から減算できる配当金額を計算します。
 (通常は、減算可能な範囲で配当を行う)
 通常の会社では出来ないことですが、TMKの配当金は
 損金算入されます。
 ➡ペイスルー制度

②TMKは、損失の分配はできない。
 以前、「匿名組合の損益分配」でご説明したように、
 GK-TKは、損失の分配をすることもできますが、
 TMKは、利益の配当しかすることができません。
 また、繰越損失がある場合は、
 今期の利益から繰越損失の額を控除した額しか配当することができません。
 (GK-TKは、損失も分配(➡パススルー)しますので、
 基本的には繰越損失は発生しません)

 なお、TMKは資本金が1億円超でも大会社のような
 繰越損失の利用制限はありません。
 

TMKの方が納税額(均等割)が多くなる傾向がある。

 TMKでも、GK-TKでも、投資家から資金を集めますが、
 匿名組合出資という形での出資を受けるGK-TKと違い、
 TMKは、投資家からの出資金は、資本金となりますので、
 利益の額にかかわらず、資本金の大きさによりかかってくる
 均等割の額が大きくなってしまうため、
 少額の納税で済むGK-TKに比べると
 TMKの納税額は大きくなる傾向にあります。
 
 なお、TMKは、資本金が1億円以上でも、外形標準課税はされません。

 今回は、TMKの配当を
 GK-TKの分配金との違いという観点でご説明いたしました。
 機会があれば、TMKの配当が非課税になる条件などについても
 いずれお話しします。


内容TMKGK-TK
導管性ペイスルーパススルー
繰越損失翌期利益から全額控除可基本的に発生しない
法人税等多額になる傾向最低額で収まるケースが大半

SPCでのホテル竣工に伴う資産と消費税の計上

担当のSPCでホテルの建設をおこなって
おりましたが、この度、竣工いたしました。

工事期間中は、工事費用や付随する費用を
建設仮勘定として計上しておりましたが、
引渡しが完了したため、建設仮勘定から
建物等の資産へ振り替えることになりました。

工事明細を元に、建物、付属設備、構築物等に
振替えていくのですが、完成引渡しをもって
消費税の仕入税額控除もおこないます。

建設仮勘定計上時は、消費税額を含めて計上
しておりましたが、今回は工事期間中に
消費税率の改正があったため、建設仮勘定の
中には消費税率8%と消費税率10%のものが
混在しております。

また、中には検査費用等、消費税が非課税となる
ものもありましたので、消費税率8%、10%、
非課税を考慮しなければなりません。

弊事務所では、建設仮勘定計上時に、あらかじめ
補助科目で消費税率や税区分を管理しており
それを元に消費税を計上しております。

今回のように、工期の途中で消費税率が変わると
建設仮勘定から資産へ振り替える際の消費税額の
計上がとても煩雑になりますので、あらかじめ、
明確に管理しておくことが、資産計上時に正確で
スムーズな経理事務には不可欠と感じております。

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特定目的会社の一口当たり情報の計算

会社の決算書類の中に「注記表」という書類があり、
株式会社では、通常その中に「一株当たり情報に関する注記」というものを記入しますが、
特定目的会社は株式を発行しませんので、一株当たりという概念はなく、
「一口当たりの情報」を開示します。

一口当たり情報を計算する時は、特定出資と優先出資に分けて計算します。

【一口当たり純資産額】
『前提条件』
特定出資が 50,000x2口  優先出資が 50,000円x10口
期末の純資産の額が 800,000円 当期純利益 5,000円とします。
剰余金があり黒字決算のケース)

特定出資の一口当たり純資産額は、
出資額と同額で  50,000円です。
(注)この例で、純資産が、100,000円未満の場合、
   特定出資の一口当たり純資産も50,000円を下回ります。

優先出資の一口当たり純資産額は、
純資産額 800,000円 ― 特定出資の総額 100,000円 ÷ 優先出資口数 10口
= 70,000円となります。

【一口当たり当期純利益】
黒字決算でも利益は特定出資には配分されませんので、
特定出資の一口当たり当期純利益額は、 0円です。

優先出資の一口当たり当期純利益は、
当期純利益 5,000円 ÷ 優先出資口数 10口 = 500円となります。

上記の『前提条件』では、
特定出資に関する一口当たりの金額は、純資産の額や利益の額には左右されず、
毎期同額となります。

このように、特定目的会社は、特定出資優先出資という異なる性格の
出資
を受けており、『一口当たり情報』の計算では、それぞれの性格を
反映した計算結果
となります。

特定目的会社解散後の会計期間

通常の株式会社が解散する場合、
これまでの事業年度開始日から解散の日までを1事業年度(解散事業年度)として税務申告をし、
その後は、解散の日の翌日から1年ごとの期間を1事業年度(清算事業年度)とします。

これは、法人税法基本通達1-2-9に下記のように定められているからです。

株式会社又は一般社団法人若しくは一般財団法人が解散等をした場合における清算中の事業年度は、当該株式会社等が定款で定めた事業年度にかかわらず、会社法第494条第1項又は一般法人法第227条第1項《貸借対照表等の作成及び保存》に規定する清算事務年度になるのであるから留意する。

ここで注目してほしいのは、ここに定められているのは、
「株式会社、一般社団法人、一般財団法人」であるという点です。
特定目的会社にはこの規定は適用されません。

したがって、特定目的会社が解散した場合は、解散事業年度で決算申告をした後、
定款記載のこれまで同様の決算日に決算をする必要があります。

たとえば、3月末決算の会社が3月15日に解散し、翌年の5月末に清算決了する場合、

株式会社であれば、
3/15 解散申告 ⇒ 翌年3/15 清算1年目の決算申告 ⇒ 翌年5/31精算決了申告
となりますが、

特定目的会社の場合は、
3/15 解散申告 ⇒ 3/31清算後1回目の決算申告 ⇒ 翌年3/31清算後2回目の決算
⇒ 翌年5/31 清算決了申告
となります。

申告回数が違ってきますので、ご注意ください。

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